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練馬ほっと・キャスト 特別企画 練馬にいた! アニメの巨人たち

練馬区ゆかりのアニメクリエイターと、その作品の魅力を探る練馬アニメーションサイト新企画「練馬にいたアニメの巨人たち」。
アニメ研究家の氷川竜介さんとアニメ史研究家の原口正宏さんが、そのクリエイターの魅力についてたっぷり語ります。

  • アニメ研究家 氷川竜介さん
  • アニメ史研究家 原口正宏さん

第7回 出﨑 統さん(アニメーション監督)その3

「あしたのジョー2」©高森朝雄・ちばてつや/講談社・TMS

第7回も引き続き、日本アニメ界に偉大な足跡を残した、アニメーション監督の出﨑統さんです。
第5回 出﨑 統さん(アニメーション監督)その1 はこちら
第6回 出﨑 統さん(アニメーション監督)その2 はこちら
出﨑統監督は1963年に練馬区富士見台の虫プロダクションでキャリアをスタート。1970年のTVシリーズ「あしたのジョー」で初監督をつとめます。 《出﨑演出》とよばれる個性的な演出手法を生み出した事でも知られ、数多くのアニメ関係者に影響を与えました。 2011年に67歳で亡くなるまでに「エースをねらえ!」、「ガンバの冒険」、「家なき子」、「宝島」、「ブラック・ジャック」など、テレビ、映画、OVAなど30タイトル以上を監督した、まさに日本アニメ界の【レジェンド】といえる存在です。

出﨑監督と関係の深かった、アニメーションプロデューサー丸山正雄氏からのメッセージ

出崎統を喪った時、手塚プロ社長の松谷さんの弔事に強い説得力を感じた。曰く「これからのアニメ界の人材育成にどんな機関がどんなに金をかけようと出崎統たったひとりの実績には敵わない」そのことはアニメを知っている人間なら誰もが認める事だ。それぐらい彼の存在は大きかった。
彼は大人になることを拒否したのだと思う。永遠の少年、永遠の青春を選んだとしか思えない。これぞ出崎統の美学。

プロデューサー 丸山正雄

出﨑 統(でざき・おさむ)監督プロフィール

アニメーション監督。1943年東京都生まれ。学生時代には貸本マンガ家として作品を発表していた。1963年に虫プロダクションに入社。翌年には「鉄腕アトム」の原画担当になる。1970年のTVアニメ「あしたのジョー」で、初めて監督(チーフディレクター)を務める。1972年にはアニメ制作会社マッドハウスの設立に参加。TVアニメ「エースをねらえ!」(73-74)、「ガンバの冒険」(75)「家なき子」(77-78)、「宝島」(78-79)など多数の作品に関わる。1979年には完全新作の『劇場版 エースをねらえ!』で、長編映画を初監督した。1980年、TVアニメ「あしたのジョー2」制作を機にマッドハウスを離れ、スタジオあんなぷるを設立。『SPACE ADVENTURE コブラ』(82)、「スペースコブラ」(82)、『ゴルゴ13』(83)を発表した。「おにいさまへ・・・」(91)で手塚プロダクション制作作品に関わるようになり、1993年からOVA「ブラック・ジャック」を手掛ける。2000年代には美少女ゲームが原作の『AIR』、『CLANNAD』劇場版など、自らの新境地となる作品を監督した。2011年 逝去。

※以下の画像と解説をご覧になりながらお聞きください。
また、今回の内容には、紹介する作品のネタバレも含みます。ご注意ください。

収録のようすと用語解説

最も印象的な出﨑演出手法は?
■ 画面分割(マルチ)

『劇場版 エースをねらえ!』より
©山本鈴美香/集英社・TMS

出崎統監督が数々の作品を作る中で生み出した個性的な演出手法の一つ。画面を上下・左右などに分割し、同じ時間軸内の個別の対象物や、別アングルの同一対象物などを同時に画面に映し出す技法。『劇場版 エースをねらえ!』では、岡ひろみとお蝶婦人の対決場面などで使用された。お蝶婦人の動きを一瞬たりとも見逃すまいとする、ひろみの強い目線。見ている主体、見ている対象の両方が同時に描かれた。 碁盤目に分割した画面を連動させひとつの動きを見せたり、これらを複合して使用することもある。

