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光が丘区民ホールで、『ACTF2017』が開催されました

2017年04月20日

「アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)2017」が、2月11日に練馬区の光が丘区民ホールで開催されました。

ACTFは、アニメーション制作の現場で取り入れられているコンピューター、デジタル技術について、アニメ制作従事者とデバイス・メーカー、ソフトウェア・ベンダー、各種教育機関などが一堂に介し情報交換をおこなうイベント。今年で3回目の開催です。

会場は3つに分かれており、多目的ホールではメインセッション、集会室1ではセミナー、集会室2では最新のデジタル機材などの展示が行われました。

 

メインセッションでは、デイヴィッドプロダクション、クリエイターズインパック、東映アニメーションが、それぞれ約1時間の講演を実施しました。

デイヴィッドプロダクションは、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ等の制作を行っているアニメスタジオ。ディレクターの津田尚克さんとラインプロデューサーの笠間寿高さんが登壇し、デジタル絵コンテ作成ツール〈Storyboard Pro〉の導入についての説明がありました。

デジタル絵コンテのメリットとして、フレームの調整が簡単、拡大縮小やコピペが容易、欠番を早期に発見できるなどのほか、「ムービー絵コンテ」にできることが挙げられました。

このムービー絵コンテには音をつけることもでき、コンサートやダンスといった音楽もののイメージの共有がしやすく、クライアントに対するプレゼン資料としても使えることも紹介しました。

デメリットとしては、〈Storyboard Pro〉を含め【業界スタンダード】といえるソフトがないことや、作業精度は上がるがトライ&エラーが簡単なためいつまでも作業してしまうことなどが挙げられました。

海外製のソフトであるため、日本のアニメ業界のニーズに対応していない箇所もありますが、ソフトウェアメーカーとの連携により改善されており、徐々に使いやすくなっているそうです。

 

クリエイターズインパックは、『バーナード嬢曰く』などのアニメーション制作を担当しています。今回は大阪スタジオのフルデジタルへの移行の経緯から現状について、はたなかたいちさん(制作進行・プロデューサー)と谷口健太さん(アニメーター)が解説しました。

クリエイターズインパックは、東京本社、大阪、名古屋、札幌のオフィスのほか、海外チームや在宅作業もあり、紙での制作においては輸送コストや天候による遅延、紛失などが問題になっていたとのこと。他にもスキャン作業の時間的ロスやミスによる破損などもあり、これを回避するために、フルデジタル化への移行に踏み切ったそうです。

ソフトは、同社のイラスト部門での使用実績のあった〈CLIP STUDIO PAINT EX〉を導入。紙とデジタルでの質感のギャップは、ペンタブレットの進化で徐々に埋まっており、紙に慣れたアニメーターも、その気になれば約1ヶ月ほどで現場レベルに対応できるようになったそうです。今後は、東京や名古屋のスタジオでもフルデジタルを導入し、大阪スタジオとの連携の強化を進めていくとのことでした。

 

東映アニメーションは、『正解するカド』におけるデジタル作画について解説。渡辺正樹さん(監督・シリーズディレクター)、りょーちもさん(演出)、小倉裕太さん(アニメーションプロデューサー)が登壇しました。

『正解するカド』は、東映アニメーションでは初めてシナリオ・絵コンテ・原画も含めたすべての制作行程をデジタル化した作品。3DCGとデジタル作画の両方を用いたカットが多用されています。作画では既存のソフトを使用していますが、これを演出、制作とつなぐツールとして〈Draw Data Maneger〉を自主開発しました。これはデータフォルダをカット袋がわりとして、ネットワーク上でデータのやり取りができるようにしたもの。データは東映アニメーションのサーバーで管理しており、社内スタッフのみならず、社外や海外のスタッフもこのツールを使って作業することができます。

このほかに各ソフト間でデータのやり取りができる共通フォーマットも研究しており、これを用いたデジタルタイムシートを開発中とのこと。これが実用化すれば、よりシームレスな作業が可能になるとのことでした。

 

セミナー会場でも様々な講演が実施されました。

『リトルウィッチアカデミア』を制作するアニメスタジオのトリガーによる講演は、「スキャナとデジタル作画ツール活用による制作工程効率化」。手描きによる作画を重視しているトリガーでは、デジタルに移行するために紙の感覚に近い入力デバイスや、実用的になりつつあるソフトウェアの運用を試行しており、その一例を紹介。また、作業工程に時間が掛かる原画などのスキャンに使用する、〈Kodak i3200〉スキャナーの導入実績についても説明がありました。高速かつ紙詰まりなどのダメージが少ないスキャナーの解説には参加者も興味深々で、次々と質問が上がっていました。

このほかにも株式会社セルシスの〈CLIP STUDIO PAINT〉、ダイキン工業株式会社の〈Toon Boom〉、TVPaint Developpementの〈TVPaint Animation〉、株式会社ドワンゴの〈OpenToonz〉を紹介するセミナーを開催。どのセミナーも満席で、注目の高さがうかがえました。

 

展示コーナーには、メインセッションやセミナーで紹介されたソフトや機材などが並びます。どのブースでも、来場したアニメ制作関係者が熱心に解説を受けたり、実際に操作をしる姿が見られました。

デジタル化のへの取り組み方は、スタジオによって様々ですが、デバイスやソフトの開発メーカーとの連携により、少しずつ前進しているのが感じられるイベントでした。

 

JAniCA 日本アニメーター・演出協会 公式サイト

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