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練馬ほっと・キャスト 特別企画 練馬にいた! アニメの巨人たち

練馬区ゆかりのアニメクリエイターと、その作品の魅力を探る「練馬にいた!アニメの巨人たち」。
アニメ研究家の氷川竜介さんとアニメ史研究家の原口正宏さんが、そのクリエイターの魅力についてたっぷり語ります。

  • アニメ研究家 氷川竜介さん
  • アニメ史研究家 原口正宏さん

第17回 高畑 勲さん(アニメーション映画監督)その3

今回も引き続き、アニメーション映画監督の高畑勲さんについてとりあげます。
第15回 高畑勲さん(アニメーション映画監督)その1はこちら
第16回 高畑勲さん(アニメーション映画監督)その2はこちら
高畑さんは1959年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社。TV アニメ「狼少年ケン」(63)で初めて演出を手がけ、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(68)で劇場アニメ監督デビュー。その後も「アルプスの少女ハイジ」(74)、「母をたずねて三千里」(76)、「赤毛のアン」(79)などを演出・監督。その後、スタジオジブリの設立に参加し、『火垂るの墓』(88)、『おもひでぽろぽろ』(91)、『かぐや姫の物語』(13)など数々の作品を監督。2018年4月、惜しくも亡くなられました。
今回は高畑さんが関わった作品を紹介しながら、その魅力を語り尽くします。

※今回の収録は、「練馬アニメカーニバル」2018のプログラムの一つとして開催されました。

※以下の画像と解説をご覧になりながらお聞きください。
また、今回の内容には、紹介する作品のネタバレも含みます。ご注意ください。

収録のようすと用語解説

お2人が考える、高畑演出の“ツボ、凄味”のポイント

■ マルコ
「母をたずねて三千里」のこと。〈マルコ〉は主人公の名前。1976年にTVアニメシリーズ《世界名作劇場》の2作目として日本アニメーションが制作。原作はイタリア文学の古典であるエドモンド・デ・アミーチスの「クオーレ」の挿入話”Dagli Appennini alle Ande”(アペニン山脈からアンデス山脈まで)。主人公・マルコは、イタリア・ジェノヴァに住む少年。アルゼンチンに出稼ぎに行ったきり音信不通になった母を探す旅に出たマルコが、道中で出会った多くの人に助けられ、その優しさに触れながら成長していく物語。
原作:エドモンド・デ・アミーチス、監督:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一、場面設定・レイアウト:宮崎駿
※当サイトでは、高畑勲監督も登壇された《マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展》の内覧会の様子をレポートしています
■ 庵野 秀明(あんの ひであき)
アニメーター、アニメーション作家、映画監督。大阪芸術大学在学時に自主映画や自主アニメの制作を行い、それが縁でTVアニメ「超時空要塞マクロス」(82〜83)にアニメーターとして参加。宮崎駿監督作品『風の谷のナウシカ』(84)では巨神兵のシーンの原画を担当する。1984年、アニメーション制作会社GAINAXの設立に参加。同社制作の『王立宇宙軍』(87)でスペシャルエフェクトアーティスト、作画監督を担当、また、監督としてOVA「トップをねらえ!」(88〜89)、TVアニメ「ふしぎの海のナディア」(90〜91)を手がける。1995年には、社会現象にもなったTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を監督。『ラブ&ポップ』(98)で、本格的に実写映画にも進出。2006年には映像企画製作会社・株式会社カラーを設立。総監督として『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(07)を制作した。2016年に公開され、第40回日本アカデミー賞において最優秀作品賞など7冠を達成した『シン・ゴジラ』でも総監督を務めた。
■ ミッシェル・オスロ
