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練馬ほっと・キャスト 特別企画 練馬にいた! アニメの巨人たち

練馬区ゆかりのアニメクリエイターと、その作品の魅力を探る「練馬にいた!アニメの巨人たち」。
アニメ研究家の氷川竜介さんとアニメ史研究家の原口正宏さんが、そのクリエイターの魅力についてたっぷり語ります。

  • アニメ研究家 氷川竜介さん
  • アニメ史研究家 原口正宏さん

第11回 丸山 正雄さん(プロデューサー)その3

今回も引き続きご紹介するのは、プロデューサーの丸山正雄さん。
第9回 丸山 正雄さん(プロデユーサー)その1 はこちら
第10回 丸山 正雄さん(プロデユーサー)その2 はこちら
1965年に練馬区富士見台の虫プロダクションに入社した丸山さんは、1970年にTVアニメ「あしたのジョー」を世に送り出したひとり。1972年には仲間と共にマッド・ハウス(現:マッドハウス)を設立。以降、数々の作品に参加されており、日本アニメの創成期から活躍されている、アニメ業界のレジェンドといえる存在です。
今回は練馬区ともゆかりの深い丸山さんの関わった作品を紹介しながら、その魅力を語り尽くします。
※今回の収録は、「練馬アニメカーニバル2017」のプログラムの1つとして、トークライブ形式で行われました。

丸山 正雄(まるやま まさお)プロデューサー プロフィール

プロデューサー。日本のアニメ業界の黎明期から活躍している。1965年に虫プロダクション(旧)に入社。1970年にはTVアニメ「あしたのジョー」を世に送り出した。1972年にマッドハウスを設立。数々のTVアニメやOVAを手がけた。劇場映画では、今敏監督の全作品『PERFECT BLUE』(97)、『千年女優』(02)、『東京ゴッドファーザーズ』(03)、『パプリカ』(06)を企画・プロデュース。2006年には細田守監督の『時をかける少女』をプロデュースし、次作『サマーウォーズ』も担当する。片渕須直監督作品『マイマイ新子と千年の魔法』、『この世界の片隅に』にも、企画として立ち上げから携わった。現在はMAPPA代表取締役会長、スタジオM2代表取締役社長を務める。最新作は池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」シリーズをTVアニメ化した「鬼平」(17)。

