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練馬アニメカーニバル2019

練馬アニメカーニバル2019 レポート

「アニメの祭りだ、ネリマに行くぞ。」をスローガンに、アニメーションを、より深く、楽しく、身近に感じてもらうためのイベント「練馬アニメカーニバル2019」が、2019年11月16日に開催されました。
今回のメイン会場は、練馬文化センター、区民・産業プラザCoconeri、平成つつじ公園、ペデストリアンデッキの4カ所。
各会場の様子やプログラム内容などの当日の様子を、映像とレポート記事で順次紹介していきます!

練馬アニメカーニバル2019 ダイジェスト映像

  • 全体ダイジェスト

  • 《『SSSS.GRIDMAN』 アニメと特撮の邂逅》ダイジェスト

  • 《映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開1ヶ月前トーク》ダイジェスト

  • 《名匠・出﨑統監督を語ろう》ダイジェスト

  • 《機動警察パトレイバー30周年突破記念企画展 in 練馬》ダイジェスト

  • 《『なつぞら』アニメーション時代考証 小田部羊一氏が語る にっぽんアニメ黎明のころ》ダイジェスト

  • 《アニメが好きで日本に来ちゃいました》ダイジェスト

  • 《ALL THAT JAZZ スペシャルライブステージ》ダイジェスト

  • 《東京ブラススタイル スペシャルライブステージ》ダイジェスト

練馬文化センター 小ホール

『SSSS.GRIDMAN』アニメと特撮の邂逅

練馬文化センター小ホールでの最初のプログラムは、〈『SSSS.GRIDMAN』アニメと特撮の邂逅〉。『SSSS.GRIDMAN』は、 『グリッドマン』 を原作とするアニメで、2018年の秋に放送され、幅広い層の人気を博しました。
今回のイベントは、第12回「覚醒」の上映からスタート。その後、雨宮哲監督、脚本家の長谷川圭一さん、ヴィット役の声優・松風雅也さんがステージに登場すると、会場からは大きな拍手が上がります。
雨宮監督と長谷川さんにとっては思いのほか大きい会場だったようで、やや緊張気味なご様子。その緊張をやわらげるために松風さんが最初から冗談をとばして会場の笑いを誘います。松風さんは話し手としてだけではなく聞き手にも廻り、トークのムードメーカーとなる活躍ぶりでした。

まずは上映された第12回(最終回)の話題からはじまり、コンピュータ・ワールド内でのストーリー展開になった経緯などに広がっていきます。雨宮監督によると、制作を進めるにあたり、円谷プロダクションがとても協力的で、かなり自由にやらせてもらったそうです。

そして、このイベントのテーマに絡んだ「なぜ特撮作品をアニメ化したいと思ったのか」といった話題へと切りこんでいきます。雨宮監督曰く「ウルトラマンは描くのが難しいけど、グリッドマンはデザインがアニメのラインに乗りやすく、描くと気持ちいい。だから“描きたい”と思ったのが理由のひとつ」とのこと。そして平成ウルトラマンシリーズなど多くの特撮作品の脚本を手掛けている長谷川さんという力強い味方を得て、企画が実現したそうです。

『電磁戦隊メガレンジャー』でメガブルーを演じるなど、役者として特撮作品に参加されてきた松風さんにとっても、この作品は特別だったようで、ご自身が演じたヴィットというキャラクターにも強い思い入れがある様子でした。そのヴィットと作中で絡むことの多かった、六花ママ役の新谷真弓さんとのアドリブ勝負も、本作の見どころのひとつ。松風さんがそれに触れると、たまたま午後の出演イベントの前に客席で聞いていた新谷さんからツッコミが入り、会場は爆笑に包まれました。

その後も、「新世紀中学生」という作中の重要キーワード、特撮とアニメの違いについてなど、貴重な話が多数ありつつ、トークはお開きとなりました。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開1ヶ月前トーク

13時からのイベントは〈『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開1ヶ月前トーク〉です。
2016年の公開から今なおロングランが続く映画『この世界の片隅に』。その大ヒットを受け、約30分におよぶシーンの追加などがなされた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の制作が決定。2019年に公開予定となっていましたが、更なるクオリティアップを目指し、制作が延長されていました。 そして、本作の公開が2019年12月20日(金)に決定。これを記念したトークイベントが開催されました。
登壇者は、主人公すずの義姉・黒村径子役の尾身美詞さん、白木リン役の岩井七世さん、すずの義母・サン役と広島弁の方言ガイドも担当された新谷真弓さんの3名。まさに「女子会トーク」の様相を呈することとなりました。

