練馬区アニメイベント
練馬アニメカーニバル2015
練馬アニメカーニバル2015 レポート
文化の秋、そしてアニメの秋! 「アニメ・イチバンのまち 練馬区」では10月17・18日の2日間にわたり、今年も「練馬アニメカーニバル2015」が盛大に開催されました! 会場となったのは練馬文化センターの小ホール、練馬区立区民・産業プラザ「Coconeri」と屋外スペースとなる平成つつじ公園。アニメにまつわるさまざまな催しが開催されるとともに、18日は第38回練馬まつりの一環としていくつかの催し物も実施され、たくさんのお客さんがつめかけました。
練馬アニメカーニバル2015 ダイジェスト映像
Pick Up!ちいさなネズミの大冒険活劇! 『ガンバの冒険』40周年記念イベント!(17日12:30~ @文化センター小ホール)
会場でははじめに、第2話「ガンバ、船で大暴れ」の上映から。なぜ第1話でなく第2話なのか? その理由はイベント中に明らかになります。
上映が終了すると、客席でお客さんと一緒に映像を拝見されていた主人公ガンバ役の野沢雅子さんが特別ゲストとして壇上に登場!少年役を演じたら右に出る者のいない、日本を代表する声優の登場に、会場は大きな拍手に包まれました。野沢さんからは、このガンバを演じていた当時の秘話をたくさん伺うことができました。
収録当時、キャストのみなさんはとても仲間意識が強かったらしく、仲間との絆を重視するこの作品だったからこそ、そういう意識が芽生えたんだろう、とのこと。なんでも、東京・赤坂での収録が終わると、毎回キャストのみなさんで一緒に中華料理を食べに行くのが定番だったとか。
それにしても、野沢さんが壇上で「ノロイはいつ見ても憎らしい!」と叫んでいた声は、まさにガンバそのものでした!
アニメ史におけるガンバの位置を おもしろく、わかりやすく解説!
続いては、第24話「白い悪魔のささやき」と最終話「最後の戦い大うずまき」の上映。終了後には、アニメ史研究で有名な「データ原口」こと原口正宏さんと、アニメライターの武井風太さんが登壇して、トークセッションが開催されました。「ガンバ」のアニメ史的な位置づけとはどういったものか、そして監督を務めたアニメ業界のレジェンド的存在である故・出﨑統さんが「ガンバ」で残したものとはなんだったのか、といった密度の濃いテーマで対談が繰り広げられました。
まず、この「ガンバ」の根底にはふたつの大きな流れがある、とのこと。日本アニメ草創期から劇場用アニメを製作していた東映動画と、そこから独立したAプロダクションの流れがそのひとつ。もうひとつは、手塚治虫さんが創業した会社で出﨑監督が所属した虫プロと、その後出﨑監督らが独立して創設したマッドハウスへの流れ。Aプロのアニメーション制作の方法論は、劇場用が主流だった東映動画の流れをくみ、動かす(作画による繊細な芝居ですべてを表現する)ことを大事にしていました。一方で、虫プロはテレビ向けのアニメ制作会社としてスタートしたため、予算と時間に相当の制限があるなかで、動きだけに頼らない方法論(質感をアップさせた止め絵の多用、実際の光を使用した撮影やスタイリッシュな構図・編集の工夫など)を確立していきました。
そして、この対照的ともいえるふたつの方法論の長所を組み合わせたのが『ガンバ』であり、それは、マッドハウスから出崎監督、Aプロから芝山努(レイアウト)、椛島義夫(作画監督)といったスタッフがドリームチームのように集ったからこそ実現した「伝統の技の融合」でもあった、というのです。
もうひとつ、出﨑監督作品の根底にあるのは「海と旅」であり、だからこそこのイベントではそれが象徴的に描かれた第2話でスタートした、とのことでした。おふたりは、アニメ表現の深くておもしろい話をとてもわかりやすく披露していただき、会場のみなさんも興味津々で聞き入っていました。
Pick Up!公開まで、いよいよあと1年!『この世界の片隅に』監督と原作者の静かで熱いトーク(17日16:30~ @文化センター小ホール)
アニメカーニバル初日を締めくくるのは、「『この世界の片隅に』公開まであと1年!記念トークイベント」。この映画は2015年3月よりクラウドファンディングで支援を募り、目標を大きく上回る支援を集め製作が正式に決定した作品で、2016年の公開が予定されています。
登壇したのは、このプロジェクトの中核を担う片渕須直監督と、原作漫画の作者であるこうの史代先生。トークセッションは片渕監督と原作漫画との出会いのエピソードからスタートしました。
