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上橋菜穂子と<精霊の守り人>展 世田谷文学館で開催中!

2016年06月03日

『精霊の守り人』1996年、偕成社

2014年、子どもの本における最高の賞である国際アンデルセン賞作家賞を受賞した作家・上橋菜穂子さん。その代表作であり、野間児童文芸新人賞や米国図書館協会バチェルダー賞などを受賞した『精霊の守り人』と〈守り人〉シリーズの卓越した物語世界を紹介する展覧会「上橋菜穂子と<精霊の守り人>展」が、世田谷区の世田谷文学館で開催中です。

上橋菜穂子さん

上橋菜穂子さんは1962年東京生まれ。大学では文化人類学を専攻し博士課程ではオーストラリアの先住民アボリジニを研究、現在は川村学園女子大学特任教授を務められています。その傍ら、1989年に『精霊の木』で作家としてもデビュー。『精霊の守り人』をはじめ、『狐笛のかなた』や『獣の奏者』など数多くの著書を発表されています。2015年には『鹿の王』で本屋大賞を受賞しました。

『精霊の守り人』は異世界を舞台としたファンタジー。精霊の卵を宿した新ヨゴ皇国の皇子・チャグムと、彼を守って戦う女用心棒バルサの物語です。偕成社から児童文学として出版され、その後シリーズ化もされました。本編10巻の他に守り人短編集、守り人作品集、守り人シリーズ完全ガイドの3冊が刊行されています。また、新潮社からは文庫版が出版されています。

2007年には神山健二監督によりTVアニメ化され、NHKで全26話が放送されました。更にNHK放送90年大河ファンタジーとして綾瀬はるかさん主演でドラマ化、本年3月からシーズン1(全4話)が放送されました。2017年にシーズン2、その後シーズン3が放送予定となっています。

文学館2階の会場に入ると、まずは『精霊の守り人』の舞台となる「新ヨゴ皇国」と、シリーズに登場する周辺国をあらわした巨大な地図が目に入ります。ここで〈守り人〉シリーズの世界全体を知ることがきるようになっています。

〈守り人〉シリーズ全12巻、偕成社 挿画:二木真希子、佐竹美保

その向かいの展示コーナーでは、偕成社と新潮社から発刊された〈守り人〉シリーズ全巻を紹介。偕成社版で使われている挿画のラフ画も見る事が出来ます。

〈守り人〉シリーズは、女短槍使い・バルサを主人公とした「~の守り人」と、新ヨゴ皇国皇子・チャグムが主人公の「~の旅人」に分かれており、挿画も別々のイラストレーターが担当しています。

「~の守り人」の挿画を担当した二木真希子さんは、テレコムアニメーションフィルムの『名探偵ホームズ』や、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『風立ちぬ』などの作品の原画で活躍したアニメーター。イラストレーター、絵本作家としても知られています。 残念ながら、二木さんは2016年5月13日に急逝。会場には上橋さんからの想いがあふれる追悼文が紹介されています。

「~の旅人」を担当した佐竹美保さんは、『魔女の宅急便』や『魔法使いハウルと火の悪魔』などファンタジーやSFなどの分野の児童書挿画を中心に活躍されている画家。今回の展覧会メインビジュアルも担当されています。〈守り人〉シリーズの挿画を担当するにあたり、上橋さんと何度も打合せを重ね、緻密に世界観を作り上げていったという設定のラフ画も展示されています。

続いては、様々な角度から『精霊の守り人』の世界を紹介するゾーンです。

まずはシリーズを通しての人物相関図が描かれた大きなパネルが登場。全12巻の登場人物の関係を分かりやすく説明しています。

バルサやチャグムをはじめ、物語の主な登場人物を印象的な台詞と人物像を紹介するコーナーも設置。こちらでは、偕成社版小説に使用された挿画の原画を見る事が出来ます。『精霊の守り人』初刊行時に、「二木さんにぜひ挿画を担当してもらいたい」と上橋さんが担当編集者に送った手紙も公開されています。

 