ゲストの方々が登壇後、本編の特報映像3本の上映からイベントはスタート。そしてトークは、「3人が新作をどう受け止めたか?」というお話から入ります。前作で触れられていた、ちょっとした出来事やカットに深い意味づけがなされていて感動した、と3人は口をそろえて語り、新谷さんの「心を震わされた」という率直な感想も印象的でした。

そして話題は、貴重なアフレコの裏話へ。今回片渕監督は、原作にないセリフやモノローグを多数追加し、モブシーンのセリフ(ガヤ)にさえ、ひとつひとつこだわっていたとのこと。そのすべての方言ガイドを担当した新谷さんは、現場での苦労をしみじみと語っていました。

尾身さんは、小松菜の種を見せるシーンで監督から「もっともっと自慢げにやってほしい」と指導されたのが印象的だった、といいます。

今回、大幅にシーン増加となった白木リン役の岩井さんは、「桜の木の上で、すずさんとお話をするシーンが複雑でとても難しかった」と振り返りました。

監督は、すずさんとリンさんのやりとりにも相当こだわりをみせたようで、演技指導をする片渕監督について「本当に少女のようだった」と岩井さんが語ると、尾身さんも新谷さんもうなずくばかり。新谷さんは「片渕監督は乙女」と結論づけ、会場の笑いを誘っていました。

3人ともに、この作品を愛し、情熱をこめて参加されたであろうという様子が、トークからもひしひしと伝わり、充実したイベントとなりました。
練馬アニメカーニバルでは、『この世界の片隅に』と片渕須直監督の応援プログラムを2013年から続けており、2015年からは動画も公開しています。

名匠・出﨑統監督を語ろう~TVアニメ『エースをねらえ!』第26話(最終話)と『ブラック・ジャック(OVA)』を上映~

練馬文化センター小ホールのトリを飾ったのは〈名匠・出﨑統監督を語ろう〉。2011年に惜しまれつつ他界されたアニメ界のレジェンド・出﨑統さんの偉業を再確認するイベントです。
まずは、出﨑演出黎明期の作品であるTVアニメ『エースをねらえ!』第26話(最終話)「ひろみ対お蝶!最後の対決」(73)と、それから約20年を経て、円熟味を増した出﨑演出が光る『ブラック・ジャック(OVA)』カルテ3「マリア達の勲章」(93)の2本の上映からスタートしました。

上映終了後は、出﨑監督の盟友であるプロデューサーの丸山正雄さん、出﨑監督作品『源氏物語千年紀 Genji』(09)で紫の上とナレーションを担当した声優の遠藤綾さん、アニメ史研究家の原口正宏さん、聞き手の編集者・菊地武司さんが登壇し、トークへと移ります。
まずは原口さんから、出﨑監督が虫プロに入社した経緯や、その当時のアニメ制作現場の状況などの解説がありました。当時をよく知る丸山さんは「(出﨑監督との)思い出は山ほどある」と切り出し、出﨑監督との出会いから人となりを振り返りつつ、貴重なお話をたくさん披露されました。

日本のアニメ史を語るうえで欠かせない出﨑演出は、どうやって生まれたのか。原口さんがその流れを解説しつつ、丸山さんが当時のリアルを振り返ります。出﨑監督のターニングポイントともなった『あしたのジョー』について、丸山さんは「虫プロは(アニメ史のなかでも)異端児。なかでもジョーは異端児のなかの異端児」と位置付けていました。

ハーモニーや透過光の演出など、出﨑監督を代表する演出技法は、当初こそ技術的に難しいところもありましたが、監督の晩年になってようやく「技術が追いついた」(原口)という言葉は印象的でした。

可能な限りすべての作品の絵コンテを自分で切り、いかに少ない作画枚数のなかで効果的な演出をするかを追求した出﨑監督。そんな監督を、遠藤さんは「いつも何か描いていた印象。だけどおだやかなお人柄だった」と振り返ります。師匠にあたる声優の故・野沢那智さんが、『源氏物語千年紀 Genji』の出演が決まったときに「とてもよい監督だから、がんばれ」と励ましてくれたのを覚えているそうです。

