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「転機はデビルマン。」《永井豪50EVE~永井豪50周年前夜祭~》トークイベントレポート

2017年06月29日

渋谷区のタワーレコード渋谷店で開催中の展覧会《永井豪50EVE~永井豪50周年前夜祭~》の関連イベントとして、6月26日(月)に〈GO NAGAI LIVE 永井豪トークショー〉が開催されました。

トークショー実施前には、永井豪先生が展覧会会場に登場。展示の様子をゆっくり見てまわり、メディア向けの共同インタビューも行われました。

――50年間、マンガを描き続けていることについて

永井先生 目先の締め切りに追われながら、気が付いたら50年経ってましたね(笑)

僕がデビューした50年前は、手塚治虫先生や、師匠である石ノ森章太郎先生がいて、とにかくたくさん描いているのがステータスみたいな時代。人よりたくさん描くのを競い合ってるような感じでした。石ノ森先生は来る仕事を一切断らない人だったので、僕も負けじと頑張ってたので、自然と描いた作品が増えていきました。

 

――人生の最後に、どんな作品を描きたいか?

自分も変化しているので、その都度描きたい作品も変化しています。自由にやってるように見えますが、編集さんとの相談で決まったりもしますので。でも描くとなったら、自分の判断基準を信じて「自分が面白い」と思ったものを描いています。時には編集さんの意向とぶつかったりもしますけども(笑)

 

――マンガ家としての50年での、最大のターニングポイントとなった作品は?

やはり、「デビルマン」だと思います。

それまでの僕はギャグマンガ家だと思われていたので、ストーリーものを持ち込んでも「ギャグをやってほしい」と言われるんです。でも、なんとしてもストーリーマンガにシフトしなければ、自分の望むマンガ家にはなれないと思っていました。そんな時に「デビルマン」の企画が来た。「これを成功させなければもうチャンスはない」という気持ちで必死に描きました。ところがアニメが終わることになって、マンガの連載も終わらせなければならなくなった。それでも、自分が「デビルマン」に賭けたテーマを全部描けなかったら、次のストーリーマンガは無いだろうとと思い、すべてをつぎ込みなんとか完結させることができました。そしてマンガ家としての評価も変り、いろいろな作品を描けるようになりました。

その後、永井先生は会場入り口のバナーに、来場記念に「デビルマン」のイラストとサインを描き入れました。

7月2日(日)までの会期中は、この直筆イラストとサインも鑑賞できます。

〈GO NAGAI LIVE 永井豪トークショー〉

その後、会場を地下1階のライブステージに移し、トークイベントが行われました。

永井豪先生と共に登壇するのは、ロックミュージシャンの大槻ケンヂさん(筋肉少女帯、特撮 など)と、増子直純さん(怒髪天)。おふたりとも永井先生の大ファンで、大槻さんは永井先生が監督した実写作品『空想科学任侠伝 極道忍者ドス竜』(90)に主演しているとあって、トーク中も“ドス竜”ネタが飛び出していました。

大槻さんと増子さんは、共に1966年生まれで、永井豪作品で育った世代。「ハレンチ学園」、「けっこう仮面」、「キューティーハニー」で〈目覚めた〉と熱く語る2人に会場は大爆笑。

アニメ化された「キューティーハニー」について永井先生は、「アニメ化企画は通ったものの、どこまで表現できるのか不安がありました。試写会でハニーフラッシュを見たときはうれしかったですね。アニメーターさんもこれを描きたかったそうです(笑)」と、当時の様子を話します。

永井先生の作品は、〈問題作〉として騒がれることも多く、編集部を通してクレームの手紙が来ることもあったそうです。

クレームばかりでは仕事に支障が出るため、「ハレンチ学園」では、PTAからのクレームを逆手に取ったストーリー展開で第1部のラストを描いたとか。

 

「バイオレンスジャック」では、とあるシーンの掲載を巡って、編集長と3日間にわたるバトルが勃発。しかし永井先生の粘り勝ちで、そのまま掲載したそうです。

そして、最終話で読者を驚かせたバイオレンスジャックの正体についても話が及びます。

永井先生は当初、正体をとあるキャラクターで考えていましたが、自分で納得できていなかったそうです。しかし物語を転がしていくうちに、本当の“正体”に気づき、あのラストへと至ったと語ります。

 

「デビルマン」の話題になると、永井先生は連載スタート時に「出だししか考えていなかった」と告白。さらに、「あの当時は聖書も読んでなかったんですよ」との話に、会場からは驚きの声が上がりました。

海外でも人気の高い「デビルマン」については、来年ネット公開されるアニメ「DEVILMAN crybaby」についても言及。8ヵ国吹替え及び28ヵ国語字幕で、世界190ヵ国での公開が決まっています。「時代背景は現代になっていますが、原作に近い内容になっていますので楽しみにしていてください」と永井先生。

そして、公開が待たれる『劇場版 マジンガーZ』(仮題)のお話も。

永井先生も参加したフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で世界初公開された特別映像は、上映後にスタンディングオベーションが起きるほどの大反響。その会場にいた、映画『パシフィック・リム』のギレルモ・デルトロ監督から「あなたは【マシンアニメ界のモーツァルト】だ!」と評され、「僕が子どもの頃に見たあなたの作品に、どれだけ影響を受けたかわかってるかい?」と、思いきりハグされたと話します。

映像について「今度の劇場版は、メカの細部までのディテールがすごくて、これまでのマジンガーのアニメにはなかったクオリティです。アニメーションの進化がよくわかる作品だと思います」と話すと、会場からも期待の声が上がりました。

 

「50年で何本描いたか自分では憶えてないのだけど、石ノ森先生が持つギネス記録〈世界一多作な漫画家〉(500冊)に近づいてきたんじゃないかな?」と話す永井先生。最後に「『ドス竜2』も企画しないとね(笑)」と締め、楽しいトークイベントは終了しました。

 

永井豪先生のデビュー50年目を記念した企画展《永井豪 50EVE ~永井豪50周年前夜祭~》は、タワレコード渋谷店8階催事場“Space HACHIKAI”にて、7月2日(日)まで開催中です。

 

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