フランスのアニメーション監督。切り絵や影絵、マンガなどの技法なども取り入れた、様々な短編アニメやTVアニメを制作。世界各国の映画祭で受賞歴がある。日本の美術文化にも造詣が深く、1970年に来日・滞在した際には墨絵や生け花を学ぶ。葛飾北斎の作品からも影響を受け、1989年には日本の詩や美術を題材とした短編「老女のコート」を制作している。代表作に、『キリクと魔女』(98)、『プリンス&プリンセス』(99)、『アズールとアスマール』(06)、『Dilili in Paris(パリのデリラ)』(18)など。
■ 『キリクと魔女』
1998年に公開された、フランス・ベルギー・ルクセンブルク合作の劇場用アニメ映画。原作・脚本・監督のミッシェル・オスロにとっては、初の長編作品。彼自身が幼少期にアフリカのギニアで過ごしており、そこでの強烈な体験が、本作を作る大きな動機となっている。
キリクが生まれたアフリカの村は、魔女・カラバの呪いで泉が涸れ困窮していた。魔女を倒しに行った男たちは戻らず、村に残るのは女子供と老人だけ。好奇心旺盛なキリクは、賢者が住むという”禁じられたお山”へ向かう。
フランス国内だけでも観客動員数130万人を超える大ヒットとなり、アニメーション映画としてはフランス映画史上歴代興行収入第1位を記録。社会現象にもなった。
日本ではスタジオジブリの提供で2003年に公開。日本語版の翻訳・演出を、高畑勲氏が担当した。
原作・脚本・監督:ミッシェル・オスロ
■  出﨑演出
出崎統監督が数々の作品で生み出した個性的な演出手法のこと。代表的なものとして、ハーモニー、繰り返しショット、画面分割、透過光、入射光などがある。その手法は模倣され、受け継がれ、いまも数々の作品の中で見ることができる。
繰り返しショットとは、印象づけたい重要な画面を、複数回繰り返して見せる技法。パン(カメラの位置を固定したまま、画面を左右や上下、または斜めに振る)、トラックバック(カメラを後に引きながら被写体を撮影する方法)、オーバーラップ(画面と画面を重ね合わせる特殊効果)などの、カメラの動きと合わせて作られる。また、ハーモニーや透過光、入射光など、他の技法と組み合わせるパターンもある。
■ 『かぐや姫の物語』
2013年に公開されたスタジオジブリの劇場用アニメ映画で、高畑勲監督の遺作。平安時代に成立した「竹取物語」が原作。誰もが知る「かぐや姫」の筋書きはそのままに、かぐや姫の〈心〉を描いた作品。
監督・脚本・原案:高畑勲、人物造形・作画設計:田辺修、作画監督:小西賢一
■ 『おもいでぽろぽろ』
スタジオジブリが制作した、1991年公開の劇場用アニメ映画。高畑勲監督作品。岡本蛍氏と刀根夕子氏による同名マンガが原作。1980年代の東京〜山形を舞台に、27歳のOL・タエ子が、小学5年生の頃の自分を振り返りつつ、旅先で出会った人々と触れ合いながら成長してゆく姿を描く。
原作:岡本螢・刀根夕子、脚本・監督:高畑勲、キャラクターデザイン :近藤喜文、作画監督:近藤喜文、近藤勝也、佐藤好春
■ 「赤毛のアン」
1979年に日本アニメーションが制作し、全50話が放送されたTVアニメで《世界名作劇場》の5作目に当たる。原作は、L・M・モンゴメリの同名小説。高畑氏は演出と脚本を担当した。 カナダのプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から空想好きな赤毛の女の子アンを引き取る。アンはグリーン・ゲイブルズでの生活や、友人たちと過ごす学校生活を通して聡明な女性へ成長していく。
原作:ルーシー・モード・モンゴメリ、演出・脚本:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:近藤喜文、場面設定・画面構成:宮崎駿(15話まで)、桜井美知代
高畑勲監督は、日本のアニメーション文化に何を残したか

■ 東映
東映動画(現・東映アニメーション)のこと。1956年に練馬区大泉に設立された、60年の歴史を持つアニメーション制作会社。当初の制作体制は、「動きで表現することを大事にする」ことを特徴とした劇場作品を、1年間に1本のペースで製作・公開していた。1963年からはTVアニメの制作もスタート。以降現在に至るまで、「ドラゴンボール」シリーズ、「デジモン」シリーズ、「ONE PIECE」シリーズ、「プリキュア」シリーズなど、数多くの劇場作品、TVシリーズを発表し続けている。
その設立から初期のスタッフについては、当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 東映動画編で詳しく紹介。
■ 芹川 有吾(せりかわ ゆうご)
