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2017年06月08日

第21回手塚治虫文化賞表彰式が、浜離宮朝日ホールで開催されました

マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫さんの業績を記念し、「マンガ文化の健全な発展」を目的に1997年に創設された《手塚治虫文化賞》(朝日新聞社主催)。
今回からは、かつて手塚さんが創作活動を行い、自らが設立されたアニメスタジオ・虫プロダクションもある練馬区が、後援として参加することになりました。他にも、手塚さんの出身地・兵庫県宝塚市や、執筆の為に住んでいた東京都豊島区といった縁の深い自治体も後援しています。
5月31日には、第21回目を迎えた今回の贈呈式と記念イベントが、中央区の浜離宮朝日ホールで開催されました。

受賞作品及び受賞者は次のとおりです。

【マンガ大賞】
年間を通じて最も優れた作品に贈られます。
受賞者:くらもちふさこさん
受賞作品:『花に染む』

【新生賞】
斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者に贈られます。
受賞者:雲田はるこさん
受賞作品:『昭和元禄落語心中』

【短編賞】
短編、4コマ、1コマなどを対象に作品・作者に贈られます。
受賞者:深谷かほるさん
受賞作品:『夜廻り猫』

【特別賞】
マンガ文化の発展に寄与した個人・団体に贈られます。
受賞者:秋本治さん
受賞作品:秋本治さん(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』40年の連載完結に対して)
第21回は、2016年に刊行されたマンガ単行本が選考対象。書店員やマンガ雑誌編集者ら約200人による「関係者推薦」の結果も参考に、8人の社外選考委員がポイント投票を行いました。
※詳細は《手塚治虫文化賞》公式サイトをご覧ください。

贈呈式では受賞者に、表彰状と「鉄腕アトム」をイメージしたブロンズ像(造形作家、イラストレーター・横山宏さん作)が贈られました。

受賞者のコメント

【マンガ大賞】くらもちふさこさん
「手塚治虫先生のお名前を冠した賞をいただくことは、身に余る思いです。私たちの世代は、手塚先生の作品を読んで育ちました。空想や想像することの喜びを、その作品から学ぶことができました。それが礎となり、今この場所に立たせていただいているとすれば、こんなに喜ばしいことはありません。また、この作品を描くにあたり、支えてくれた家族、友達、スタッフ、編集部の皆様にお礼申しあげます。ありがとうございました。」

【新生賞】雲田はるこさん
「『昭和元禄落語心中』は、〈落語〉という文化がなければ成り立たないマンガです。お会いした落語家さんたちは、このマンガを快く受け入れてくれて、〈落語心中寄席〉まで開いてくださいました。お客さんが増えてほしいという想いで描き始めたので、高座から眺めた満席の客席の感動は一生忘れられないと思います。また、アニメ版からも大きなインスピレーションをいただいて、マンガにも良い影響を与えてもらいながら頑張ることができました。今後は、このアトムの像を励みにさせていただきます。本日はありがとうございました」

【短編賞】深谷かほるさん
「私は、くらもちふさこ先生のマンガに憧れて、福島から武蔵野美術大学へ入りました。同期生はみんなマンガが大好き。ある日その1人が「マンガの『シーン(※無音の擬音)』って知ってる?あれって、手塚治虫が始めたんだって!」と、教えてくれました。それで仲間たちと「え!何もかも、手塚治虫だね!だから、俺らはみんな手塚治虫の子どもなんだよ!」と話したのを思い出しました。私も「きりひと讃歌」や「ブラック・ジャック」など、様々なマンガからたくさんのものを与えていただきました。この度は思いがけず、自分のささやかな作品に光を当てていただきまして、本当に、ありがとうございます」

