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今 敏回顧展2014トークイベント 「いま再び 今 敏監督を語り合おうー『千年女優』編」

2015年02月04日

 1月25日(日)まで、杉並アニメーションミュージアムで開催されていた「今 敏回顧展2014」の最後を締めくくるトークイベント『いま再び 今 敏監督を語り合おう―「千年女優」編』が、去る1月24日(土)に行われました。

 約170名のファンが参加したこのイベントには、ゲストとして、「千年女優」に出演された飯塚昭三さん(立花源也 役)、折笠富美子さん(10~20代の藤原千代子 役)、音響監督の三間雅文さん、プロデューサーの丸山正雄さんが登壇。トークは迫熱し、当初の予定を超え約1時間30分に及びました。



「千年女優」に参加して―

三間 「千年女優」は2002年の作品なんですけど、折笠さんはアフレコの時はいかがでした?

 

折笠 私は、声の仕事を初めて1年経たないくらいの時でした。オーディションでこの役を頂いたんですけどですけど、アフレコ現場に行ったらそうそうたるメンバーで(笑)

必死に駆け抜けましたね。

まさに千代子でした(笑)

 

三間 そうだよね。まわりはみんなオジサンばかりだし(笑)

 

 

その中でも一番怖がらせてた飯塚さんは、この作品はいかがでした?いろんなキャラクターになるわけですけど、難しかったですか?

 

飯塚 アニメーションとか実写とか、そういうのを超えたすごい映像ですよね。

この壮大な作品に一員として関われたのは誇りに思うし嬉しかったです。

いろんなキャラクターを演じるのは、難しいというより楽しいんだよね。僕はキャラクターに触発されて演じるんだけど、触発されるキャラが変わってくると、それに対して「どうしようかな?」って喜びと苦しみと…いや、苦しんでないか(笑)

 

まぁ、そんな感情を取り込みながら演じる。この作品は、それがたくさんありましたから。楽しかったですよ。

そんな感じで、三間さんに怒られながらやってました(笑)

 

丸山 いろんな姿にはなるけれど、基本的には源也君だからね。性格も含めて。だから、いろいろな扮装する楽しさっていうのがあるのかもしれないね。

 

三間 作中で時代や文化が変わっていくじゃないですか。その辺りの言葉まわりはいかがでした?

 

折笠 私が演じた少女千代子は、今監督が直接言って下さったんですけど、「上手くやろうと思わなくていいから。千代子は駆け出しの新人だから、上手くやらなくて良いよ」って。

それを聞いて、自分なりに精いっぱいやればいいんだと思いました。

 

丸山 京都弁が素晴らしかったよね。

 

飯塚 あの京都弁は、しっかりしてましたね。

 

三間 よく覚えてないんだけど、方言指導ってどうしてたんだっけ?

 

折笠 キャストの中に、京都出身の方がいらっしゃって、教えてもらったんですよ。

 

 

今監督と、「千年女優」の思いで―

 三間 印象的な役の「傷の男」で津嘉山正種さん、「鍵の君」で山寺宏一さんが出演されています。

「傷の男」は暗いところから少し影を付けて現れるんで、顔が見えるまで誰だかわからない。なので、キャラクターの存在を演出するのに、こちらでアイデアをみつけて(音を)つけてもいいですか?って、今監督に相談したんですよ。

あの頃の今監督は、「やってみてください」って仰っるんですね。面白いと思ったら全部受け入れてくれるんです。それで鍵の音を付けたんです。実際には持ってないけど、鍵の音がする。でも、「鍵の君」とごっちゃにならないか?って、今監督とかなり協議しましたね。

 

飯塚 この作品については、平沢進さんの音楽が素晴らしいよね。今監督も平沢さんもマイペースなんだけど、どこかでピシっと合うところがあるんだね。良いコンビですよ。本当に映像と音楽が良く合ってる。

 

三間 今監督は平沢さんの事が大好きですからね。この作品に関しては、平沢さんありきって所があるかもしれませんね。「パプリカ」でも平沢さんが音楽を担当されましたが、自分が大好きな平沢さんが、どんな音楽を作ってくれるんだろうって、今監督は子どものように楽しみにしていましたね(笑)

 

折笠 劇場作品は、「千年女優」が初めてでしたけど、1人の役を3人が演じるっていうのも初めてで。どうすれば良いんだろう?って。何を気をつけたら良いのわからなかったんです。

その時、小山茉美さんが「私が間を繋げるから、あなたは自由にやりなさい」って仰ってくれたんですよ。

録り直しも私が一番多くて、皆さん後ろで見守ってくれているんですけど、怖くて振り返れなくて(笑)

とにかく一生懸命でした(笑)

 

三間 折笠さんは口パクよりも、役の気持ちを前に出す方だからね。これは後から聞いたんですけど、ベテランさんたちはみんなそれを感じてて、「新人に負けられない」って思ってたそうですよ。それが上手く化学反応を起こして、作ってる方も面白かったです。

 

 