※以下の画像と解説をご覧になりながらお聞きください。
また、今回の内容には、紹介する作品のネタバレも含みます。ご注意ください。

収録のようすと用語解説

丸山Pを知る上で、欠かせない人物は?
  • 「今敏」「CLAMP」「川尻善昭」「浦沢直樹」「りんたろう」
  • 「出﨑統」「りんたろう」「川尻善昭」「今敏」「平田敏夫」
■ 今 敏(こん さとし)
漫画家・アニメーター・アニメ監督。1985年、武蔵野美術大学在学中に『カーヴ』で漫画家デビュー。影響を受けていた大友克洋氏のアシスタントも務める。1990年、大友克洋氏が原作・脚本・メカデザインを担当した劇場用アニメ映画『老人Z』で、美術設定としてアニメ制作に初参加。以後『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)、「ジョジョの奇妙な冒険(OVA)」(93~94)、『MEMORISE(3話オムニバスの1篇「彼女の想いで」)』(95)、などの作品にアニメーターとして関わる。1998年に初監督作品となる劇場用アニメ映画『PERFECT BLUE』が公開され国内外で大きく評価された。その後『千年女優』(02)、『東京ゴッドファーザーズ』(03)が続けて公開される。2004年には初TV作品「妄想代理人」の総監督を務めた。2006年、念願だった筒井康隆原作の映画『パプリカ』を発表する。次回作『夢みる機械』の制作に取りかかるが、2010年8月24日に膵臓癌の為永眠。享年46歳。
※当サイトでは、2015年に行われたトークイベントいま再び 今 敏監督を語り合おうー『千年女優』編レポートを掲載しています。
■ 川尻善昭(かわじり よしあき)
アニメーター、アニメーション監督。高校卒業後に虫プロダクションに入社し、「あしたのジョー」の動画などを担当する。その後、出崎統氏と杉野昭夫氏の推薦を受け、「ムーミン」で原画へ昇格した。1972年に、虫プロ出身者によって結成されたアニメ制作会社マッドハウスへ移り、アニメーターとして数々の作品に参加。「夏への扉」(81)、「浮浪雲」(82)、「ユニコ 魔法の島へ」(83)では画面構成を担当する。1984年のアニメ映画『SF新世紀レンズマン』では、絵コンテで参加する予定が現場のアニメーターの指揮を任され、共同監督を務める。1987年の『妖獣都市』で実質的な初監督作品を務め、原作者からも絶賛された本作は、川尻氏の出世作となった。以後、TVアニメ、映画、OVAなどで、監督や演出、絵コンテなどで活躍を続けている。
■ りんたろう
アニメーション監督。1958年に東映動画(現 東映アニメーション)に入社。『白蛇伝』(58)では仕上げ、『西遊記』(60)からはアニメーターに転向して動画を務めた。演出家を志望し、虫プロダクション(旧)に移籍、TVアニメ「鉄腕アトム」(63〜66)で演出デビューした。「ジャングル大帝」(65〜66)でチーフディレクターに昇進(この頃までは、「林重行」名義)。その後も「佐武と市捕物控」(68〜69)、「ムーミン」(69〜70、72)などを手がける。その後フリー演出家として、古巣である東映動画の「ジェッターマルス」(77)にチーフディレクターとして参加。1978〜79年の「宇宙海賊キャプテンハーロック」でもチーフディレクターを務め、その第1話の試写を見た東映動画の今田智憲社長(当時)から、劇場版『銀河鉄道999』(79)の監督に指名される。本作は1979年度の邦画の興行成績第1位となり、当時巻き起こったアニメブームを代表する作品の一つとなった。虫プロダクション時代の同僚・丸山正雄氏のマッドハウスに制作拠点を移し、角川映画のアニメ第1弾『幻魔大戦』(83)を監督。2001年には手塚治虫氏の同名マンガを原作とした『メトロポリス』を発表、海外でも高く評価された。
■ CLAMP(クランプ)
大川七瀬(ストーリー担当)、いがらし寒月、猫井椿、もこなの4人からなる女性漫画家集団。
代表作に、「聖伝-RG VEDA-」、「X」、「魔法騎士レイアース」、「カードキャプターさくら」、「ちょびっツ」、「XXXHOLiC」、『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』などがある。
「X」、「カードキャプターさくら」、「ちょびっツ」など、マッドハウスがアニメーション制作を手がけた作品も多い。
■ 浦沢直樹(うらさわ なおき)
マンガ家。「YAWARA!」、「MASTERキートン」、「MONSTER」、「20世紀少年」、「PLUTO」、「BILLY BAT」など、数多くの代表作をもつ。