■ 虫プロ
虫プロダクションの通称。マンガ家でアニメーターでもあった手塚治虫が設立し、1961~73年まで活動したアニメスタジオ「株式会社虫プロダクション」(旧)と、1977年に旧虫プロの労働組合を母体として設立された「虫プロダクション株式会社」(新)がある。ここでは虫プロダクション(旧)を指す。 虫プロダクション(旧)には、出﨑統氏をはじめ、芦田豊雄氏、川尻善昭氏、杉井ギサブロー氏、高橋良輔氏、富野由悠季氏、丸山正雄氏、安彦良和氏、吉川惣司氏などが在籍していた。当サイト《練馬のアニメスタジオの遺伝子 虫プロダクション編》でも詳しく紹介。
■ 山本 暎一(やまもと えいいち)
アニメーション監督。1961年に設立された、虫プロダクション(旧)の創設メンバーの一人。同社最初の短編映画『ある街角の物語』で演出、編集、原画を担当。「鉄腕アトム」(63~66)、「ジャングル大帝」(65~66)、「ジャングル大帝 進めレオ!」(66~67)では、演出、作画、脚本、プロデューサーなどを兼任した。《大人のためのアニメーション》と銘打った〈アニメラマ〉と呼ばれる劇場用アニメシリーズ『千夜一夜物語』(69)、『クレオパトラ』(70)、『哀しみのベラドンナ』(71)では、監督を務めた。その後、1974年に放送が開始されたTVアニメ「宇宙戦艦ヤマト」に企画段階から参加。タイトルロゴのデザインや脚本のほか、「宇宙戦艦ヤマトⅢ」(80~81)では監督も務めている。
■ 『千夜一夜物語』
虫プロダクション(旧)が制作し、1969年に公開された劇場用アニメーション映画。「大人のためのアニメーション」と銘打った〈アニメラマ〉シリーズの第1作目。中世のイスラム世界を描いた一大説話集「千夜一夜物語」を現代的に解釈したストーリーになっている。バグダットにやってきた水売りの青年・アルディンは、奴隷市場で売られている美女ミリアムを見初め、大竜巻が街を襲ったどさくさに紛れて彼女を連れ去る。それが彼の波瀾万丈の人生の始まりだった! 総指揮:手塚治虫、監督:山本暎一、美術・キャラクターデザイン:やなせたかし、作画監督:宮本貞雄
■ 『グラン・プリ』
1966年に公開された、F-1グランプリを題材にしたレース映画。本作ではレースシーンなどで画面分割が使われており、出﨑氏の演出手法に影響を与えている。 監督:ジョン・フランケンハイマー、主演:ジェームズ・ガーナー
■ 「エースをねらえ!」
東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1973~1974年に全26話が放送されたTVアニメ。岡ひろみとお蝶夫人の直接対決までが描かれている。この作品の後半の注目点は、岡ひろみの出現によりレギュラーを外された音羽京子にスポットを当て、彼女の切実な思いを見事に昇華したことだろう。またこのシリーズが全26話かけて描いた物語を『劇場版 エースをねらえ!』はわずか88分に凝縮したことになる。氷川さんも語っているが『劇場版』と比較してご覧いただくのも面白い。原作:山本鈴美香、演出:出﨑統、作画監督:椛島義夫、杉野昭夫、北原健雄。
■ 井上 和夫(いのうえ かずお)
アニメーション編集者。「ムームン」(69)「ルパン三世」(1stシリーズ 71~72)、「パンダコパンダ」(72)などを担当。出﨑統監督作品では、「エースをねらえ!」(TV 73~74)に参加している。
■ 「家なき子」