アニメーション演出家、脚本家、映画監督。映画会社・新東宝で助監督を務めていたが、東映動画(現・東映アニメーション)の劇場アニメーション『白蛇伝』(58)に感銘を受け、翌1959年に東映動画に演出助手として入社する。1963年に初めて監督(名義は「演出」)した『わんぱく王子の大蛇退治』は高く評価され、東映動画の中心的な演出家として、多数の劇場作品やTV作品を担当。1991年に定年退職した後も、フリーとして活動を続けた。 ※芹川氏ついては、当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 東映動画編でも紹介しています
■ 虫プロ
アニメーション制作会社・虫プロダクションの通称。1961年にマンガ家でアニメーターでもあった手塚治虫が設立し、1973年まで活動したアニメスタジオ「株式会社虫プロダクション」(旧)と、1977年に旧虫プロの労働組合を母体として設立された「虫プロダクション株式会社」(新)がある。ここでは虫プロダクション(旧)を指す。 虫プロダクション(旧)には、丸山正雄氏をはじめ、出﨑統氏、芦田豊雄氏、川尻善昭氏、杉井ギサブロー氏、高橋良輔氏、富野由悠季氏、安彦良和氏、吉川惣司氏などが在籍していた。この虫プロダクション(旧)で、1963年に制作された日本初の30分枠連続TVアニメ「鉄腕アトム」は、日本のアニメビジネスの先駆けとなった。 ※当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 虫プロダクション編でも詳しく紹介
■ レイアウトシステム
レイアウト(画面構成)は、日本のアニメ制作の工程の1つ。1カットの完成画面を想定し、背景の構図とキャラクターの配置や動きを決め、緻密に描かれた〈設計図〉となるものをレイアウト(画面構成)という。この、レイアウトを軸としてアニメを制作することを、〈レイアウトシステム〉と呼ぶ。日本で初めて本格的にレイアウトシステムで作られたのは、1974年放送の「アルプスの少女ハイジ」といわれており、宮崎駿氏が全カットのレイアウトを担当した。
■ ハイジ
「アルプスの少女ハイジ」のこと。ズイヨー映像が制作し、1974年に全52話が放送されたTVアニメ。ヨハンナ・スピリの同名小説が原作。高畑氏は演出を担当。両親を亡くしたハイジは、アルプスの山小屋に住むアルムおんじのもとに預けられた。アルプスの大自然のもとで明るくのびのびと暮らすハイジ。だが叔母がハイジを無理矢理フランクフルトのゼーゼマン家に連れ去ってしまう。そこでハイジは体が弱くて歩く事のできないクララという少女に出会う。
制作にあたり、高畑勲、宮崎駿、小田部羊一ら主だったスタッフは、スイス、フランス、ドイツに赴きロケハンを行い、風土や生活様式などを調査、作品作りに活かした。
原作:ヨハンナ・スピリ、演出:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一、場面設定・画面構成:宮崎駿
■ ガンダム
「機動戦士ガンダム」のこと。1979〜80年に、全43話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作は日本サンライズ。近未来のリアルなSF設定、モビルスーツ(MS)と呼ばれるロボットを兵器として投入する戦争、重厚な人間ドラマは観る者を釘付けにした。再放送・映画化をきっかけに社会現象を起こすほどの話題作となり、日本のアニメ史上に残る名作となった。放送から39年が経った現在でも新作が作り続けられ、その歴史の中で生み出された映像作品は40作を超える。
総監督・原作・脚本・演出・絵コンテ・作詞:富野由悠季、キャラクターデザイン・作画監督:安彦良和、メカニックデザイン:大河原邦男、
■ 安彦 良和(やすひこ よしかず)
アニメーター、キャラクターデザイナー、アニメ監督、イラストレーター、小説家。1970年に虫プロダクションに入社し、アニメーターとしてキャリアをスタート。その後フリーとなり、「宇宙戦艦ヤマト」、「勇者ライディーン」、「超電磁ロボ コン・バトラーV」など多数のアニメ作品に携わる。1979年に放送開始のTVアニメ「機動戦士ガンダム」では、キャラクターデザイン・作画監督を務めた。また、同年にはマンガ「アリオン」を発表しマンガ家デビュー。1983年には劇場用アニメ映画『クラッシャージョウ』を初監督する。1986年には、『アリオン』を自らアニメ映画化。1989年に著作マンガ『ヴィナス戦記』の劇場用アニメ映画を監督した後は、専業マンガ家として活動する。2001年に「機動戦士ガンダム」を新解釈でコミカライズした「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を発表。2011年まで連載し、単行本の累計部数1,000万部を超える大ヒット作となった。2015年には劇場用アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』の総監督として、約25年ぶりにアニメの現場に復帰した。