片渕監督は、こうの先生の『夕凪の街 桜の国』とその実写映画からこうの先生のことを知り、そしてもうひとつの代表作『この世界の片隅に』のことを知りました。それから片渕監督は『この世界の片隅に』の映像化を構想し、こうの先生ご本人に宛てて、手紙と自身の代表作『マイマイ新子と千年の魔法』のDVDを送られたそうです。こうの先生はその時のことについて、「片渕監督の『世界名作劇場 名犬ラッシー』が大好きだったので、手紙をもらえたことがうれしくて枕の下に敷いて寝ました」と笑顔でお話しされていました。『マイマイ新子と千年の魔法』では「実際に見てきたように平安時代を描いていて、すごくびっくりしました。空気の澄んだ感じが伝わってきました」と絶賛。この作品を作り上げた方なら大丈夫、と思って喜んで進めていただくことにした、とのことでした。
そこで後に片渕監督とこうの先生を結びつけることになる、片渕監督の初監督作品であるTVアニメ『名犬ラッシー』の第1話を上映。こうの先生にも大きな影響を与えた作品です。終了後は、作品世界を創造するために細部にまで徹底的にこだわる片渕監督の姿勢が、このラッシーのときから生かされていたというお話で盛り上がりました。
引き続き、おふたりの話は作品づくりの方法論にまで広がります。こうの先生は、戦時中のことはまだ当時を知る方もいらっしゃるので、ウソがないように調べることに気を遣った、とのこと。『この世界の片隅に』は、なんと年表をつくってから描きはじめたのだそうです。このあたりの姿勢はおふたりに共通するようですね。
ふたりの合作アニメも登場!こだわりの映像描写は圧巻!
そんなふたりが合作したのが、NHKの東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」のアニメ版。こうの先生がキャラクターデザイン、片渕監督が監督・演出を担当した作品です。その映像が上映されると、主人公の女の子はファミレスで打ち合わせした際、こうの先生がその場で描いたものが元になっている、といった裏話が披露されました。
そしていよいよ、このイベントの目玉である『この世界の片隅に』のパイロットフィルムと、原作の冒頭部分にあたる「冬の記憶」の上映。この映像では、原爆により現在は失われてしまった広島・中島本町の町並みが、とてもリアルに、温かく再現されていて、広島出身のこうの先生も「人の息づかいが感じられる町に描いてもえらえて、広島人としてとてもありがたいです」と感慨深げでした。片渕監督は、ご自身の構想がこうして実現しつつあることに本当に感激していると話し、クラウドファンディングで予想を超える方々が参加されたことについて「ひとりひとりの熱量のすごさが本当に身に染みて、ありがたいと思いました」と、会場内外のみなさんに向けてお礼を述べられました。
こうして、たっぷりとおふたりの生の声が聞けて、1年後の公開が本当に楽しみになるような密度の濃いイベントとなりました。
Pick Up!練馬区が舞台となった超人気作品『四月は君の嘘』スペシャルなステージが開催!(18日16:00~ @文化センター小ホール)
練馬アニメカーニバル2015の締めを飾ったのは、TVアニメ『四月は君の嘘』のスタッフ&キャストによる生コメンタリーとトークイベント! 本作は、今年3月までに全22話が放送された新川直司の漫画を原作とするアニメ作品で、練馬区内が主な舞台となっています。美しいクラシック音楽と、主人公たちの青春物語が見事に融合し、たくさんの熱狂的なファンを生み出しました。
ステージには、ヒロインの宮園かをりを演じた種田梨沙さんと、相座凪を演じた茅野愛衣さん、イシグロキョウヘイ監督、そして司会の宣伝プロデューサー・相川さんが登場。生コメンタリーということで、さっそく第18話を上映しながら即興トークを展開しました。登壇しているみなさんの呼吸がぴったりと合っているのが、とても印象的でした。
そしていよいよ本放送最終話にあたる第22話の開始! 監督は、本話にアバンタイトルが入っていない理由について「かをりと公生の物語だから、そこに集中したかった」ため、と言及するなど、演出面での裏話を多く披露してくれました。とにかく泣けるラストなので、キャストのおふたりのみならず監督も涙を抑えるのが大変な様子でした。
貴重な生コメンタリーとトークで殿堂入り確実の名作を語りつくす!