東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1977年~1978年まで全51話が放送されたTVアニメ。立体映像〈ステレオクローム方式〉を用いた《立体アニメーション》として制作された。南フランスの農村に住む少年・レミは、怪我で出稼ぎから帰ってきた養父により、旅芸人・ビタリスに売られてしまう。一座の座員として旅をすることになったレミは、ビタリスや一座の動物たちと接しながら成長していく。原作:エクトール・アンリ・マロ、監督:出﨑統、作画監督:杉野昭夫、美術監督:小林七郎、撮影監督:高橋宏固。
「家なき子」
DVD-BOX発売中
販売元:エイベックス・ピクチャーズ

©TMS東映

■ 切り返し
カットバックとも言われる。映像制作用語で、2つの被写体を別々に撮影し、交互に編集すること。対話をしているシーンなどで良く使われる。
■ 小津 安二郎(おず やすじろう)
映画監督。カメラを低い位置に固定する撮影スタイルや、同じテーマや同じ配役で映画を作る「小津調」とも呼ばれる作品の数々は、世界的にも高く評価されている。
■ ゴルゴ13
『ゴルゴ13 劇場版』のこと。東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作した1983年公開の劇場用アニメ。超一流のスナイパー《ゴルゴ13》ことデューク東郷の活躍を描く、さいとう・たかを氏による同名マンガが原作。石油王・ドーソンの誕生パーティーのさなか、ゴルゴ13の放った銃弾がドーソンの息子の額を貫いた。ドーソンは復讐のためゴルゴ暗殺を誓う。ブレイガン率いるコマンド部隊はゴルゴを仕留めるために罠を張るのだが――。 原作:さいとう・たかを、監督:出﨑統、作画監督:杉野昭夫、美術監督:小林七郎、撮影監督:高橋宏固。
■ 「ブラック・ジャック」
手塚プロダクションが制作し、1993年から2011年にかけて全12話が発表されたOVAシリーズ。1996年には、このOVAの流れをくむ劇場用長編アニメ『ブラック・ジャック 劇場版』も制作された。手塚治虫氏による同名マンガが原作。 「医療と生命」をテーマに、無免許だが神業ともいえる技術で世に名を知られる、天才外科医ブラック・ジャックの活躍を描く。OVA10話までと劇場版は、出﨑統氏が監督を務めた。OVA最終作の11、12話には、監修・シリーズ名誉監督としてクレジットされている。 原作・オリジナルキャラクター:手塚治虫、監督:出崎統(1~10)、キャラクターデザイン・作画監督:杉野昭夫。
■ 高畑、宮崎
アニメーション映画監督の高畑 勲(たかはた いさお)氏と宮崎 駿(みやざき はやお)氏のこと。
■ 『AIR』
東映アニメーションが制作し、2005年に公開された劇場用長編アニメ。Keyが制作した同名の恋愛アドベンチャーゲームが原作。ある少年と少女の、不可思議な恋愛劇。 原作・監修:ビジュアルアーツ/Key、監督:出崎統、作画監督:窪秀已
■ 光る✕✕
出﨑監督独特の表現の一つ。吐しゃ物や血しぶきなど、描写的に刺激の強いものを、透過光(後述)で表現した。
■ 「あしたのジョー2」

東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1980年から81年まで全47話が放送されたTVアニメ。原作の力石戦後からラストまでを描いた。 力石徹との試合で、彼を死なせてしまったことから、対戦相手のテンプル(こめかみ)を打てなくなったジョー。だがベネズエラのボクサー・カーロスとの出会いにより再起し、ついには世界チャンピオンのホセ・メンドーサに挑む。 原作:高森朝雄、ちばてつや、演出:出﨑統、作画監督:杉野昭夫。
『あしたのジョー2』
Blu-ray Disc BOX全2巻 発売中
発売・販売元:バンダイビジュアル

©高森朝雄・ちばてつや/講談社・TMS
http://www.bandaivisual.co.jp//

■ 『あしたのジョー』劇場版
後述のTVアニメ「あしたのジョー」を、力石戦までに再編集した劇場用アニメ映画。1980年に公開された。一部のキャストをTV版から変更している。
■ テンプル
人間の側頭部にある〈こめかみ〉を指す英語。この部分は骨の厚さが薄く、打撃をもらうと脳震盪を起こしやすいことから、ボクシングやその他の格闘技においては顎先(チン)と並んで急所とされている。
■ 『劇場版 エースをねらえ!』