【特別賞】秋本治さん
「子どもの頃からマンガが好きで、手塚先生のマンガも連載から短編まで全部読んでいました。先生も僕も名前の読みは同じ〈おさむ〉。しかも先生の本名が僕と同じ〈治〉で、すごく嬉しかったです。絶対マンガ家になって先生に会おうという夢ができました。デビュー後、毎年行われる出版社のパーティーで手塚先生に会えるチャンスができました。でも、先生は忙しいので挨拶が終わると帰っちゃう。時間があっても周りは人がいっぱいで近づけませんでした。その後、ご病気で亡くなられて、結局お話しする機会はありませんでした。今回こうして手塚先生のお名前を冠した賞をいただくことになり、今まで憧れていた先生に会えたようでとてもうれしく思います。ありがとうございました」

贈呈式の後は、記念イベントが行われました。 まずは、鉄腕アトムをモデルにしたコミュニケーションロボット〈ATOM〉による、受賞者へのお祝いインタビューです。

まずは、くらもちさんに今の気持ちを聞きます。「うれしいのと、感謝と、ドキドキが一緒になっています」と答えるくらもちさんに、ATOMは歌と踊りをプレゼント。山下達郎さんの「アトムの子」を歌い始めたATOMに、会場からも拍手がおこりました。

「アトムと話せるのが嬉しいです」と話す雲田さんには、「好きな落語家さんは誰ですか?」と質問。「たくさんいますけど、中でも柳家小三治師匠です」との答えに、ATOMは落語の「寿限無」の一節を披露しました。

深谷さんには、「泣く子はいねが~、む、涙の匂い、もし そこの深谷先生、なぜ泣いておる?」と、『夜廻り猫』のセリフでインタビュー。深谷さんは「心で泣いているくらいうれしいです」と答えました。

ボーカロイドが好きという秋本さんは、「ワンテンポ遅れて話すロボットがたまりませんね」と会場を沸かせます。ATOMから40年間休まず連載を続けられた秘訣を聞かれると、「身体が健康で丈夫なのが一番です」と応じます。今度はどんなマンガを描きたいですか?との質問には、「ずっと男の両さんを描いてきたので、今度は女の子を主人公にしたいですね」と答え、たのしいATOMのインタビューは終了しました。

続いて、くらもちふさこさんと秋本治さんによる特別対談が行われました。
実はお2人は、1980年ころからのお友達とのこと。昔話に花を咲かせた後は、おふたりの作品で共に描かれた、〈弓道〉へと話題が移ります。
くらもちさんの大賞受賞作品『花に染む』は弓道で結ばれた4人の男女の物語。秋本さんは『こちら葛飾区公園前派出所』に、早矢(はや)という弓道が得意な婦人警官を登場させています。
仕事場の近くで女性の弓道選手を見かけたのがきっかけで、マンガに登場させることにしたという秋本さん。ですが、なかなか資料が見つからず苦労したそうです。
くらもちさんも「資料の無さに困りました」と答え、お互いどうやって調べたかを、それぞれが披露します。
専門店に乗り込んだという秋本さんは、いかにも「弓道をやっています」という体(てい)で店員さんから色々と聞き出してはメモを取り、弓も矢も購入したと告白。「経験者のフリをして聞くのがコツです。取材というと、相手が構えちゃいますから」とアドバイスします。
「そこまでしたんですか!私はまだ甘いですね」というくらもちさんは、アシスタントさんと一緒に半年ほど弓道教室に通ったそうです。そのうち、アシスタントの一人が本格的に弓道を始め、細かい所作などを知ることができたそうです。
「でも、自分の弓は買ってないです」と言うくらもちさん。「あれだけ細かく描いているのに!」と返す秋本さんは、「でもそこがマンガ家のすごいところですね。バイクマンガを描いてるのに、バイクに乗ったことがないというマンガ家さんもいる(笑)そこがマンガ家の力量です!」と続けました。

最後に、秋本さんは「長年の友人が大賞を貰って本当に嬉しいです」と言葉をかけ、くらもちさんも「秋本さんがこの場にいてくれて、心強かったです」と話し、対談を締めくくりました。
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