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片渕須直監督の最新作『この世界の片隅に』 東京国際映画祭でワールドプレミア!

2016年11月10日


©2016 TIFF

いよいよ11月12日(土)より全国公開されるアニメーション映画『この世界の片隅に』。

この作品は、練馬区にある日本大学芸術学部出身で、本サイトでもおなじみの片渕須直さんが監督を務める超話題作です。

公開に先立つ10月28日、港区の六本木ヒルズで開催された《東京国際映画祭2016》で、ワールドプレミアが行われました。会場であるTOHOシネマズ六本木 スクリーン2には、たくさんの観客で平日にも関わらず満席。ワールドプレミアということで、外国からの観客や記者の姿もありました。

上映後の舞台挨拶には、片渕須直監督と主演を務めた女優・のんさんが登場。マスコミからの注目度も高く、ステージ前には多数のカメラがズラリと並びます。ステージに上がった片渕監督とのんさんはやや緊張気味でしたが、満員の会場からの温かい拍手を受け笑みがこぼれます。

最初に片渕監督が「ここまで来るのに6年かかりましたが、ようやくこうしていろんな方にご覧いただけるところまできました。いろいろな思いがこみ上げてきています」と挨拶。のんさんも「すずさん役をやらせていただきました。今日はよろしくお願いします」とつづき、司会者からの質疑応答に移ります。

 


©2016 TIFF

なぜ今、『この世界の片隅に』を映画化しようと思った理由を聞かれた片渕監督。「すずさんは、今この世界の片隅で、充分健在していると思っています。年齢は91歳です。自分の両親も、まだ子供でしたが同じ時代に生きていました。ですので、この時代のことを単純に想像するのではなく、『こんな時代だったのだな』という確かな手ごたえを感じたくてこの映画を作りました。そうすることで、自分たちの両親がどんな時代を生きたのかを知ることができ、やっと大人になれるのだなという気がしています」。

のんさんには、初めて原作を読んだ時のことについての質問が。「今まで戦時下のことは別次元の、自分のいる世界とは全く違うという感覚がありました。はじめて原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせで戦争があり、毎日が巡っていたんだと知りました。そんな中で、すずさんは日々を一生懸命暮らしている。その姿がすごく素敵で、素晴らしい作品だと思いました」と、感想を述べました。

 


©2016 TIFF

多彩な声優陣についての質問に片渕監督は「非常に演技派の声優陣が揃っていると思います。アニメ、洋画の吹替え、舞台などで活躍している方々が、難しい広島弁をものにしてこの映画の中では自然に存在しているように演じて下さっています。そのなかでも、のんちゃんはナチュラルに《すずさん》を演じてくれました。彼女のことが誇らしいです」とコメント。

のんさんはすずさんを演じる際に気をつけたことについて「目の前にある毎日の暮らしを一生懸命生きる。という部分を意識しました」と、話します。

 


© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

このワールドプレミアで、『この世界の片隅に』が既に海外14か国での配給・上映が決まっていることが発表されました。

このことについて片渕監督は「前作の『マイマイ新子と千年の魔法』を、アメリカのコンベンションで上映した時に、中年の女性から次はどんな作品を作るのか?と質問されました。「次の映画の舞台は1945年の広島です」と答えたところ、その女性はハッと息を飲まれました。その会場にいたたくさんの人も、同じような反応だったんです。外国の方にとっても、この作品で描かれる原爆などのことは、周知のものであるということだけでなく、〈人類史的な悲劇〉であるということで、心が一つになっている気がします。それはまだ知識の段階かもしれません。でもそこに暮らしていたのが、どんな人たちだったのかというのを、この映画を通じて感じ取っていただけたらと思います」と、思いを語ります。

のんさんも「昭和20年の広島を描いた作品ということもありますが、その中で日々を生活するという、《普通》の切なさや感動というものは、すべての人に響くんじゃないかなと、私は感じています。この映画を国内外の人に見ていただけるのは、素敵なことだと思います」と応えました。

 


© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

観客からのQ&Aも行われ、2つの質問が挙がりました。

「片渕監督が注目してほしいところは?」という質問には、「これまで作られた戦時中を描いた作品はどれも自分からは遠い気がしていたので、本当はどうだったんだろう?というところにこだわりました。細かなものから、街の一軒一軒の家まで、当時の物をできるだけ再現しています。そうして映画の中の世界を作り上げたのは、今、自分たちのいる世界と陸続きであると感じたかったからなんです。そしてその世界の中にいる《すずさん》が、本当に存在していると、観客のみなさんにも実感してもらいたいと思ったからです」。

「のんさんのお気に入りのセリフは?」という質問には、「物が足りなくなっていく中、いろいろな物を工夫して使っているすずさんの、『何でも使うてくらしつづけるのが、うちらの戦いですけぇ』というセリフが私には響きました」と、それぞれ答えました。

 


©2016 TIFF

舞台挨拶の最後は、お二人からこれから映画を見る方へ向けてのメッセージが。

「この映画は、当時はどんな空気だったのか、当時の人はどんな気持ちがあったのかということを、できるだけ描こうと思いました。そうして出来上がった作品ですので、ひょっとしたらタイムマシンであの時代に行くような感じを味わっていただけるかもしれません。タイムマシンで行った先には、のんちゃんが声を貸した《すずさん》という人がいます。《すずさん》がどんな毎日を暮らしていたかを覗いて、また帰ってきてください」と片渕監督。

のんさんは「日々を送るとか、どんなことがあっても毎日が巡ってくるという《普通》が、すごく愛おしくなります。生きるということに涙があふれて来る、でもその涙は悲しいものではなく、何があっても生活を続けていくという力強さに心が震える映画です。ぜひ、劇場に足を運んでいただけたらと思います」との言葉でステージを締めくくると、会場からは大きな拍手が送られました。

 


© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

アニメーション映画『この世界の片隅に』は、11月12日(土)より全国公開。

上映劇場などの詳細は、公式サイトでご確認下さい。

『この世界の片隅に』公式サイト

 

 

〇『この世界の片隅に』

昭和19年から21年にかけての広島、呉を舞台にした、漫画家・こうの史代先生の代表作。18歳で広島市江波から軍港の街・呉市へお嫁に来た少女《すず》を主人公に、戦時下の生活の機微が描かれています。

片渕監督がこの作品を劇場アニメ化しようと動き出したのが2010年。以降本サイトでは、≪練馬ほっと・キャスト(#03,#04)≫≪練馬アニメトピックス≫≪アニメカーニバル2015≫などでこの取り組みを紹介しています。

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