東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1979年に公開された劇場用アニメ。出崎統監督の劇場映画初監督作品。前述のTVシリーズの再編集ではなく、劇場用としてすべて新規に制作された。テニスの名門・西高の1年生岡ひろみは、超高校級のプレイヤー〈お蝶夫人〉こと竜崎麗香に憧れテニス部に入る。そんなテニス初心者のひろみを、新任コーチ宗方仁は関東地区予選出場者の1人に抜擢する。周囲の嫉妬を買い孤立したひろみは、テニス部を退部しようとするが――。TVアニメのヒットを受け、2部構成となった原作マンガの第1部を描いた。 原作:山本鈴美香、監督:出﨑統、作画監督:杉野昭夫、美術監督:小林七郎、撮影監督:高橋宏固。
『劇場版 エースをねらえ!』
Blu-ray 発売中
発売・販売元:バンダイビジュアル

©山本鈴美香/集英社・TMS
http://www.bandaivisual.co.jp/

■ 高橋 宏固(たかはし ひろかた)
撮影監督。1977年にアニメーション撮影スタジオ・高橋プロダクションを設立。同年、出﨑統監督のTVシリーズ「宝島」に参加する。数々の《出﨑演出》は、高橋氏の撮影技術によって生み出され、以後の出﨑作品には欠かせない人物となった。
■ 透過光
出崎統監督が数々の作品を作る中で生み出した個性的な演出手法の一つ。セル撮影の時代に編み出された技法で、光を線や帯、円や点などで表現する。通常の方法で撮影したフィルムを巻き戻し、光が入る部分以外をすべて黒く塗りつぶしたマスクをかぶせ、光を撮影した映像を二重露光で焼きつけて合成するという、非常に手間のかかる作業を行う。透過光を強調する一方、画面を部分的に暗くすることも多い。フィルム時代の技法だが、デジタル時代になってからも疑似的に再現することで、いまでも演出手法として使われている。
■ 新海 誠(しんかい まこと)
アニメーション映画監督。2002年、個人で制作した短編作品「ほしのこえ」でデビュー。2004年に公開された初の長編映画『雲のむこう、約束の場所』では、第59回毎日映画コンクール アニメーション映画賞を受賞した。『秒速5センチメートル』(07)、『星を追う子ども』(11)、『言の葉の庭』(13)と、発表する作品は常に国内外で高い評価と支持を受けている。2016年8月公開の『君の名は。』は大ヒットとなり、12月には興行収入200億円を突破し、宮崎駿監督の『もののけ姫』と『ハウルの動く城』を超え、日本における歴代興行収入ランキング5位(日本映画では2位)となっている。現在(2017年3月時点)でも上映が続いている。
■ 入射光

『劇場版 エースをねらえ!』より
©山本鈴美香/集英社・TMS

出崎統監督が数々の作品を作る中で生み出した個性的な演出手法の一つで、画面に光が差し込んだように見せる技法。『劇場版 エースをねらえ!』では、ひろみが代表選手取り消しを宗方に進言する場面など、印象的なシーンに使用された。通常の方法で撮影したフィルムを巻き戻し、次に特殊なレンズの後ろに、光を当てた金銀のモールを置いて再び撮影し、二重露光で合成する。1969年公開のアメリカ映画『イージー・ライダー』で、夕日に照らされてながらバイクを走らせるシーンに光が入っていたのを参考にしたといわれている。