そして最後に丸山さんは「訃報を聞いたときに、出﨑は青春の人、老いを拒否した人だったんだな、と思った。あの生き方は誰にもまねできない。こうやって作品を振り返ってもらえて、出﨑は「どうだ、俺のものだぞ」と、あの世でほくそ笑んでいると思う」と、しみじみと語られました。

平成つつじ公園 つつじステージ

練馬文化センターとCoconeriの中間地点にある平成つつじ公園。ここには「つつじステージ」を設け、様々なプログラムを実施しました。

カーニバル・ナビゲーションDJ~オープンステージ

「練馬アニメカーニバル2019」のスタートは11:00。
つつじステージでは、カーニバル・ナビゲーションDJが始まりました。

ナビゲーターを務める須藤沙織さんと解説担当の桑島龍一さんは、アニメカーニバルへの登壇は今回で3回目。須藤さんは、『エリアの騎士』の群咲舞衣役や『劇場版 コードギアス 反逆のルルーシュ』で天子役を演じた新進気鋭の声優さんです。
カーニバル・ナビゲーションDJは計3回行われ、各プログラムの内容や見どころなどの紹介を行いました。

続いて開催されたオープニングステージには、練馬区公式アニメキャラクターの「ねり丸」、J:COMが展開するケーブルインターネットサービスZAQのキャラクターである「ざっくぅ」、西武鉄道のキャラクターである「レイルくん」と「スマイルちゃん」が登場。会場のみなさんと声を合わせ、「練馬アニメカーニバル2019、スタート!」と、開会を宣言しました。その後、各キャラクターは会場に集まった子どもたちと触れ合い、たくさんの方々が写真に収めていました。

ALL THAT JAZZ スペシャルライブステージ

11:30と13:00の2回、ピアニストの野上朝生さんたちが参加する人気JAZZユニット「ALL THAT JAZZ」のスペシャルライブステージが行われました。練馬アニメカーニバルには、2年ぶり3回目の登場です。

ALL THAT JAZZの特長は、アニメ作品のテーマ曲をJAZZ風にアレンジして演奏すること。今回のステージは、キーボード、サックス、ベース、ドラムの4名編成。オープニング曲として『キューティーハニー』の演奏が始まると、その軽快なサウンドに観客の心が惹きつけられ、演奏が終わった瞬間、会場は大きな拍手に包まれました。その後も、『ONE PIECE』や『銀河鉄道999』、『ゲゲゲの鬼太郎』など、東映アニメーション作品のテーマ曲を中心に演奏が続き、魅力的なサウンドで観客を楽しませてくれました。

東京ブラススタイル スペシャルライブステージ

14:00と15:30からは、東京ブラススタイルのスペシャルライブステージが開催されました。 東京ブラススタイルは、トロンボーン×2、トランペット×3、サックス×2のホーンセクションと、ベース、ドラム、キーボードの計10名で構成されたガールズバンド。ジャズやスカといった幅広い音楽ジャンルをベースとして、アニメソングなどを大胆にアレンジして聴かせる実力派です。昨年に続き2回目の登場となりました。
演奏が開始されると、その軽快な音色につられて多くの方々がステージ前につめかけます。

今回の演奏曲は、『宇宙戦艦ヤマト』など定番中の定番から、『ふたりはプリキュア』など近年にスタンダードとなった楽曲まで、バラエティ豊かなラインナップ。楽曲のノリのよさもさることながら、清潔感あふれる純白の衣装と、ときおり見せる息の合った振り付けで会場を魅了していました。
2回目のステージの最後は、練馬とも縁の深い名作『鉄腕アトム』のテーマソングを大胆にアレンジした楽曲を披露。お別れのメンバー紹介をしつつ、曲がいつの間にか『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマ「おどるポンポコリン」に変化するという楽しいアレンジで、最後まで観客を楽しませていました。

ねり丸のアニメクイズ

14:00と15:30からは、東京ブラススタイルのスペシャルライブステージが開催されました。 14:30からは、毎年恒例の「ねり丸のアニメクイズ」が開催されました。練馬とアニメに関する3択クイズに、集まった子どもたちから次々と手が挙がりました。
正解者には「ねり丸鉛筆」3本セットと「ねり丸クリアファイル」が、不正解でも残念賞として「ねり丸シール」がプレゼントされました。

