トップ > アニメニュース > アニメ功労部門で、松本零士先生ら10名を顕彰。 東京アニメアワードフェスティバル2017レポート

アニメニュース

アニメ功労部門で、松本零士先生ら10名を顕彰。 東京アニメアワードフェスティバル2017レポート

2017年04月11日

3月10日(木)~13日(月)の4日間、「東京アニメアワードフェスティバル(TAAF) 2017」が開催されました。 TAAFは新たな人材の発掘・育成、アニメーション文化と産業の振興に寄与することを目的とした本格的な国際アニメーション映画祭。今年で4回目の開催となります。


TAAF2017全顕彰者

中心となるのは、アニメーション作品と制作関係者の顕彰です。これは以下の3部門で構成されています。
「コンペティション部門」は、国内外、プロ・アマ問わず日本国内で未興行のアニメーション作品を対象とし、優秀作品を選出。グランプリ(長編・短編 副賞50万円)、優秀賞(長編・短編 副賞10万円)、ほか各賞を贈ります。この部門には、国際色豊かな短編、長編作品が多数ノミネートされました。
「アニメ オブ ザ イヤー部門」はアニメファンの投票により、2015年10月18日~2016年10月15日までの1年間に日本国内で上映・放送された550作品から劇場映画部門10作品とテレビ部門90作品を選出し、「みんなが選ぶベスト100」を決定。この中から、幅広いアニメ業界のプロフェッショナルによる投票を実施、「作品賞」と「個人賞」を選出します。また、一般ユーザーによるTwitterを通してのファン投票も実施し、劇場映画・テレビの全てより「アニメファン賞」を決定します。
「アニメ功労部門」では、日本のアニメーションの制作現場における技術、表現、人材育成など長年の功績をたたえるとともに、教育活動・国際交流など、広くアニメーション産業の社会的地位の向上に大きく貢献された10名を顕彰しています。


Illustration by Naoyuki Asano
©TAAFEC. All Rights Reserved.

これ以外にも、多数の招待作品や、「アニメ オブ ザ イヤー部門」のノミネート作品の上映、スペシャルイベントやワークショップなどを実施。「コンペティション部門」ファイナリストの全作品も上映され、最終審査員による審査も行われました。
今回は、豊島区池袋にあるシネマサンシャイン池袋、池袋HUMAXシネマズ、シネ・リーブル池袋、新文芸坐、池袋シネマ・ロサなどの映画館のほか、商業施設WACCA池袋や区民ひろば、生活産業プラザ、豊島区役所といった、池袋駅周辺施設が会場となり、連日たくさんのアニメファンで賑わいました。

最終日の13日には、豊島区役所センタースクエアで、各部門の授賞式が行われました。

【コンペティション部門】審査結果
コンペティション部門のグランプリは、長編部門『手を失くした少女』(監督:Sébastien Laudenbach)、短編部門『翼と影を』(Elice Meng and Eleonora Marinoni)が受賞。
この2作品には東京都知事賞も贈られ、小池百合子都知事からSébastien Laudenbach監督とEleonora Marinoni監督へ、トロフィーが手渡されました。


グランプリ受賞者 左から、短編部門『翼と影を』 Eleonora Marinoni監督、長編部門『手を失くした少女』 Sébastien Laudenbach監督

■長編部門​
〇グランプリ
『手を失くした少女』英題:The Girl Without Hands
監督:Sébastien Laudenbach
※東京都知事賞もあわせて授賞

〇優秀賞​
『ズッキーニと呼ばれて』英題:My Life as a Courgette
監督:Claude Barras

■短編部門​
〇グランプリ​
『翼と影を』英題:Of Shadows and Wings…
監督:Elice Meng and Eleonora Marinoni
※東京都知事賞もあわせて授賞

〇優秀賞
『クモの巣』英題:”Spider web ““The Gossamer”
監督:Natalia Chernysheva

〇豊島区長賞
『杏茸を少々』 英題:A fistful of girolles
監督:Julien Grande

【アニメ オブ ザ イヤー部門】選考結果
■作品賞
〇グランプリ
劇場映画部門/『映画『聲の形』』
テレビ部門/『ユーリ!!! on ICE』

〇個人賞
監督・演出賞/新海誠さん
原作・脚本賞/吉田玲子さん
アニメーター賞/平松禎史さん
美術・色彩・映像賞/吉原俊一郎さん
音響・パフォーマンス賞/澤野弘之さん

〇アニメファン賞
『ユーリ!!! on ICE』


功労賞 松本零士先生

【TAAF2017アニメ功労部門】
今回のアニメ功労部門では、『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など、1970年代後半アニメブームのイメージリーダーとして活躍したマンガ家、松本零士先生も顕彰されました。練馬区大泉で執筆活動を続ける松本先生は授賞式で、「アニメーションは、たくさんのスタッフによって作られています。この賞は、そんなスタッフのみなさんと一緒にいただいたものです。これからも、新しい作品を作っていきたいと思います」と力強く挨拶。この顕彰を記念した特別イベント「アニメ功労部門顕彰記念 -松本零士特別上映会-」(後述)も開催されました。


功労賞 全顕彰者

功労賞顕彰者は以下の通りです。

〇音響監督:明田川 進さん
『リボンの騎士』、『AKIRA』、『銀河英雄伝説』など

〇監督:池田 宏さん
『魔法使いサリー』、『空飛ぶゆうれい船』、『どうぶつ宝島』など

〇作画監督:近藤 喜文さん(故人)
『赤毛のアン』、『おもひでぽろぽろ』など(作画監督)
『耳をすませば』※監督

〇プロデューサー:後藤田 純生さん(故人)
『新しい動画 3つのはなし』、『みんなのうた 誰も知らない』、『おかあさんといっしょ 幼児のためのアニメーション』など

