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練馬ほっと・キャスト 特別企画 練馬にいた! アニメの巨人たち

練馬区ゆかりのアニメクリエイターと、その作品の魅力を探る「練馬にいたアニメの巨人たち」。
アニメ研究家の氷川竜介さんとアニメ史研究家の原口正宏さんが、そのクリエイターの魅力についてたっぷり語ります。

  • アニメ研究家 氷川竜介さん
  • アニメ史研究家 原口正宏さん

第15回 高畑 勲さん(アニメーション映画監督)その1

今回からご紹介するのは、アニメーション映画監督の高畑勲さん。
高畑さんは1959年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社。TV アニメ「狼少年ケン」(63)で初めて演出を手がけ、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(68)で劇場アニメ監督デビュー。その後も「アルプスの少女ハイジ」(74)、「母をたずねて三千里」(76)、「赤毛のアン」(79)などを演出・監督。その後、スタジオジブリの設立に参加し、『火垂るの墓』(88)、『おもひでぽろぽろ』(91)、『かぐや姫の物語』(13)など数々の作品を監督。2018年4 月、惜しくも亡くなられました。
今回は高畑さんが関わった作品を紹介しながら、その魅力を語り尽くします。

※今回の収録は、「練馬アニメカーニバル」2018のプログラムの一つとして開催されました。

※以下の画像と解説をご覧になりながらお聞きください。
また、今回の内容には、紹介する作品のネタバレも含みます。ご注意ください。

収録のようすと用語解説

高畑勲監督を表現する「キーワード」

■ 東映動画(現・東映アニメーション)
1956年に練馬区大泉に設立された、60年の歴史を持つアニメーション制作会社。当初の制作体制は、「動きで表現することを大事にする」ことを特徴とした劇場作品を、1年間に1本のペースで製作・公開していた。1963年からはTVアニメの制作もスタート。以降現在に至るまで、「ドラゴンボール」シリーズ、「デジモン」シリーズ、「ONE PIECE」シリーズ、「プリキュア」シリーズなど、数多くの劇場作品、TVシリーズを発表し続けている。
その設立初期のスタッフについては、当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 東映動画編で詳しく紹介。
■ ホルス
東映動画(現・東映アニメーション)が制作した1968年公開の劇場用アニメ映画『太陽の王子ホルスの大冒険』のこと。高畑氏の劇場用長編アニメーション監督デビュー作。海辺に父と二人で住む少年・ホルスは、岩男モーグの肩に刺さっていた「太陽の剣」を手に入れる。やがて父が亡くなり、遺言に従ってホルスは北の村に向かって船出した。旅の途中、悪魔グルンワルドに「弟になれ」と誘われるが断り、ホルスは崖から突き落とされる。流氷に乗って北の村に流れ着いたホルスは、村の一員として受け入れられるが、グルンワルドは少女・ヒルダを村に送りこむ。
監督:高畑勲、作画監督:大塚康生、場面設計・美術設計:宮崎駿
■  ジブリ
スタジオジブリのこと。『天空の城ラピュタ』製作時の1985年に、『風の谷のナウシカ』を製作した出版社・徳間書店が中心となり設立したアニメーション・スタジオ。以後、高畑勲・宮崎駿両監督の劇場用アニメ映画を中心に製作してきた。当初は作品ごとにスタッフを集め、完成と共に解散する制作スタイルだったが、後に人材育成のためにアニメーターを正社員化・固定給制にするなど、高品質で安定した作品作りの拠点となった。
■ 『かぐや姫の物語』
2013年に公開されたスタジオジブリの劇場用アニメ映画で、高畑勲監督の遺作。平安時代に成立した「竹取物語」が原作。誰もが知る「かぐや姫」の筋書きはそのままに、かぐや姫の〈心〉を描いた作品。
監督・脚本・原案:高畑勲、人物造形・作画設計:田辺修、作画監督:小西賢一
■ 「アルプスの少女ハイジ」
ズイヨー映像が制作し、1974年に全52話が放送されたTVアニメ。ヨハンナ・スピリの同名小説が原作。高畑氏は演出を担当。両親を亡くしたハイジは、アルプスの山小屋に住むアルムおんじのもとに預けられた。アルプスの大自然のもとで明るくのびのびと暮らすハイジ。だが叔母がハイジを無理矢理フランクフルトのゼーゼマン家に連れ去ってしまう。そこでハイジは体が弱くて歩く事のできないクララという少女に出会う。
制作にあたり、高畑勲、宮崎駿、小田部羊一ら主だったスタッフは、スイス、フランス、ドイツに赴きロケハンを行い、風土や生活様式などを調査、作品作りに活かした。
原作:ヨハンナ・スピリ、演出:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一、場面設定・画面構成:宮崎駿
■ 宮崎駿(みやざき はやお)
アニメーション映画監督。1963年東映動画(現・東映アニメーション)へ入社。1971年に高畑勲氏、小田部羊一氏と共にAプロダクションに移籍、『パンダコパンダ』(72)に参加する。ズイヨー映像(のちの日本アニメーション)に移籍後は、「アルプスの少女ハイジ」(74)全カットの場面設定・画面構成を担当。「未来少年コナン」(78)でTVシリーズを初監督。テレコム・アニメーションフィルムに移籍し、『ルパン三世 カリオストロの城』(79)で劇場用長篇アニメーション監督デビューを果たす。その後、『風の谷のナウシカ』(84)を経て1985年にスタジオジブリの設立に参加し、多数の作品を監督・プロデュースする。2001年に公開された監督作品『千と千尋の神隠し』は、興行収入300億円を超え、日本歴代興行収入第1位を達成。2018年現在もこの記録は破られていない。