Coconeri/つつじステージ連動企画

機動警察パトレイバー 30周年突破記念企画展 in 練馬

練馬アニメカーニバル2019では、新しい試みとして、Coconeriと平成つつじ公園の2つの会場を連動させたイベントを企画。昨年大好評だった『機動警察パトレイバー』が参加しました。
1988年にOVAシリーズと週刊マンガ誌の連載でスタートし、映画やテレビアニメ、小説でもストーリーが展開された『機動警察パトレイバー』。2017年6月には新作『パトレイバー EZY』の始動が発表されるなど、誕生から30周年を突破した現在も多くのファンから注目され、新たな歩みを続けています。 今回の企画では、トークイベント(2会場)、資料展示、物販を展開することになりました。

つつじステージ トークイベント

今回のゲストは、『機動警察パトレイバー』の原作者集団HEADGEARで、シリーズ構成や脚本を務める伊藤和典さん。シリーズ中の多くの作品に参加している、作品世界の〈キーマン中のキーマン〉が登壇するとあって、ステージ前には人垣ができる盛況ぶりとなりました。
聞き手は、カーニバル・ナビゲーションDJで解説を担当した、桑島龍一さんが務めます。
トークは、パトレイバーと伊藤さんの関わりから、シリーズ展開のなかでのご自身の立ち位置、といった話題で進みました。

30代の前半はほぼパトレイバーの仕事でいっぱいだったという伊藤さんは、TVシリーズやOVA、そして絶大な人気を誇る劇場版2作品の生みの親のひとりでもあります。
なかでも、現在に至るまで語り草となっている映画『機動警察パトレイバー2 the movie』の異色ぶりについて、伊藤さんは「(パトレイバーの世界観は)多少のことでは揺るがない。後藤(特車二課の後藤隊長というキャラクターのこと)がいればパトレイバー」と言いきります。一方で「あれは押井守の戦争論文」と語り、会場からは大きな笑いがおきました。
そして、30周年記念作品ながら、いまだ謎のベールに包まれている新作『機動警察パトレイバー EZY』については「2030年ごろ(の時代)を想定している。特車二課第二小隊の話」といった簡単な内容だけ触れつつ、つつじステージでのお話は終了。続きはCoconeriホールでのトークイベントに引き継がれました。

Coconeriホール トークイベント

つつじステージから場所を移し、Coconeriホールでも伊藤和典さんのトークイベントが行われました。
聞き手は引き続き、桑島龍一さんが務めます。
約8割の方がつつじステージのトークにも参加されていたことから、つつじステージとは異なる視点からの質問を伊藤さんに投げかけ、とっておきのエピソードや裏話を聞き出します。
30周年の感想を聞かれた伊藤さんは、「良く生き残ったな、というのが正直な感想です」と答えます。

トークの中で観客のみなさんが大きく身を乗り出したのは、製作秘話が明かされたとき。作品の背景が埋立地になったのは押井さんの発案と言われていますが、「実はそうではなく」という衝撃の真実を初公開。「劇場版3つの誓い」(※「娯楽の王道をいくこと」、「主役でありながらOVAでの活躍が少なかった遊馬と野明が大活躍すること」、「レイバー対レイバーの戦いを描くこと」)を掲げた理由についても、驚きの裏側が紹介されました。
さらに、実写版パトレイバーが、いろいろな意味でHEADGEARを再結集させる力になったとも。
最新作『EZY』の内容にも触れ、ある発想によって少しだけ今の東京をアレンジしていることを紹介すると、会場は大きな拍手と歓声に包まれました。
そして最後に「パトレイバーは、まだまだ続きます!」と、力強く宣言されました。

Coconeri産業イベントコーナー 歴代ポスター展示

産業イベントコーナーでは、機動警察パトレイバー 30周年突破記念企画展 in 練馬(資料展示)として、歴代のポスターを展示しました。
ポスターは、初期OVA(アーリーデイズ)、劇場版3作、TVシリーズ、新OVAなど全25点。すべて当時の貴重な実物が用意されました。
こちらは撮影も可能で、訪れた多くのファンが懐かしいポスターに見入りながら、カメラに収めていました。