■ 富野 由悠季(とみの よしゆき)※旧名 富野 喜幸(読みは同じ)
アニメ監督、演出家、脚本家、作詞家、小説家。「機動戦士ガンダム」をはじめとした〈ガンダムシリーズ〉や、「伝説巨神イデオン」、「聖戦士ダンバイン」を代表とする〈バイストン・ウェル〉関連作品など、多数の代表作を持つ。日本大学芸術学部映画学科を卒業後、虫プロダクションに入社。「鉄腕アトム」では制作進行・演出助手・脚本・演出を担当した。その後、フリーでキャリアを重ね、1977年に日本サンライズ初のアニメーション作品「無敵超人ザンボット3」の総監督・原作・演出・絵コンテ・原画を担当。翌年には「無敵鋼人ダイターン3」を手がけ、1979年には代表作となる「機動戦士ガンダム」の総監督・原作・脚本・演出・絵コンテ・作詞を務めた。その後も数々の「ガンダム」シリーズに参加している。2016年には、一般社団法人「アニメツーリズム協会」理事長に就任した。
■ 『わんぱく王子の大蛇(おろち)退治』
「東映動画(現・東映アニメーション)が制作した1963年公開の劇場用アニメ。高畑氏は演出助手として参加。日本神話の天岩戸(あまのいわと)や八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治を題材にしたファンタジー作品。アメノハヤコマにまたがるスサノオとヤマタノオロチの空中戦は、日本アニメーション史上に残る名場面として高く評価されている。
監督(クレジットは演出):芹川有吾、作画監督:森康二
■ ホルス
東映動画(現・東映アニメーション)が制作した1968年公開の劇場用アニメ映画『太陽の王子ホルスの大冒険』のこと。高畑氏の劇場用長編アニメーション監督デビュー作。海辺に父と二人で住む少年・ホルスは、岩男モーグの肩に刺さっていた「太陽の剣」を手に入れる。やがて父が亡くなり、遺言に従ってホルスは北の村に向かって船出した。旅の途中、悪魔グルンワルドに「弟になれ」と誘われるが断り、ホルスは崖から突き落とされる。流氷に乗って北の村に流れ着いたホルスは、村の一員として受け入れられるが、グルンワルドは少女・ヒルダを村に送りこむ。
監督:高畑勲、作画監督:大塚康生、場面設計・美術設計:宮崎駿
■ 出﨑 統(でざき おさむ)
アニメーション監督。1943年東京都生まれ。学生時代から貸本マンガ家として活躍。1963年に虫プロダクションに入社。翌年には「鉄腕アトム」の原画担当になる。1970年のTVアニメ「あしたのジョー」で、初めてチーフディレクターを務める。1972年にはアニメ制作会社マッドハウスの設立に参加。TVアニメ「エースをねらえ!」(73-74)、「ガンバの冒険」(75)「家なき子」(77-78)、「宝島」(78-79)など多数の作品に関わる。1979年には完全新作の『劇場版 エースをねらえ!』で、劇場用長編作品を初監督した。1980年、TVアニメ「あしたのジョー2」制作を機にマッドハウスを離れ、スタジオあんなぷるを設立。
『SPACE ADVENTURE コブラ』(82)、「スペースコブラ」(82)、『ゴルゴ13』(83)を発表。「おにいさまへ・・・」(91)で手塚プロダクション制作作品に関わるようになり、1993年からOVA「ブラック・ジャック」を手掛ける。2000年代には美少女ゲームが原作の『AIR』、『CLANNAD』劇場版など、自らの新境地となる作品を監督した。2011年 逝去。 ※練馬にいた!アニメの巨人たち第5回第6回第7回第8回では、出﨑統監督をとりあげています。
■ スタジオぴえろ
1977年にアニメーター・演出家の布川郁司氏が仲間と共に発足した演出家グループを母体に、1980年に設立したアニメ制作スタジオ。TVアニメ「ニルスの不思議な旅」(80〜81)のために作られたスタジオだったが、その後もTVシリーズを制作。1981年には「うる星やつら」のアニメーション制作を担当(129話まで)し話題となる。1983年には自社オリジナルの〈魔法少女シリーズ〉第1作となる「魔法の天使クリィミーマミ」を制作。「魔法の妖精ペルシャ」(84〜85)、「魔法のスターマジカルエミ」(85〜86)、「魔法のアイドルパステルユーミ」(86)と続く大ヒットとなった。また、1983年には、世界初となるOVA「ダロス」を制作している。以降も数々の作品を手がけて、「NARUTO -ナルト-」シリーズや「東京喰種トーキョーグール」(14)、「おそ松さん」(15)などの話題作も多い。