そして休憩をはさんで、舞台中央にピアノが登場。なんと、司会を担当する相川さんがここで曲を披露することに! 相川さんは作品のインターネットラジオの企画でもピアノを弾き、ファンの間ではお馴染みの企画なのだそうです。曲は、第1話でかをりが子供たちと演奏した「ハトと少年」。当日に猛練習したということでしたが、主人公の有馬公生のようにという訳にはいかない様子でした。そしてキャストのおふたりと監督によるトークが再開。みなさんの、この作品に対する深い思い入れが感じられる時間となりました。
そして最後に、3人がそれぞれご挨拶。茅野さんは「ほんとに幅広い方々に愛されている、素敵な作品だと思いました。こういう作品は出たくても出られないので、イシグロ監督をはじめとする方々に出会えたことに感謝したいです」とのこと。
昨年もこのアニメカーニバルに参加された種田さんは「こうして1年後にもイベントを開催していただいたことが、なによりもうれしいです。この作品は大好きな作品なので、またこういう舞台に立てたらいいな、と思います」とご挨拶。
そして締めに、イシグロ監督は「人との出会いなど、<縁>を強く感じた作品でした。すぐに忘れられていく作品ではなく、心に残る作品をつくりたかったので、そういう作品にはなってくれたかな、と思っています。本当に作品に恵まれました。またよろしくお願いします」というご挨拶でステージは閉幕しました。
「つよく、やさしく、美しく!」プリキュアたちの活躍に大歓声!(18日10:15~ @文化センター小ホール)
Prizmmy☆とプリズム☆アイドル研究生’sが登場! 総勢8人で迫力のダンス!(18日12:30~ @文化センター小ホール)
18日(日)の午後のステージは、人気ゲーム&アニメ『プリパラ』のライブからスタート!
オープニングを飾ったのは、Prizmmy☆の妹分となるプリズム☆アイドル研究生’sの4人。楽しい振りつけを会場のみなさんにレクチャーして、『プリパラ』(第2シーズン)のエンディングテーマ「アイドルキンリョク♥Lesson GO!」を一緒に歌って踊りました。
続いては、いよいよガールズダンス&ヴォーカルユニットPrizmmy☆が登場! お父さんお母さんも知っている有名な曲「EZ DO DANCE」「CRAZY GONNA CRAZY」を立て続けに熱唱しました! さらに新曲となる「I Just Wanna Be With You ~仮想と真実の狭間で~」も披露してくれました。実は彼女たち、練馬アニメカーニバルは3年連続の出場。息の合ったダンスはもはや圧巻の域でした!
最後はプリズム☆アイドル研究生’sの4人も加わり、8人でステージに。『プリパラ』(第1シーズン)のエンディングテーマ「Jumpin’! Dancin’!」を元気に歌ってくれてステージのクライマックスを迎えました。
やっぱりアニソンは熱い!グランプリフォルダ2人が登場!(18日14:15~ @文化センター小ホール)
18日(日)の小ホールは元気なステージが連発! 続いては「J:COM×アニマックスpresents 河野マリナ&小林竜之アニソンステージ」が開催されました。
河野マリナさんは2010年の第4回全日本アニソングランプリ、小林竜之さんは同グランプリの第7回目で優勝した実力派シンガー。ふたりのグランプリフォルダが展開するステージは圧巻のひとことでした!
まずは河野さんが、TVアニメ『Aチャンネル』のOPテーマで自身のデビューシングルとなる「Morning Arch」など3曲を披露。合間のMCでは軽快なトークで観客のみなさんを笑いの渦に巻き込んでいました。
続いては小林竜之さんがステージに登場し、TVアニメ『最強銀河 究極ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』のOPテーマ「ZERO」を披露! 曲が終わると河野マリナさんもステージで合流し、歴代アニソングランプリフォルダで構成されたAG7の歌う「Endless NOVA」をふたりで熱唱! MCでは息の合った絶妙のトークが展開されました。
そして最後に、『物語』シリーズの人気デュエット曲「木枯らしセンティメント」と、小林竜之さんと鈴木このみさんによる『FAIRY TALE』のOP曲「NEVER-END TALE」の2曲を立て続けにデュエット! めったに見られないコラボレーションと曲に加え、マリナさんが前夜に考えたという即席のダブル振りつけも披露して、大熱狂のうちにステージは幕となりました。
練馬区ゆかりの作品の数々 そして世界中のアニメまで!(両日 @Coconeriホール 上映コーナー)
Coconeri区民・産業プラザのホールでは、新作アニメのPVをはじめ、さまざまなアニメ作品が上映されました。練馬区を舞台にした『ロボットガールズZプラス』をはじめ、『ガンバの冒険』の出﨑監督の代表作である『あしたのジョー2』、その『ガンバの冒険』のもうひとつの流れであるAプロの代表作にして実写ドラマ化もされて話題になった『ど根性ガエル』(17日のみ)、『この世界の片隅に』の片渕監督の、プロデビュー初脚本作品でもある『名探偵ホームズ』と、当日のイベントに関連した作品も上映。さらに練馬区の友好都市である長野県上田市の制作したアニメ『SARUTOBIくん 動画秘帖の巻』など、興味深い作品が目白押しでした。