区民・産業プラザCoconeri

産業イベントコーナー アニメ文化トークサロン

産業イベントコーナーのトークスペースでは、アニメに関する3つのテーマを取り上げるプログラム〈アニメ文化トークサロン〉を展開しました。

『なつぞら』アニメーション時代考証 小田部羊一氏が語る にっぽんアニメ黎明のころ

東映動画出身で、日本のアニメ黎明期から活躍してきた小田部羊一さん。
2019年4月~9月まで放送された朝の連続TV小説『なつぞら』では、アニメーション時代考証を担当されました。『なつぞら』の主人公・なつのモデルと言われている女性アニメーター・奥山玲子さんは、小田部さんの奥様でもあり、小田部さんと奥山さんのアニメーターとしての経験が、ドラマにも反映されています。

今回のプログラムでは、アニメ評論家の藤津亮太さんが進行役となり、小田部さんご自身が体感された日本アニメーションの黎明期について語っていただきました。
『少年猿飛佐助』(59)では、制作班長の楠部大吉郎さんが描く絵を見たときに魅力的なキャラクターが1本の鉛筆の線から生まれることに感動し、『わんぱく王子の大蛇退治』(63)で〈アニメーションのキャラクターというものは、活き活きと動いてこそ初めて生命が宿る〉ということを実感したエピソードを明かされました。
東映動画初の連続TVアニメ『狼少年ケン』(63)では、従来のフル・アニメーションではなく、リミテッド・アニメーションを採用。セル画を1秒24枚から1秒8枚に減らすなど、斬新に感じながらも、自然に見える工夫に取り組んだことを紹介。

『どうぶつ宝島』(71)では、池田宏監督から「波の複雑な動きをみんなが簡単に描けるように考えてほしい」と頼まれ、1カ月の時間をかけ新手法を確立。「その手法が50年近く経った今でも使われるとは思ってもいませんでした」とのコメントで会場を笑いで包むなど、数々の興味深い話が披露されました。

製作者から見たアニメ海外市場の現在

2018年度のアニメ海外市場は、約1兆円。この巨大市場を、日本のアニメ製作者たちはどう見ているのか?というテーマで実施されたプログラム。
ゲストに、日本とアメリカで大ヒット中の映画『プロメア』をプロデュースしたミクシィの鵜飼恵輔さん、Netflixで来春から配信される『攻殻機動隊 SAC_2045』のプロデューサーを務めるProduction I.Gの牧野治康さん、マーケティングの視点から作品の国内外への展開をサポートする博報堂の森保之さんを迎え、エンタメビジネスに精通する編集者/ライターの稲田豊史さんによる司会で、それぞれの想いを語ってもらいました。

話は、アニメ作品をブランド米に例える形で展開。「いい米をつくれば世界に認められることを、黒澤明監督と宮崎駿監督が証明している」「その米を、アメリカや中国など、各市場の好みに合わせて料理しているのがNetflix」といった紹介がありました。
また、製作予算が10倍になれば、「『スパイダーマン:スパイダーバース』をしのげるくらいの作品がつくれる」という現場の声を紹介。これに対し、「どこにその予算を投入するのが最も効果的か?」という話題で大いに盛り上がりました。

今後5年間の展望について、鵜飼さんと牧野さんが「引き続きいい米づくりを」と語ったのを受け、「その環境整備に努めたい」と森さんが応じます。
このほか会場からは、登壇者に対する質問も挙がりました。その中の「プロメアが公開から3週目に大ブレークした要因は?」との質問に鵜飼さんは、「オリジナル作品なのでスタートダッシュを期待するのは難しいものの、作品の力があるので、口コミで徐々に話題が広がると信じていました。3週目にもプロモーションを用意していて、そのタイミングが上手く重なってくれたのかなと思います」と答えられていました。

アニメが好きで日本に来ちゃいました

昨今、日本のアニメに魅せられ来日し、アニメ関連の仕事に就く外国人の方が増えています。
このプログラムは、そんな経緯で日本にやって来た3人の外国人をゲストに、日本のアニメについて熱く語ってもらいました。
今回お招きしたのは、アメリカ出身でエンタメ作品の翻訳に携わっているマット・アルトさん。ペルー生まれのイギリス育ちでアニメと社会を題材にした研究に従事し、大学で教鞭も執るレナト・リベラ・ルスカさん。オーストラリア出身で北米最大級アニメ関連ニュースサイトの東京特派員を務めるキム・モリッシーさん。
司会は、声優の須藤沙織さんが務めました。