■ 魔女っ子
後述の「魔法使いサリー」を始祖とする、魔法少女を題材とした作品のこと。
■  「魔法使いサリー」
1966〜68年まで全109話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作は東映動画。マンガ家・横山光輝氏が、1966年から67年まで連載した同名の少女マンガが原作。
魔法の国から人間界の街にやってきた少女・サリー。この街が気に入ったサリーはこの街に住むことを決める。そして人間界の生活を通して、魔法よりも大切なもの知っていく。
本アニメは日本で最初の少女向けアニメであり、後に東映動画の「魔女っ子シリーズ」第1作と称されるようになる。現在も続く【魔法少女アニメ】の先駆けとなった。
TVアニメ第2作も制作され、1989~91年まで全90話が放送された。こちらのアニメーション制作も、東映動画が担当している。
(TVアニメ第1作)原作:横山光輝、演出:勝田稔男、池田宏、高見義雄 他
■ 「魔女っ子メグちゃん」
1974〜75年まで、全75話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作は東映動画。
魔界の次期女王候補のメグは、修行のため人間界に送られ、先輩魔女・神崎マミの娘として暮らすこととなる。
演出:芹川有吾、岡崎稔、設楽博、出崎哲ほか、キャラクターデザイン:荒木伸吾、高橋信也
■ 名作劇場
世界名作劇場のこと。かつて日本アニメーションが制作していたテレビアニメシリーズの呼称。世界中で親しまれてきた小説・童話などを原作として、ファミリー向けに脚色をしてアニメ化されている。〈世界名作劇場〉という表記になったのは1979年放送の「赤毛のアン」からで、それまでは〈カルピスこども劇場〉や〈カルピスファミリー劇場〉という表記だった。
■ 二木 真希子(ふたき まきこ)
アニメーター。テレコム・アニメーションフィルムの2期生としてキャリアをスタートさせる。その後フリーとして活動し、1991年にはスタジオジブリに入社する。
『風の谷のナウシカ』の砂州で王蟲の仔を止めようとするナウシカ、『天空の城ラピュタ』のパズーとシータの出会い、『となりのトトロ』のメイとトトロの出会い、『魔女の宅急便』冒頭の風になびく草の丘のシーン、『おもひでぽろぽろ』の紅花を摘むタエ子など、動植物の表現を得意とした。上橋菜穂子の「精霊の守り人」(偕成社版)シリーズの挿絵でも知られる。絵本「世界の真ん中の木」、「小さなピスケのはじめてのたび」、「小さなピスケのはじめてのともだち」の著作もある。2016年逝去。
■ 「美味しんぼ」
1988〜92年に全136話が放送されたTVアニメ。原作は雁屋哲・花咲アキラによる同名マンガ。アニメーション制作はシンエイ動画。
新聞社社員・山岡士郎と、その父・海原雄山との確執を軸に、「食」をテーマにした物語を描く。
原作:雁屋哲・花咲アキラ、監督:竹内啓雄、キャラクターデザイン:河南正昭
■  細田 守(ほそだ まもる)
アニメーション監督。1991年に東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーターとしてキャリアをスタートさせる。1996年に社内で演出採用試験が初めて実施されこれに合格。翌年、TVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎(第4シリーズ)」(96~98)で演出家としてデビューした。1999年には『劇場版デジモンアドベンチャー』の監督に抜擢され、2000年の『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』で大きな注目を集めた。東映アニメーションを退社後、マッドハウスで『時をかける少女』(06)を監督し大ヒット。国内外の映画・アニメ賞など23冠を受賞した。続いて、自身初となるオリジナル作品『サマーウォーズ』(09)を発表。123万人を超える観客動員数を記録する。2011年にアニメーション映画制作会社〈スタジオ地図〉を設立。『おおかみこどもの雨と雪』(11)、『バケモノの子』(15)、『未来のミライ』(18)と、ヒット作を生み出し続けている。