「YAWARA!」、「MASTERキートン」、「MONSTER」は、マッドハウスがアニメーション制作を手掛けている。
■ 「YAWARA!」
浦沢直樹氏の同名マンガを原作として、1989~92年まで全124話が放送されたTVアニメ。 アニメーション制作はマッドハウスが担当。TVスペシャルや劇場版も制作された。
祖父から柔道の英才教育を受けた少女・猪熊柔。「普通」の女の子になりたいと思っているにも関わらず、その柔道の才能で、日本はおろか世界の舞台で活躍することになる。
丸山氏のクレジットは「プロデューサー」。 原作:浦沢直樹、監督:ときたひろこ、キャラクターデザイン・作画監督:兼森義則、作画監督:桜井邦彦、浜崎博嗣、百瀬義行、君塚勝教、高坂希太郎ほか
■ 「カードキャプターさくら」
女性マンガ家集団・CLAMPによる同名マンガを原作とし、1998~99年に「クロウカード編(第1期、2期)」全46話、1999年~2000に「さくらカード編(第3期)」全24話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作はマッドハウス。劇場版も2本制作された。
友枝小学校に通う小学4年生の木之本桜(きのもと さくら)は、不思議な本に封印されていた魔法のカード「クロウカード」の封印を誤って解いてしまう。さくらはクロウカードを回収するため、「カードキャプター」となり、仲間と共に奮闘する。
第1期には片渕須直氏が絵コンテ・演出で参加している。
丸山氏は「企画」を担当。
原作:CLAMP、監督:浅香守生、キャラクターデザイン・作画監督:高橋久美子、作画監督:郷敏治、君塚勝教、古賀誠、藤田まり子、桜井邦彦
■ 『パーフェクトブルー』
1997年に公開された劇場用アニメ。今 敏氏の初監督作品で、キャラクターデザインも務めた。竹内義和の同名小説を原作とした本格サイコサスペンスで、アニメーション制作はマッドハウスが担当。
アイドルグループを脱退し、新人女優として活動を始めた未麻は、自分の意向に反して舞い込む過激なグラビアやTVドラマの仕事に戸惑いを隠せない。やがて、彼女の周囲でその関係者を標的とした殺人事件が次々と発生し始める。
丸山氏のクレジットは「制作プロデューサー」。
監督・キャラクターデザイン:今 敏、作画監督・キャラクターデザイン:濱州英喜
■ マッドハウス
1972年に、虫プロダクション(旧)に所属していた丸山正雄氏、出崎統氏、りんたろう氏、川尻善昭氏などが中心となって設立したアニメスタジオ。当初は、東映動画のテレビシリーズや、東京ムービーのテレビシリーズなどのアニメーション制作を行っていた。80年代には映画やOVAなども手掛けるようになる。TVアニメ「YAWARA!」(89~92)を皮切りに自社制作も行うようになった。TVアニメ「カードキャプターさくら」(89)、「はじめの一歩」(00~02)、「四畳半神話大系」(10)、「宇宙よりも遠い場所」(18)や、劇場用アニメ映画『千年女優』(02)、『時をかける少女』(06)、『マイマイ新子と千年の魔法』(09)、『きみの声をとどけたい』(17)など、高い品質を誇る作品を数多く作り出している。
■ 「MASTERキートン」
浦沢直樹氏の同名マンガを原作として、1998~99年に全24話が放送されたTVアニメ。ビデオソフト化の際に新たにOVAが15話が制作され、計39話になった。アニメーション制作はマッドハウスが担当。
大学講師、保険調査員、元SAS(英国陸軍特殊部隊)の3つの顔を持つ平賀=キートン・太一を主人公に、冷戦終結前後の社会情勢、考古学、そして平賀家をめぐる人々のドラマを描いた作品。
丸山氏のクレジットは「プロデューサー」。
絵コンテで平田敏夫氏、川尻善昭氏、りんたろう氏が参加している。
原作:浦沢直樹、勝鹿北星、長崎尚志、監督:小島正幸、キャラクターデザイン・総作画監督:高坂希太郎
■ 「MONSTER」
浦沢直樹氏の同名マンガを原作として、2004~05年まで全74話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作はマッドハウス。
1986年西ドイツ。天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、頭部を銃で撃たれた重傷の少年・ヨハンの命を救う。だが、ヨハンは冷酷な殺人鬼だった。殺人の濡れ衣を着せられたテンマは、ヨハン追跡の旅に出る。
丸山氏のクレジットは「プロデューサー」。片渕須直氏が絵コンテで参加している。
原作:浦沢直樹、監督:小島正幸、キャラクターデザイン・総作画監督:藤田しげる
■ 細田 守(ほそだ まもる)