〇美術監督:辻 忠直さん
『マジンガーZ』、『マグネロボ ガ・キーン』、『DRAGON BALL』など


左から、前川 陽子さん、増山 江威子さん

〇アニメーション作家:古川 タクさん
『驚き盤』、『スピード』、『みんなのうた 以心伝心しよう』など

〇歌手:前川 陽子さん
『ひょっこりひょうたん島』、『リボンの騎士』、『キューティーハニー』など

〇声優:増山 江威子さん
『天才バカボン』(ママ役)、『キューティーハニー』(ハニー役)、『ルパン三世[第2期]』(峰 不二子役)など

〇原作者:松本 零士さん
『銀河鉄道999』、『宇宙海賊キャプテンハーロック』など

〇色彩設計:保田 道世さん(故人)
『火垂るの墓』、『おもひでぽろぽろ』、『風立ちぬ』など

TAFF2017開催期間中には、「アニメ オブ ザ イヤー部門」のノミネート作品のほか、国内外から多数の招待作品を上映。スペシャルイベントやワークショップなども実施されました。
その中からいくつかのイベントをご紹介します。


左から、藤津亮太さん、神山健治監督

3月10日は、TAAF2017のオープニング作品として、神山健治監督の最新作『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』(現在公開中)がシネ・リーブル池袋で上映されました。
東京オリンピックが迫る2020年の夏。岡山県倉敷市で父親と二人暮らしをしている平凡な女子高生・森川ココネは、不思議なことに同じ夢ばかり見るようになっていた。そんなある日、突然父親が警察に逮捕され、東京に連行されてしまう。ココネはこの事件の謎を探るうちに、いつも自分が見ている夢にこそ、事態を解決する鍵があることに気づく。そしてココネは幼なじみのモリオとともに、東京へ向かう――。
上映後には、神山健治監督とアニメ評論家・藤津亮太さんによるトークセッションを開催。主人公・ココネのキャラクター作りの経緯や、本作の重要な要素である〈夢の世界〉と〈現実世界〉の関係性など、作品内容にも踏み込む濃厚なトークを繰り広げました。


左から、神山健治監督、石川光久さん

翌11日にはシネマサンシャイン池袋で、神山健治監督が監督を務めたTVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』、『精霊の守り人』、『東のエデン』の第1話を、神山監督とProduction I.Gの石川光久社長の生コメンタリー付きで上映する《神山祭 in TAAF 2017》を開催。各作品の制作を引き受けた理由や当時の制作状況など、ここでしか聞けない話が盛りだくさんの生コメンタリーに、観客席からは感嘆の声や笑い上がっていました。また、『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』の前日譚である、短編スピンオフ作品「エンシェンと魔法のタブレット」の劇場初上映も行われました。


左から、叶精二さん、片渕須直監督

3月12日は、本サイト〈練馬にいた!アニメの巨人たち〉でも取り上げた、片渕須直監督の最新作『この世界の片隅に』(現在上映中)が、アニメ100周年記念プログラムとしてシネマサンシャイン池袋で上映されました。
上映後には、片渕監督と映像研究家で亜細亜大学・早稲田大学・東京工学院の講師も務める叶精二さんが登壇。登場人物の《動き》の表現についての解説など、アカデミックなトークイベントが行われました。


左から、原口正宏さん、松本零士先生

3月13日は、授賞式の前に《アニメ功労部門顕彰記念 -松本零士特別上映会-》をシネマサンシャイン池袋で開催。
まずは練馬区名誉区民でもある松本零士先生と、本サイトでもお馴染みのアニメ史研究家・原口正宏さんによるトーク。続いて、フランスのハウステクノデュオ・Daft Punk(ダフト パンク)と松本零士先生のコラボレーションで生まれたアニメーション作品『インターステラ5555』の特別上映が行われました。
トークは、松本先生がこれまでに関わられたアニメ作品の紹介からスタート。原口さんの作ったリストをスクリーンに映しながら、1970年代後半のアニメブームを創り出したともいえる松本先生の業績を紹介します。
この後、松本先生の生い立ち、マンガ家デビュー時代、『銀河鉄道999』と『宇宙海賊キャプテンハーロック』の繋がりなど、興味深い話が続きました。『インターステラ5555』の制作につては、ある日Daft Punkが松本先生の自宅へ現れ、彼らを東映アニメーションへ案内したのがきっかけだったと明かされました。

トークの最後に松本先生は、「マンガももちろんですが、アニメーションの新作も構想しています。まだ表には出せませんが、楽しみにしていてください」と挨拶。観客席から、大きな拍手が送られました。

©TAAFEC. All Rights Reserved.

TAAF2017 公式サイト

  • この記事をシェアしてね!

  • 練馬アニメーションサイトをフォロー!

ピックアップ!

練馬アニメカーニバル2019

最新記事
2024.03.13アニメニュース5/19(日)《アニメプロジェクトin大泉2024》を開催します!
2023.12.07アニメニュース2024年版≪ねり丸年賀状≫デザインを公開しました!
2023.09.19アニメニュース「映像∞文化のまち ねりま」にて【TOPICS】「東映東京撮影所の<いま> ~東映東京撮影所所長・木次谷良助氏が語る~」が公開されました!
2023.08.06アニメニュース《アニメプロジェクトin大泉2023》開催報告を公開しました!
2023.05.21アニメニュース5/28(日)《アニメプロジェクトin大泉2023》イベント内容を掲載しました!

アニメニュース トピックス記事一覧

ページトップへ