■ フレネルレンズ
出﨑演出の〈入射光〉で使用されていたレンズのこと。のこぎり状の断面を持つ。中心に厚みのある通常のレンズと違い、分割して厚みを減らすことで軽量にできる。灯台や投光器、カメラのストロボなどの照明系レンズなどに用いられることが多いが、簡易な拡大鏡などにも使用される。
■ 荒木 哲郎(あらき てつろう)
アニメーター、アニメーション監督。マッドハウス出身で、「ギャラクシーエンジェル」シリーズ(01~)や「BLACK LAGOON」(06)などの作品に絵コンテ・演出として参加。2005年にOVA「おとぎ銃士 赤ずきん」で監督デビュー。「黒塚 KUROZUKA」(08)、 「進撃の巨人」(13)、 「甲鉄城のカバネリ」(16)などの代表作がある。
■ マッドハウス
1972年に、虫プロダクション(旧)に所属していた丸山正雄氏、出崎統氏、りんたろう氏、川尻善昭氏などが中心となって設立したアニメスタジオ。当初は、東映動画のテレビシリーズや、東京ムービーのテレビシリーズなどのアニメーション制作を行っていた。80年代には映画やOVAなども手掛けるようになる。TVアニメ「YAWARA!」(89~92)を皮切りに自社制作も行うようになった。TVアニメ「カードキャプターさくら」(89)、「はじめの一歩」(00~02)、「四畳半神話大系」(10)や、劇場用アニメ映画『千年女優』(02)、『時をかける少女』(06)、『マイマイ新子と千年の魔法』など、高い品質を誇る作品を数多く作り出している。
■ 「この素晴らしい世界に祝福を」
スタジオディーンが制作し、2016年と2017年に2期20話が放送されたTVアニメのこと。原作は、暁なつめの同名小説。高校生・カズマは、不慮の事故で命を落とすが、女神を連れ異世界へ転生する。仲間を集めて冒険者稼業にいそしむが、トラブルまみれの波乱の日々を過ごすことになる。 原作:暁なつめ、監督:金崎貴臣、キャラクターデザイン:菊田幸一。
■ 出﨑演出
  • 『劇場版 エースをねらえ!』より
    ©山本鈴美香/集英社・TMS
出崎統監督が数々の作品を作る中で生み出した個性的な演出手法のこと。代表的なものとして、ハーモニー、繰り返しショット、画面分割、透過光、入射光などがある。その手法は模倣され、受け継がれ、いまも数々の作品の中で見ることができる。
繰り返しショットとは、印象づけたい重要な画面を、複数回繰り返して見せる技法。パン(カメラの位置を固定したまま、画面を左右や上下、または斜めに振る)、トラックバック(カメラを後に引きながら被写体を撮影する方法)、オーバーラップ(画面と画面を重ね合わせる特殊効果)などの、カメラの動きと合わせて作られる。また、ハーモニーや透過光、入射光など、他の技法と組み合わせるパターンもある。
■ コブラ
東京ムービーが制作した、1982年公開の劇場用長編アニメ『SPACE ADVENTURE コブラ』及び、1982年から1983年まで全31話が放送されたTVアニメ「スペースコブラ」のこと。どちらも寺沢武一氏のSFマンガ「コブラ」が原作。 左腕に仕込まれたサイコガンを持つ一匹狼の宇宙海賊・コブラ。記憶を消し、顔も変え、一般人として生活していたが、ふとしたきっかけで記憶がよみがえる。再び冒険の旅に出るコブラだが、最大の宿敵にして海賊ギルドの幹部・クリスタルボーイが行く手を阻む。 
『SPACE ADVENTURE コブラ』 原作:寺沢武一、監督:出﨑統、作画監督:杉野昭夫、美術監督:小林七郎、撮影:高橋宏固。
「スペースコブラ」 原作:寺沢武一、チーフディレクター:出崎統、竹内啓雄、作画監督:杉野昭夫、大塚伸治、美術監督:小林七郎、撮影:高橋宏固。
■ ハーモニー(描き絵)
  • 『劇場版 エースをねらえ!』より
    ©山本鈴美香/集英社・TMS