マットさんは「マジンガーZやガンダムのおもちゃ」、レナトさんは「マクロス、ミンキーモモ、鉄人28号」、キムさんは「ポケモンとドラゴンボール」という日本アニメとの出会いからトークはスタート。
そして、日本行きを決意させたアニメとの関わり方、来日して衝撃を受けた日本のアニメ事情、最近の注目作品へと話題が続きます。

さらに、「匠の微細な表現手法」(マットさん)、「トータルな作品クオリティの高さ」(レナトさん)、「巧みに紡がれた長編ストーリー」(キムさん))など、それぞれの視点から日本のアニメの魅力を紹介しました。
また、海外で議論を呼んでいるNetflix配信の『新世紀エヴァンゲリオン』の翻訳のことなど、日本アニメが置かれてきた海外の状況も紹介。海外との合作など、時代とともに進化している日本のアニメの新たな可能性の実現に期待し、貢献もしたいというメッセージも聞かれました。

Coconeriホール・ホワイエ

Coconeriホールとホワイエでも、様々な催しが行われました。
ホールの上映コーナーでは、トークイベントも実施。ホールとホワイエにはアニメマーケットとして5つのブースが出展。新作アニメのプロモーションも行われました。ホワイエの中央では、「第23回 手塚治虫文化賞」と、世界都市農業サミットPRアニメ『まちなかの農』に関する展示コーナーも設置されました。

「星界 Complete Blu-ray BOX」発売記念!『星界の戦旗Ⅲ ~家族の食卓~』上映生コメンタリー

森岡浩之さんの人気小説を原作にアニメ化され、1999年に放送された『星界の紋章』。放送20周年を記念し、映像化された星界シリーズ全作品を収録した「星界 Complete Blu-ray BOX」の発売が2019年12月に決定。これを記念したプログラムが実施されました。
長岡康史監督、ラフィール役の川澄綾子さん、エクリュア役の清水香里さんがゲストとして登場。司会を務めたバンダイナムコアーツの松田宙さんと、ビースタックのプロデューサーである大橋豊さん、そして会場に集まったみなさんと一緒に、アニメシリーズ最終章となるエピソード『星界の戦旗Ⅲ ~家族の食卓~』を鑑賞しながらの生コメンタリーが行われました。
上映が始まると、長岡監督、川澄さん、清水さんが、それぞれ印象に残っているシーンやセリフ、アフレコ現場のエピソードなどを紹介。映像を見ながら、作品が制作された当時を思い出し、とびっきりのエピソードトークで盛り上がりました。

上映後にはコミカライズの作者である米村孝一郎先生が描き下ろした、ラフィールの将来を予想したイラストも紹介されました。
最後に「いつかまた、みなさんとお会いできる日を楽しみにしています」とのコメントが、3名のゲストから観客のみなさんに送られました。

日本大学芸術学部制作作品集 専任講師・野村建太さんによるガイドトーク付き上映

今回のアニメカーニバルでも、日本大学芸術学部の学生が制作したアニメーションを上映しました。
12:15からの回は、同学部映画学科の専任講師・野村建太さんによるガイドトーク付きで実施されました。
日本大学芸術学部の映画学科といえば、映画『この世界の片隅に』(16)の片渕須直監督が特任教授を務めていることでも知られています。今回上映された作品を制作した学生たちも、みな片渕監督の薫陶を受けた方ばかりでした。

最初の上映作品は『ガラスのしずく』。子ども向けを意識したという作品は、ストーリーを重視した優しい感性あふれる作品となっていました。 2本目は『Give Me!!!』。ビデオで撮影された実写映像をなぞって制作する「ロトスコープ」という技法が取り入れられ、独特の世界観が展開されていました。
3本目は『ゴミ箱の中の夢』。ポップでコミカルな世界観のなかに、哲学的な要素を盛り込んだ作品で、過去のアニメや特撮番組を研究して制作されたことが伺えました。
4本目は『スロウ・スナイパー』。現代的なコメディで、エンディング曲の歌唱も含めてほぼひとりで制作したという力作でした。