※練馬にいた!アニメの巨人たち第12回第13回第14回では、細田守監督をとりあげています
■ 片渕 須直(かたぶち すなお)
アニメーション映画監督。日本大学芸術学部映画学科在学中から、宮崎駿監督作品「名探偵ホームズ」に脚本家として参加。『魔女の宅急便』(89/宮崎駿監督)では演出補を務めた。TVシリーズ「名犬ラッシー」(96)で監督デビュー。その後、長編映画『アリーテ姫』(01)を監督する。2009年に公開された『マイマイ新子と千年の魔法』は口コミで評判が広がり、異例のロングラン上映とアンコール上映を達成。2016年に公開された『この世界の片隅に』は丸2年を超えてなお上映が続く大ヒットとなり、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞をはじめ、数々の賞に輝いた。2019年には、約30分の新たなカットを追加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が予定されている。
※練馬にいた!アニメの巨人たち第1回第2回第3回第4回では、片渕須直監督をとりあげています
■ 宮崎駿(みやざき はやお)
アニメーション映画監督。1963年東映動画(現・東映アニメーション)へ入社。1971年に高畑勲氏、小田部羊一氏と共にAプロダクションに移籍、『パンダコパンダ』(72)に参加する。ズイヨー映像(のちの日本アニメーション)に移籍後は、「アルプスの少女ハイジ」(74)全カットの場面設定・画面構成を担当。「未来少年コナン」(78)でTVシリーズを初監督。テレコム・アニメーションフィルムに移籍し、『ルパン三世 カリオストロの城』(79)で劇場用長編アニメーション監督デビューを果たす。その後、『風の谷のナウシカ』(84)を経て1985年にスタジオジブリの設立に参加し、多数の作品を監督・プロデュースする。2001年に公開された監督作品『千と千尋の神隠し』は、興行収入300億円を超え、日本歴代興行収入第1位を達成。2018年現在もこの記録は破られていない。
■  『パンダコパンダ』
1972年12月の東宝チャンピオンまつりで公開された劇場用中編アニメーション作品。高畑勲監督作品。当時のパンダブームを受けて東京ムービーが制作した。のちの『となりのトトロ』の原型とも評される作品。
竹林の中にある家で暮らす少女・ミミ子のもとに、小さなパンダの子・パンと、そのお父さん・パパンダが現れる。3人は家族として一緒に暮らし始めるが、ミミ子がパンを学校に連れていった事で騒動が起こる。
翌年には続編『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』も公開された。
監督:高畑勲、原画・原案・脚本・画面設定:宮崎駿
■ 「もーれつア太郎」
1969〜70年に全90話が放送されたTVアニメ。原作は赤塚不二夫氏の同名マンガ。アニメーション制作は東映動画(現・東映アニメーション)。高畑氏はオープニング演出と各話演出で参加。
原作:赤塚不二夫、 演出:山口康男、高畑勲、西沢信孝、他、作画監督:田島実、永樹凡人、国保誠、他
■ 狼少年ケン
1963〜65年に全86話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作の東映動画(現・東映アニメーション)は、本作で初めて30分枠の連続TVアニメを手がけた。高畑氏も各話演出で参加している。
アフリカのジャングルで狼に育てられた少年・ケン。ケンは狼の子ども・チッチとポッポや動物の仲間たちとともにジャングルの平和を守る。
原作・キャラクターデザイン・演出:月岡貞夫(原作は「大野寛夫」名義)、演出:矢吹公郎、高畑勲、池田宏、白川大作、藪下泰次、勝間田具治、芹川有吾ほか
■ アパッチ野球軍
1971〜72年に全26話が放送されたTVアニメ。原作は花登筺・梅本さちおによる同名マンガ。アニメーション制作は東映動画(現・東映アニメーション)。高畑氏は各話演出で参加。 元・甲子園球児の堂島剛は、愛媛県松山の郊外にある過疎の村・猪猿村の野球部コーチを引き受ける。だが猪猿村は、近隣住民から「アパッチ村」と呼ばれ恐れられる無法地帯だった! 原作:花登筺、梅本さちお、演出:宮崎一哉、 高畑勲、茂野一清、葛西治、 佐々木勝利、岡崎稔、明比正行
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