出崎統監督が数々の作品を作る中で生み出した個性的な演出手法の一つ。いわゆるセル画の「アニメの画」ではなく、「イラストのような絵」で表現すること。『劇場版 エースをねらえ!』では、岡ひろみに全力をかけて試合をする〈お蝶婦人〉の姿や、試合が終了して2人が握手するシーンなど、気持ちの昂まる場面で用いられた。 セルには線画だけで色を塗らず、背景美術のほうでキャラクターなどの線画の中の部分も描き込み、線画のセルを重ねて撮影することでセル用のベタ塗りではない、大胆かつ繊細なタッチをつけることができ、1枚の画として迫力ある画面を作ることができる。出﨑統監督は、作品の要所要所で「ハーモニー」による「止め画」を使い、強烈なアクセントをつけることを得意としていた。
※当サイト 練馬アニメトピックスでは、画集『ハーモニーという世界 ~アニメが名画になる瞬間~』の、発売記念トークイベントレポートを掲載しています。
『ハーモニーという世界 ~アニメが名画になる瞬間~』を語る が杉並区の「阿佐ヶ谷Loft A」で開催されました。
■ 「元祖天才バカボン」
東京ムービーが制作し、1975年~77年まで全103回(204話)が放送されたTVアニメ。赤塚不二夫氏のナンセンスギャグマンガ「天才バカボン」の2度目のTVアニメ化にあたる。 出﨑氏は〈さきまくら〉名義で、トーク中に出て来る〈劇画バカボン〉の回など、36話分の演出を手掛けている。 原作:赤塚不二夫、演出:竹内啓雄、さきまくら、吉田茂承、高屋敷英夫ほか、キャラクターデザイン・総作画監督:芝山努(79回まで)、北原健雄(80回から)、美術監督:小林七郎。
■ 「あしたのジョー」
虫プロダクション(旧)が制作し、1970年~1971年に全79話が放送されたTVアニメ。練馬区で執筆活動をしていた高森 朝雄氏(梶原一騎氏のこと。原作を担当)と、ちばてつや氏(作画)によるマンガが原作。ドヤ街に現れた不良少年・矢吹丈(ジョー)がボクシングに出会い、ライバル・力石徹との対決や死を乗り越え、ボクサーとして成長していく物語。本作では原作の中盤までが描かれている。 原作:高森朝雄・ちばてつや、監督(チーフ・ディレクター):出﨑統、作画監督:杉野昭夫、金山明博、荒木伸吾。
※当サイト内、練馬アニメトピックスでは、2014年に開催された「あしたのジョー、の時代展」記念・ちばてつや先生のインタビューや、トークイベントレポートなどを掲載しています。
■ 斎藤 博(さいとう ひろし)
アニメーター、アニメーション監督。1963年に山本暎一の紹介で、おとぎプロから虫プロダクション(旧)に移籍、「鉄腕アトム」の作画を担当する。1966年に作画スタジオ「ジャガード」を設立、東京ムービー制作の「巨人の星」(78~91)の第2話で演出デビューを果たす。1971年には「天才バカボン」(71~72)後半のシリーズ監督を務めた。その後、ズイヨー映像(のちの日本アニメーション)に参加。「小さなバイキング ビッケ」(74~75)、「みつばちマーヤの冒険」(75~76)、「ペリーヌ物語」(78)、「トム・ソーヤーの冒険」(80)などを手がけた。
■ 荒木 伸吾(あらき しんご)
アニメーター、キャラクターデザイナー。貸本マンガとして活躍していたが、1963年に虫プロダクション(旧)に入社、「ジャングル大帝」(65~66)にアニメーターとして参加する。1966年に斉藤博と共に作画スタジオ「ジャガード」に設立、虫プロダクション(旧)作品や東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)の作品の作画も手掛ける。1970年には「あしたのジョー」に作画監督として参加。1973年にフリーとなり、「バビル2世」、「キューティーハニー」、「魔女っ子メグちゃん」などの東映動画(現 東映アニメーション)作品のキャラクターデザインで活躍する。1974年に荒木プロダクションを設立。出﨑監督も途中参加した「ベルサイユのばら」(79~80)では、キャラクターデザインと作画監督務める。1986年にキャラクターデザインを手がけた「聖闘士星矢」は大ヒットとなり、自他ともに認める代表作となった。
■ 「ガンバの冒険」