講師の野村さんは片渕須直監督の教え子であり、在学時、映画『マイマイ新子と千年の魔法』(09)に作画協力として参加。また、映画『この世界の片隅に』(16)、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(19)では、特殊作画・演出補・撮影監督として活躍しています。野村さんが制作に参加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の最初の特報も上映され、片渕監督と作品についての貴重なお話もうかがえました。

アニメ上映コーナー

Coconeriホールのスクリーンは、トークイベント以外の時間を〈アニメ上映コーナー〉として開放。
世界都市農業サミットPRアニメ『まちなかの農』、アニメコンペティション練馬2018受賞作品、日本大学芸術学部制作作品集、新作予告編・プロモーション映像などを上映しました。
この他にも、〈名匠・出﨑統監督を語ろう〉関連上映として、出﨑統監督が手がけた『エースをねらえ!』第1話「テニス王国のシンデレラ」、第22話「卒業試合に涙は無用!」。〈映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開1ヶ月前トーク〉関連上映として、片渕須直さんが絵コンテと演出を担当した『おねがい!サミアどん』第12話Bパート「僕の飛行機だドーン」、第16話Aパート「サミアどんの誕生日だドーン」が上映されました。 今回は、ホワイエにもTVモニターを設置。〈ホワイエ上映コーナー〉として、日本大学芸術学部制作作品集、新作予告編・プロモーション映像集、世界都市農業サミットPRアニメ『まちなかの農』をループ上映しました。

アニメマーケット

今年のアニメマーケットには、人気アニメタイトルのグッズ販売コーナー、今年のプログラムに合わせた商品をラインナップした書泉グランデ、大人気のねり丸フレーム切手やアニメを題材にしたオリジナルフレーム切手を販売する郵便局が出店。たくさんのお客様が立ち寄っていました。
『機動警察パトレイバー』オフィシャルショップも設置され、公式グッズの出張販売が行われました。
現在、30周年突破を記念して、様々なグッズが作られており、今回は衣類、食品、文具、書籍など、たくさんのグッズを展開。グッズを買い求めるファンの列も出来る盛況ぶりでした。
また、アニメマーケットの周囲には新作アニメをポスターとチラシで紹介するプロモーションコーナーも設けられました。

ホワイエには、毎年恒例となった、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)による似顔絵ブースが展開。プロのアニメーターに似顔絵を描いてもらえるという貴重な体験ができることから、お子さんの似顔絵を、という家族連れを中心に賑わっていました。

第23回手塚治虫文化賞 受賞作品パネル展示

手塚治虫文化賞は、マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫氏の業績を記念し、マンガ文化の健全な発展を目的に創設されました(朝日新聞社主催)。練馬区は第21回から後援しています。
第23回の受賞者・作品は、マンガ大賞/有間しのぶ先生『その女、ジルバ』、新生賞/山田参助先生『あれよ星屑』、短編賞/小山健先生『生理ちゃん』、特別賞/さいとう・たかを先生(代表作『ゴルゴ13』の連載50年達成と、長年にわたるマンガ文化への貢献に対して)。 ホワイエでは、受賞作家のサイン入りパネルを展示。6月の授賞式に集まったマンガ家の寄せ書きや、有間しのぶ先生、さいとう・たかを先生それぞれが描いた受賞記念イラストも紹介されました。

世界都市農業サミットPRアニメ『まちなかの農』 制作資料展示

練馬区では「世界都市農業サミット」(11/29~12/1)を開催しました。このサミットの開催に先立ち、制作された短編アニメーションが、『まちなかの農』です。
本作品は、アニメコンペティション練馬2018の「1分アニメ」部門でグランプリを受賞された佐藤史織さんと、一般社団法人練馬アニメーションの協働で制作。主人公が練馬区内の農地をめぐりながら、都市・農・食が融合する「練馬の農」の魅力を紹介しています。 ホワイエでは、ストーリーボードやキャラクター設定、背景美術など、『まちなかの農』の制作資料を展示。アニメーションの制作手順も分かりやすく紹介されました。また、ホワイエ上映コーナーとして設置されたTVモニターでも、『まちなかの農』を観ることができました。

まとめ

天候にも恵まれた〈練馬アニメカーニバル2019〉。
今回は単日で11月の開催となりましたが、例年以上にたくさんのお客様で賑わうイベントとなりました。
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