■ 小田部 羊一(こたべ よういち)
アニメーター、キャラクターデザイナー。1959年に東映動画へ入社。アニメーターとして森康二、大工原章、楠部大吉郎の下で経験を積み、『少年猿飛佐助』『わんぱく王子の大蛇退治』などの作品に携わる。
1971年に高畑勲、宮崎駿と共にAプロダクションへ移籍。後にズイヨー映像(のちの日本アニメーション)へ移籍し、「アルプスの少女ハイジ」(74)や「母をたずねて三千里」(76)のキャラクターデザイン・作画監督を務めた。その後はフリーランスとしてさまざまな作品に参加している。1985年からは、任天堂開発部に勤務し、「スーパーマリオブラザース」シリーズや「ポケットモンスター」シリーズなどの制作にも関わった。現在も大学の講師を務めるなど、精力的に活動中。
※当サイト「練馬ほっとキャスト」第1回第2回のゲストとして登場。
■ 井岡 雅宏(いおか まさひろ)
アニメーション美術監督。「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」、「あらいぐまラスカル」など、《世界名作劇場》の美術監督として知られる。その自然描写は高い評価を得ている。
■ レイアウト(画面構成)
日本のアニメ制作の工程の1つ。1カットの完成画面を想定し、背景の構図とキャラクターの配置や動きを決め、緻密に描かれた〈設計図〉となるものをレイアウト(画面構成)という。この、レイアウトを軸としてアニメを制作することを、〈レイアウトシステム〉と呼ぶ。日本で初めて本格的にレイアウトシステムで作られたのは、1974年放送の「アルプスの少女ハイジ」といわれており、宮崎駿氏が全カットのレイアウトを担当した。
■ 東京ムービー
現 トムス・エンタテインメントのこと。1964年に設立されたアニメーション制作会社。「ビッグX」(64〜65)、「巨人の星」(68〜71)、「ルパン三世」シリーズ、「それいけ!アンパンマン」(88〜放送中)、「名探偵コナン」(96~放送中)など、数多くの代表作を持つ。
■ 出﨑統監督
1943年東京都生まれ。学生時代から貸本マンガ家として活躍。1963年に虫プロダクションに入社。翌年には「鉄腕アトム」の原画担当になる。1970年のTVアニメ「あしたのジョー」で、初めてチーフディレクターを務める。1972年にはアニメ制作会社マッドハウスの設立に参加。TVアニメ「エースをねらえ!」(73-74)、「ガンバの冒険」(75)「家なき子」(77-78)、「宝島」(78-79)など多数の作品に関わる。1979年には完全新作の『劇場版 エースをねらえ!』で、劇場用長編作品を初監督した。1980年、TVアニメ「あしたのジョー2」制作を機にマッドハウスを離れ、スタジオあんなぷるを設立。
『SPACE ADVENTURE コブラ』(82)、「スペースコブラ」(82)、『ゴルゴ13』(83)を発表。「おにいさまへ・・・」(91)で手塚プロダクション制作作品に関わるようになり、1993年からOVA「ブラック・ジャック」を手掛ける。2000年代には美少女ゲームが原作の『AIR』、『CLANNAD』劇場版など、自らの新境地となる作品を監督した。2011年 逝去。
※練馬にいた!アニメの巨人たち第5回第6回第7回第8回では、出﨑統監督をとりあげています。
■ 「ガンバの冒険」
東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1975年に全26話が放送されたTVアニメ。斎藤惇夫の児童文学作品「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」が原作。ねずみのガンバと仲間たちが、とある島を支配する白イタチ・ノロイを倒すため冒険の旅に出る。圧倒的な強さのノロイに、ガンバたちは勝てるのか⁉
原作:斎藤惇夫、監督:出﨑統、キャラクターデザイン・作画監督:椛島義夫、美術監督:小林七郎
※当サイトでは、練馬アニメカーニバルで行われた「放送40周年『ガンバの冒険 』記念ステージ」のレポートと動画を掲載しています。
■ 芝山 務(しばやま つとむ)
アニメーション監督、演出家。1963年に東映動画に入社。その後1966年にAプロダクションへ移籍。「ムーミン」(69-70)や「ど根性ガエル」(72-74)などのTVアニメの作画監督を務め、1975年の「ガンバの冒険」では場面設定・レイアウトを担当した。1978年にはアニメスタジオ・亜細亜堂の設立に参加。1983年の『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(映画版第4作)から2004年の『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』(映画版第25作)まで、『ドラえもん』映画版大長編22作の監督を務めた。
■ 「鉄腕アトム」
虫プロダクション(旧)が制作し、1963~66年まで全193話が放送されたTVアニメ。日本初の30分枠連続TVアニメでもある。手塚治虫氏の同名マンガが原作。アトムは天馬博士が交通事故で死亡した息子のかわりとしてつくったロボット。御茶ノ水博士に引き取られ、人間のように心を持ったロボットへと成長していく。
原作・演出:手塚治虫、演出:杉井ギサブロー、山本暎一、富野由悠季、出﨑統 ほか
「キーワード」を象徴する作品

