アニメをもっと楽しもう
アニメスポット探訪記
第2回:練馬区立美術館「あしたのジョー、の時代展」
区立美術館で、漫画『あしたのジョー』を入り口に当時の風俗・芸術にも触れてみよう!
中村橋駅北口から徒歩3分、公園のような緑の多い敷地に入り、広い外階段を上ったところが「練馬区立美術館」です。
9月21日までは『あしたのジョー、の時代展』を開催しております。
吹き抜けのロビーが心地よい上に図録や魅力的な関連グッズに心奪われますが……まずはロビー奥の第1会場へ。
原作・高森朝雄(梶原一騎の別名義)、漫画・ちばてつやで生み出された名作ボクシング漫画『あしたのジョー』の主人公・矢吹丈の巨大な横顔がお出迎え。ジョーの澄んだ瞳に吸い込まれそうになりつつ、超拡大されても粗の見えないちば先生の筆致に驚きます。
ここは〈第一章 あしたのジョー、の世界〉と題され、漫画の貴重な生原稿、掲載雑誌の表紙や扉絵のカラー原画、アニメのセル画や設定画の大量展示と、本展のために作られた丹下拳闘クラブのジオラマにより作品世界に浸れます。
上階に向かうべく階段を見上げれば、蹴込み板部分に矢吹丈と力石徹のファイティング・ポーズが! 凝ってますなあ。
第2会場では〈第二章 あしたのジョー、の時代〉として、連載当時(1967年~1973年)の文化・芸術が紹介されています。漫画の一場面にも使われた、当時流行っていたテレビCMの数々がまとめて観られるのは楽しいですし、フォークソングのレコード・ジャケット、音楽祭や小劇場演劇のポスターのデザインは、若者の目には斬新に映るかと。
そして第3会場には〈第三章 あしたのジョー、肉体の叛乱〉として、当時盛り上がっていたボクシング同様に肉体を酷使する暗黒舞踏などの肉体パフォーマンス活動が紹介され、様々なジャンルのアーティストたちによるオマージュ作品が〈第四章 あしたのジョー、あしたはどっちだ〉として展示されています。
漫画やアニメ作品はその時代の雰囲気・世相・風俗・文化・芸術など様々なものを巻き込み素材にして生まれてくるものです。作品・作家・ジャンル単体ではない本展は観る側の守備範囲以外のものにも触れられ、作品のより深い理解の一助になり、同館の今後の企画展からも皆さんが好きな漫画・アニメに影響を与えた何かが見つかるかも知れません。
尚、1階に併設されている貫井図書館には、美術館での展示の関連資料を揃えた特設コーナーがあるので、そちらもお勧めです。
©高森朝雄・ちばてつや/講談社
あしたのジョー、の時代展
「あしたのジョー」の作品世界を、100点以上におよぶ原画によって構成し、アニメやレコードなど同時代の関連資料から作品の広がりを紹介します。また、寺山修司や土方巽など、ジョーと同じ時代を生きた芸術家たちの活動をたどり、その時代を振り返ります。会期中のイベントも多数開催されます。【会期】平成26年7月20日(日曜)〜9月21日(日曜)
【休館日】月曜日(ただし、7月21日、9月15日【月・祝】は開館、翌日休館)
【開館時間】午前10時〜午後6時※入館は午後5時30分まで
【観覧料】一般500円、高大学生及び65〜74歳300円、中学生以下及び75歳以上無料(その他各種割引有)
あしたのジョー、の時代展(練馬区公式ホームページ)
近藤ゆたか こんどうゆたか
時代劇・特撮・アニメ、最近では海外ドラマも愛し、アジテーターとして漫画・イラスト・雑文を生業とする。1964年、東京の下町・墨田区に生まれ育ち、現在は妻(漫画家・粉味)や二匹の猫(姉・やまぶき、弟・こばん)と共に練馬区上石神井暮らしを満喫中。早稲田大学理工学部卒。
『映画秘宝』『時代劇専門チャンネルガイド』などで連載を持ち、柳田理科雄氏の『空想科学読本』シリーズでは長年イラストを担当。また『大江戸ロケット』などの時代劇アニメでは時代劇監修も務める。
-
この記事をシェアしてね!
-
練馬アニメーションサイトをフォロー!
前の記事
第1回:東映アニメーションギャラリーbr映像や紙の資料だけでなく立体物に圧倒される老舗アニメ製作会社の歴史に浸ろう!次の記事
第3回「銀河万丈氏による読み語り」の会brアニメだけでは知り得ない、ベテラン声優・銀河万丈さんの幅の広い技量に生で触れよう!
- ピックアップ!
-
練馬アニメカーニバル2019