©斎藤惇夫/岩波書店・TMS

東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1975年に全26話が放送されたTVアニメ。
斎藤惇夫の児童文学作品「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」が原作。ねずみのガンバと仲間たちが、とある島を支配する白イタチ・ノロイを倒すため冒険の旅に出る。圧倒的な強さのノロイに、ガンバたちは勝てるのか⁉ 原作:斎藤惇夫、監督:出﨑統、キャラクターデザイン・作画監督:椛島義夫、美術監督:小林七郎。
※当サイトでは、練馬アニメカーニバルで行われた「放送40周年『ガンバの冒険 』 記念ステージ」のレポートと動画を掲載しています。
練馬アニメカーニバル2015 レポート

■ 小林 七郎(こばやし しちろう)
アニメーション美術監督。小学校の美術教師を経て1964年に東映動画(現 東映アニメーション)に入社。1968年に背景美術制作会社・小林プロダクションを設立する。「ガンバの冒険」(75)で美術監督を務めて以来、80年代前半までの出﨑作品には欠かせない存在となった。代表作に、「ど根性ガエル」、「ガンバの冒険」、『劇場版エースをねらえ!』、「あしたのジョー2」、『ルパン三世 カリオストロの城』、「魔法の天使クリィミーマミ」、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』、『天使のたまご』、「少女革命ウテナ」などがある。
■ 杉野 昭夫(すぎの あきお)
アニメーター、アニメ監督。1964年に虫プロダクションへ入社し、同年「鉄腕アトム」で動画としてキャリアをスタート。「ジャングル大帝」(65~66)で原画も経験し、「ジャングル大帝 進めレオ!」(66~67)で作画監督を務める。1970年「あしたのジョー」でキャラクターデザインと作画監督として参加。以後、出﨑監督との黄金コンビとよばれるほど、多数の出﨑監督作品に関わる。1980年の「あしたのジョー2」制作に際し、出﨑氏と共にスタジオあんなぷるを設立した。代表作に、「エースをねらえ!」、「家なき子」、「宝島」、「スペースコブラ」、「お兄様へ…」、「ブラック・ジャック」などがある。2003年には劇場用長編アニメ『ぼくの孫悟空』で自身初の監督を務めた。
■ ベンジン
石油の分留精製時にできる揮発性の高い液体を調整したもので、日本では懐炉(ハクキンカイロ)の燃料や、溶剤としての用途で知られている。アニメ業界では、セル画の手入れなどでも使われていた。
■ 「ベルサイユのばら」

©斎藤惇夫/岩波書店・TMS

東京ムービーが制作し、1979年~1980年まで全40話+総集編1話が放送されたTVアニメ。池田理代子氏の同名マンガが原作。 18世紀末のフランスが舞台。男装の麗人で近衛士官のオスカル、フランス王妃マリー・アントワネット、スウェーデン貴族フェルゼンの3人を軸に、フランス革命の嵐の中で運命に翻弄された人々を描く史実を基にしたフィクション。 出﨑氏は、19話からチーフディレクターとして参加している。 原作:池田理代子、総監督(第12話まで):長浜忠夫、チーフディレクター(第19話以降):出崎統、作画監督・キャラクターデザイン:荒木伸吾、姫野美智
『ベルサイユのばら』
Blu-ray 発売中
発売・販売元:バンダイビジュアル

©池田理代子プロダクション・TMS
http://www.bandaivisual.co.jp/

■ バスティーユ
フランス革命の始まりとなった、1789年7月14日〈バスティーユ襲撃〉のこと。バスティーユは元々14世紀にパリ市の東側を守るために建造された要塞だったが、革命当時はパリ市も広がっており、その堅牢さから国事犯の収容所となっていた。「ベルサイユのばら」ではクライマックスの重要な舞台となる。
■ デフュージョンフィルター
光源や反射光などの明るい部分を拡散することで、光を柔らかくした印象を出すために使用されるレンズフィルターのこと。現在では、コンピューターでの映像処理のフィルターとしても使われている。

第8回 出﨑 統さん(アニメーション監督)その4(近日公開予定)

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