■ 三千里
「母をたずねて三千里」のこと。1976年にTVアニメシリーズ《世界名作劇場》の2作目として日本アニメーションが制作。原作は、イタリア文学の古典であるエドモンド・デ・アミーチスの「クオーレ」の挿入話”Dagli Appennini alle Ande”(アペニン山脈からアンデス山脈まで)。主人公は、イタリア・ジェノヴァに住む少年・マルコ。アルゼンチンに出稼ぎに行ったきり音信不通になった母を探す旅に出たマルコが、道中で出会った多くの人に助けられ、その優しさに触れながら成長していく物語。
原作:エドモンド・デ・アミーチス、監督:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一、場面設定・レイアウト:宮崎駿
※当サイトでは、高畑勲監督も登壇された《マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展》の内覧会の様子をレポートしています。
■ 「赤毛のアン」
1979年に日本アニメーションが制作し、全50話が放送されたTVアニメで《世界名作劇場》の5作目に当たる。原作は、L・M・モンゴメリの同名小説。高畑氏は演出と脚本を担当した。
カナダのプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から空想好きな赤毛の女の子アンを引き取る。アンはグリーン・ゲイブルズでの生活や、友人たちと過ごす学校生活を通して聡明な女性へ成長していく。
原作:ルーシー・モード・モンゴメリ、演出・脚本:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:近藤喜文、場面設定・画面構成:宮崎駿(15話まで)、桜井美知代
■ 山田くん
高畑勲監督作品『ホーホケキョとなりの山田くん』のこと。1999年に公開されたスタジオジブリ制作の劇場用アニメ映画。原作は、いしいひさいち氏の4コママンガ。平凡な家族の日常を明るく、あっけらかんと描いたホームドラマ。だが、ジブリ作品の中では『かぐや姫の物語』に次いで作画枚数が多い。
監督・脚本:高畑勲、絵コンテ・場面設定・演出、田辺修、百瀬義行、作画監督・小西賢一
■ 『火垂るの墓』
監督作品スタジオジブリが制作した、1988年公開の劇場用アニメ映画。高畑勲監督作品。原作は野坂昭如氏の短編小説で、氏の戦争体験を題材としている。戦時下の兵庫を舞台に、戦争により両親を亡くした兄妹が終戦前後の混乱の中を必死で生き抜こうとする姿を描く。
原作:野坂昭如、脚本・監督:高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督:近藤喜文
■ 『おもいでぽろぽろ』
スタジオジブリが制作した、1991年公開の劇場用アニメ映画。高畑勲監督作品。岡本蛍氏と刀根夕子氏による同名マンガが原作。1980年代の東京~山形を舞台に、27歳のOL・タエ子が、小学5年生の頃の自分を振り返りつつ、旅先で出会った人々と触れ合いながら成長してゆく姿を描く。
原作:岡本螢・刀根夕子、脚本・監督:高畑勲、キャラクターデザイン :近藤喜文、作画監督:近藤喜文、近藤勝也、佐藤好春
■ フレデリック・バック
カナダのアニメーション作家。『クラック!』(81)と『木を植えた男』(87)でアカデミー短編アニメ賞を2度受賞している。高畑監督は渡米中に観た『クラック!』に感銘を受け、その後バック氏と交流を持つようになった。
高畑監督の『ホーホケキョ となりの山田くん』(99)『かぐや姫の物語』(13)は、バック氏の作風を参考にしている。
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