飯塚 今監督の作品では、体の中から湧いてくる台詞の表現じゃないと!って感じがありましたね。「東京ゴッドファーザーズ」では、タクシー車内のルームミラー越しでの台詞のやり取りがあるんですが、それをどう表現するか?ってのを考えましたね。今監督のOKが出てるので納得してくれたんだと思うんですが(笑)

そんな風に、表現者としての努力もあるので、作品を観るときは探してみて下さいね

 

折笠 「千年女優」の舞台挨拶の時に、バックヤードで今監督と初めて2人きりになったことがあって。すごく緊張して座ってたんですが、今監督がジッと私の顔を見てるんです。そして一言、「まつ毛長いね」って(笑)

 

三間 緊張をほぐそうと声をかけたのかなぁ?(笑)

 

折笠 いえ、かえって緊張しちゃいました(笑)でも、それがすごく印象的でしたね。そうやって、動く女の人を、素材として観察してるんだなって妙に納得しちゃって(笑)

活かされるものがあるなら、どうぞ見て下さいって思いました。

 

三間 今監督って、僕の中では、女性的な所があるんだよね。怖い女性だけど(笑)

 

丸山 僕は、彼の事を「髭の生えた千代子さん」って呼んでる。「千年女優」のね。そんな感じがするね。

 

飯塚 千代子さんのモデルは、誰になるんでしょうね?

 

丸山 今の方はご存じなのかな?モチーフとして、「原節子さん」という、伝説の女優さんがいる。日本映画界の一世を風靡して、突然引退しちゃった。ただ、原節子さんを再現しようとした訳じゃなく、いろんな要素が入っている。「田中絹代さん」であり、「高峰秀子さん」であり、伝説の映画女優さんたちをイメージしています。

 

 

終わりに―

三間 そろそろ時間ですね。飯塚さん、いかがでした?

 

飯塚 物足りないね(笑)いや、お客さんが物足りないんじゃないかなって(笑)

 

折笠 今日は今監督の月命日ということで。みなさん、髭の生えた千代子さんを追いかけてるんだなって、ここに来て感じました。いつかまた今監督の作品に出演したいって思っていたので、複雑な気持ちもあるんですけど、ここに呼んでいただいて、皆さんと今監督のお話をすることができて嬉しかったです。ありがとうございました。

 

丸山 三ヶ月間、こういう展示やフィルムを観る機会を作ってもらえて良かったです。定期的にこういうイベントが出来ると良いなって思います。皆さん、ありがとうございました。

 

 

 

ゲストプロフィール

飯塚 昭三 (いいづか しょうぞう)

「千年女優」 立花源也 役

「東京ゴッドファーザーズ」 太田 役

福島県出身。日本大学芸術学部演劇科を卒業後、俳協を経て1988年よりシグマセブン所属。

CM・TV番組のナレーターとして活躍する傍ら、重厚な声質をいかし、アニメーションや洋画の吹き替えにも次々に出演。声の出演に洋画吹き替え「特攻野郎Aチーム」「シン・レッド・ライン」等。アニメーションには「機動戦士ガンダム」(リュウ・ホセイ)「北斗の拳」(山のフドウ)などがある。その他、特撮作品の悪役でも活躍、「人造人間キカイダー」(ハカイダー)などを演じている。

 

 

折笠 富美子 (おりかさ ふみこ)

「千年女優」 藤原千代子 役(10代~20代)

東京都出身。93年に劇団スーパーエキセントリックシアターに入団し以降舞台を中心に活躍。99年からは俳協に所属し声優としてもその活躍の場を広げる。声優としての出世作となった「GTO」(冬月あずさ)をはじめ、「あたしンち」(立花みかん)「最終兵器彼女」(ちせ役)「スイートプリキュア♪」(南野奏/キュアリズム役)などの話題作に出演。

 

 

三間 雅文 (みま まさふみ)

Techno Sound 代表取締役

今 敏監督劇場作品全ての音響監督を担当。

他代表作に「ポケットモンスターシリーズ」「妖怪ウォッチシリーズ」「進撃の巨人」「ガンダムビルドファイターズTRY」「黒子のバスケシリーズ」「頭文字D-イニシャルD-シリーズ」「鋼の錬金術師シリーズ」「カードキャプターさくら」「はじめの一歩」「マクロスF」など多数。

 

 

丸山 正雄 (まるやま まさお)

MAPPA 代表取締役 (元マッドハウス 代表取締役)

今 敏監督作品全てのプロデューサーを務める。

他代表作に「YAWARA!」「獣兵衛忍風帖」「メトロポリス」「茄子 アンダルシアの夏」「時をかける少女」「マイマイ新子と千年の魔法」「HUNTER×HUNTER」「ちはやふる」など多数。

 

 

 

杉並アニメーションミュージアム

住所:東京都杉並区上荻3-29-5 杉並会館3階

開館時間:10:00 - 18:00 ※最終入館17:30

休館日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌平日)

入館料:無料


杉並アニメーションミュージアムHP

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