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《こうの史代「この世界の片隅に」原画展》関連企画「編集者’s ギャラリートークナイト」が開催されました。

2017年06月05日

5月30日(火)までタワーレコード渋谷店で開催されていた《こうの史代「この世界の片隅に」原画展》の最終日前夜、ギャラリートークイベントが開催されました。
 
解説を務めるのは、双葉社のこうの先生担当編集のふたり。「この世界の片隅に」連載当時の担当編集・染谷(そめや)さんと、現在こうの先生の担当を務める渋谷(しぶたに)さんです。
抽選で選ばれた30名と一緒に展示を巡回しながら、原画に隠された秘密や、担当編集による制作秘話などが披露されました。

 
 
染谷さんは、こうの先生から初期構想を聞かされた時を述懐します。
「人さらいで始まって人さらいで終わる。バケモノが現れて、周作とすずをさらい、最後に広島ですずと周作が、女の子を拾って帰る。その円環を最初の構想で聞かされ、すごい発想をするなと驚いたのをよく覚えています」 

左から 染谷さん、渋谷さん

読み切り短編3作目の「波のうさぎ」冒頭1・2・3ページと「この世界の片隅に」連載第1回の1・2・3ページは全く同じコマ割りで描かれていることに触れ、

渋谷さん「これは、この間の5年と数か月くらい、すずが子どもから大人になるんですが、大人になってもすずが人間として変わってないことを伝えたいために同じコマ割りで描かれています」

と、時間経過と主人公の人間像を表現していることを解説しました。

 

第14回では、すずさんの友人になる女性・リンが登場します。このリンというキャラクターについて

染谷さん「すごく大事なキャラ。こうのさんにとっては、すずが初めて呉という知らない土地に来て、孤独な思いがある。近所の知り合いはいるけど、すず自身にとっての初めての友だちはリンさん。それがすごく大事だとこうのさんは常々言ってました。この漫画に限らず、「リン」というキャラクターはこうのさんの他の漫画にも出たりしますし、彼女のようなキャラ設定はこうのさんにとって大事な要素です」

と述べました。

 

ここで、参加者から「リンさんが持っている袋の柄」(※原作第16回参照)について鋭い指摘が入ります。

 

染谷さん「こうのさんはこの作品に限らず、何遍も何遍も読んでほしいという漫画づくりをしてます。一回で読み捨てて忘れ去られるよりも、気付いた時にもう一度読み返してもらいたい、その都度気付きがあって欲しい。そういう仕掛けをする人なので、時間がある時や、映画に刺激を受けた時などに原作を読み返してみてください。その都度発見があると思うので、非常にお得な作品ですのでこれからも読み続けてください」
とこうの先生の作品に向ける姿勢を熱く語りました。

 

物語が後半に進むにつれ、直筆の絵ではなくコピーした絵を貼りつけた原画が登場します。

 

染谷さん「鉛筆描きをコピーした原稿は、すずの妄想。実際になかった世界を鉛筆で描いています。サギの飛び立つシーンも鉛筆です。それはすずが見ている幻想だという位置づけなんですね」

渋谷さん「1回コピーしてみないと、鉛筆の線の太さがどういう風に出るか分からない。だから実際は、色々なページに使う鉛筆の絵が1枚の原稿に描かれてあって、それをひとつひとつコピーして貼られています」

 

また、こうの先生の漫画の描き方について
染谷さん「こうのさんの漫画の描き方は独特です。鉛筆書きで下描きを描いて、トレース台に乗せて本番の紙を載せてその上で青鉛筆で当たりを描きます。本番の紙の下に敷く方眼紙(つまり下書きの紙)が重要で。鉛筆の消しゴムをかける苦労が減るということで、そういう手法を取ってました。他の作家さんにはないですね」
と話しました。 

 

 

「第35回」からは歪みのある背景が続きます。これは、こうの先生が左手で描いているそうです。

 

そして、「第37回」の原爆描写のすごさ、「第38回」の扉絵に描かれた秘密。口紅で描かれた印象的な原画の「第41回」など、参加者からも思わず声が漏れてしまうような解説がされていきます。

 

「最終回しあはせの手紙」の最終ページのカラー原画では、

染谷さん「こうのさんにカラーページを取れないかと言われたんですが、スケジュールの問題で台割が変更できなかった。単行本では必ずカラーにするからということで、雑誌にはモノクロで掲載しました」

と最終回の思い出を語りました。

 

最後に、染谷さんの「この作品は長く愛されて欲しいですから、何遍も何遍も読んでいただいて、その気付きを自ら発見すると、本当に「おおっ」という喜びがありますので、気が向いた時にいつでも読んでいただければと思います」と挨拶し、イベントは終了しました。

濃厚な解説により、原画に隠された数々の「鍵」を発見でき、より原作を楽しめるイベントでした。

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