また17日(土)には、日本大学芸術学部の作品集、そしてフランスのアヌシーで毎年開かれる「アヌシー国際アニメーション映画祭」で公開された世界各国のアニメーション作品も登場。映画祭の作品は、日大芸術学部の野村建太先生によるガイドトークとともに鑑賞しました。アヌシー市は練馬区とアニメ協定を結んでいて、とても縁の深い町。上映作品もイラン、フランス、ドイツ、セネガルと国際色豊かで、アニメは世界共通語なんだと再認識させられる上映会でした。
18日(日)には、これらの作品に加えて劇場版『フランダースの犬』も上映。多くのアニメファンや家族連れがネロとパトラッシュの悲しい物語に涙していました。
切手から先行販売ものまで! アニメのマルシェ(市場)が登場!(両日 @Coconeriホール アニメマルシェ)
観て、読んで、知る 練馬とアニメの深い歴史(両日 @Coconeri産業イベントコーナー)
「動かす楽しみ」をみんなで共有!アニメの学校@ねりまがオープン(両日 @Coconeri研修室)
産業イベントコーナーの隣に広がる研修室では、練馬区が実施する「アニメ産業と教育連携」事業の体験コーナーとして、「アニメの学校@ねりま」が開かれました。
開催されたのは2つのコーナー。「2枚で動く!パラパラアニメづくり」では、ねり丸の絵を2枚描き、表情をつくって動かすという作業を、もうひとつの「アニメのお仕事体験 クリンナップに挑戦!」では、ラフに描かれた絵をアニメ用にクリンナップする作業を体験しました。自分の描いた絵が実際に動く様子をみて、歓声があがる場面も。どちらのイベントも多くの子供たちがつめかけ、とても熱心にペンを走らせていました。
18日(日)には、「平成27年度文部科学省アニメ・マンガ人材養成産官学連携事業」の一環として「プロを目指す高校生のためのアニメ進路ガイダンス『ヤングブラック・ジャック』で知るアニメの仕事」が開催されました。これは、次世代のアニメ・マンガ業界を担う人材の育成のために、文科省事業として産業界と各種学校が手を組んで開催しているプロジェクトで、この練馬アニメカーニバル2015でのガイダンス開催が実現したのでした。当日は「プロデュース編」「アニメの仕事・制作編」「デジタル制作体験」の三部構成で行われ、第一線で活躍するプロデューサーやアニメーターの方のレクチャーが、実際のアニメ制作素材やノートパソコンを使った講義の形式で展開されました。将来、こうした取り組みから出てきた人材がアニメの未来を担ってくれるといいですね!
秋晴れのもとでステージを楽しみ、出店に舌つづみ! 催しを家族いっしょに(両日 @平成つつじ公園)
練馬文化センターとCoconeriをつなぐ平成つつじ公園のオープンスペースでは、17日・18日の両日にわたってステージが組まれ、各種イベントが展開されました!
17日(土)の正午から開始された「練馬アニメカーニバル2015」の開催を宣言するオープニングセレモニーでは、練馬区の公式アニメキャラクター・ねり丸と、ケーブルインターネット ZAQのキャラクター・ざっくぅ、そして西武鉄道のキャラクター・レイルくんとスマイルちゃんが登場。ゆるキャラたちの登場に、子どもたちの歓声が広がりました。
この日はねり丸がさらに2回、ステージに登場。クイズコーナーでは「ねり丸のモチーフになった動物は?」といった質問が出され、客席の子供たちが元気に答えていました。ねり丸との記念撮影コーナーも設けられ、たくさんのちびっこたちが列をつくっていました。
18日(日)の正午には、アメリカの人気オーディション番組「America’s got tarent」で優勝し、一躍有名になった世界的なダンサー・エビケンこと蛯名健一さんがステージに登場! 同日に開催された「エビケン ザ・ショータイム」に先立って、つつじ公園に遊びに来てくれました。ステージではミニトークのほか、世界トップレベルのダンスパフォーマンスを披露。間近で見る鋭いダンスに、客席のみなさんも思わず見入っていました。
18日のその後は、2回にわけて『Go!プリンセス プリキュア』のミニステージが開催。女の子たちの夢のヒロインが登場すると、会場を埋め尽くした小さい女の子たちの歓声がとどろきました!
そして17日と18日の両日ともに、地元商店会の出店「商店街よりどりichi」が華を添え、会場には終始おいしそうな匂いがたちこめていました。
『この世界の片隅に』 ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
『四月は君の嘘』 ©新川直司・講談社/「四月は君の嘘」製作委員会
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