ドラマで実際に使用された衣裳

また、NHKのドラマで使用された衣裳や小道具、参考用の模型なども多数展示。更に、物語に登場する精霊の世界「ナユグ」をイメージしたインスタレーションを体験できるスペースも設置されています。スペース内では、入場券でもあるバングル(リストバンド)にもご注目。とある仕掛けを楽しめるようになっています。

〈守り人〉シリーズ文庫版完結時に行われた上橋さんと漫画家・萩尾望都さんの対談の際に描かれたサイン色紙も展示。萩尾さんのイメージによるバルサが印象的です。

更に、上橋さん自らが描いたバルサやチャグム、タンダ(バルサの幼馴染の薬草師)などのイメージスケッチも公開されています。

続いては、文化人類学者でもある上橋さんを紹介するゾーン。

まずはフィールドワークを紹介するコーナーから。ここでは地図やノートなどをはじめ、オーストラリアでの調査で使用していた道具などを展示しています。当時の写真を紹介したパネルには上橋さんによる解説文も併記され、オーストラリアの自然や現地の人々との交流などを知ることができます。また、アボリジニの狩りに同行したエピソードもパネルで披露されており、この経験が『精霊の守り人』などの物語を書く時に役に立ったと語られています。

世界20ヵ国以上を旅した上橋さんが見て来たものを、テーマごとに紹介する「上橋菜穂子の目」や、これまでに影響を受けてきた人物との交流や書籍などを紹介するコーナーも設けられており、『精霊の守り人』をはじめ上橋作品の創作の一端を知ることができます。

英訳された〈守り人〉シリーズを紹介するコーナーでは、7か国語で出版された本を展示。日本語と英語の表現の違いや、文化の違いからくる感覚のずれを乗り越えるべく、上橋さんと翻訳者の間で交わされた膨大なやり取りの一部を、パネルで解説しています。

上:アニメの制作資料展示。手前のケースに、絵コンテが紹介されている。 下:漫画の原画展示

会場の最後はTVアニメ化のほか、ドラマや漫画となった『精霊の守り人』を紹介するコーナー。

アニメからは主人公バルサやチャグム、タンダなどのキャラクター設定をはじめ、制作前に作られたイメージボード、実際に使用された原画や動画、タイムシートなどの制作資料を展示。神山健二監督自らが手がけた第1話の絵コンテも大きく取り上げられています。

(※アニメは4月からNHK総合で再放送中)

ドラマからはフルカラーのイメージボードやイメージコンテ、紋章の設定などを展示。大河ファンタジーとしての力の入り方が分かります。

漫画からは、藤原カムイさんによる『精霊の守り人』と、結布さんによるシリーズ第2作『闇の守り人』を紹介。両作品とも単行本1巻のカバーイラストと、数点の原画が展示されています。藤原カムイさんと結布さんの原画の迫力を感じる事が出来るのは、この展覧会の魅力の一つです。

世田谷文学館1階のエントランスには、物販コーナーを設置。〈守り人〉シリーズをはじめとした上橋さんの著作をはじめ、関連書籍もズラリと並びます。展覧会の図録や二木さんと佐竹さんのイラストを使ったクリアファイル、ポストカードなども充実しています。

『精霊の守り人』シリーズと上橋菜穂子さんの世界に迫る、「上橋菜穂子と<精霊の守り人>展」は世田谷文学館で7月3日(日)まで開催中です。

佐竹美保《サグとナユグ ―混じり合う世界―》2016年

「上橋菜穂子と<精霊の守り人>展」

会期/7月3日(日まで

会場/世田谷文学館

東京都世田谷区南烏山 1-10-10

お問合せ/TEL 03(5374)9111 FAX 03(5374)9120

開館時間/10:00~18:00 *展覧会入場、ミュージアムショップの営業は 17:30 まで

休館日/毎週月曜日

観覧料/一般 800円、高校・大学生・65 歳以上 600円、障害者手帳をお持ちの方 400円、中学生以下 無料

*団体(20 名以上)は 2 割引


世田谷文学館 公式サイト
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