アニメーション監督。1991年に東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーターとしてキャリアをスタートさせる。1996年に社内で演出採用試験が初めて実施されこれに合格。翌年、TVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎(第4シリーズ)」(96~98)で演出家としてデビューした。1999年には『劇場版デジモンアドベンチャー』の監督に抜擢され、2000年の『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』で大きな注目を集めた。東映アニメーションを退社後、マッドハウスの丸山正雄氏(当時)の元で『時をかける少女』(06)を監督し大ヒット。国内外の映画・アニメ賞など23冠を受賞した。続いて、自身初となるオリジナル作品『サマーウォーズ』(09)を発表。123万人を超える観客動員数を記録する。2011年にアニメーション映画制作会社〈スタジオ地図〉を設立。『おおかみこどもの雨と雪』(11)、『バケモノの子』(15)とヒット作を生み出し続けている。最新作『未来のミライ』は、本年7月公開予定。
■ 片渕 須直(かたぶち すなお)
アニメーション映画監督。日本大学芸術学部映画学科在学中から、宮崎駿監督作品「名探偵ホームズ」に脚本家として参加。『魔女の宅急便』(89/宮崎駿監督)では演出補を務めた。TVシリーズ「名犬ラッシー」(96)で監督デビュー。その後、長編映画『アリーテ姫』(01)を監督する。2009年に公開された『マイマイ新子と千年の魔法』は口コミで評判が広がり、異例のロングラン上映とアンコール上映を達成。現在大ヒット上映中の最新作『この世界の片隅に』(16)は、第40回日本アカデミー賞において最優秀アニメーション作品賞を受賞した。
練馬にいた!アニメの巨人たち第1回第2回第3回第4回では、片渕須直監督をとりあげています。
■ 平田
アニメーター、アニメーション映画監督・平田敏夫(ひらた としお)氏のこと。1960年に東映動画へ入社、動画マンとして『安寿と厨子王』(61)や『わんぱく王子の大蛇退治』(63)などに参加。TVアニメ『狼少年ケン』(63-65)で原画を担当する。その後、虫プロへ移籍し『鉄腕アトム』(63-66)で演出家デビュー。『ジャングル大帝』(65-66)などを経て、CM制作会社へ移り、「レナウン」のCMなどのアニメーターとして活躍する。CMでキャリアを積んだのち、ズイヨー映像、グループタックを経て、1974年にサンリオへ移籍。1981年の『ユニコ』で監督デビューした。80年代半ばにはマッドハウスに拠点を移し、『ボビーに首ったけ』(85)の監督を務めた他、様々な作品に関わった。2014年逝去。
■ 虫プロ
アニメーション制作会社・虫プロダクションの通称。1961年にマンガ家でアニメーターでもあった手塚治虫が設立し、1973年まで活動したアニメスタジオ「株式会社虫プロダクション」(旧)と、1977年に旧虫プロの労働組合を母体として設立された「虫プロダクション株式会社」(新)がある。ここでは虫プロダクション(旧)を指す。
虫プロダクション(旧)には、丸山正雄氏をはじめ、出﨑統氏、芦田豊雄氏、川尻善昭氏、杉井ギサブロー氏、高橋良輔氏、富野由悠季氏、安彦良和氏、吉川惣司氏などが在籍していた。この虫プロダクション(旧)で、1963年に制作された日本初の30分枠連続TVアニメ「鉄腕アトム」は、日本のアニメビジネスの先駆けとなった。当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 虫プロダクション編でも詳しく紹介。
■ 出﨑さん
1943年東京都生まれ。学生時代から貸本マンガ家として活躍。1963年に虫プロダクションに入社。翌年には「鉄腕アトム」の原画担当になる。1970年のTVアニメ「あしたのジョー」で、初めてチーフディレクターを務める。1972年にはアニメ制作会社マッドハウスの設立に参加。TVアニメ「エースをねらえ!」(73-74)、「ガンバの冒険」(75)「家なき子」(77-78)、「宝島」(78-79)など多数の作品に関わる。1979年には完全新作の『劇場版 エースをねらえ!』で、長編映画を初監督した。1980年、TVアニメ「あしたのジョー2」制作を機にマッドハウスを離れ、スタジオあんなぷるを設立。
『SPACE ADVENTURE コブラ』(82)、「スペースコブラ」(82)、『ゴルゴ13』(83)を発表。「おにいさまへ・・・」(91)で手塚プロダクション制作作品に関わるようになり、1993年からOVA「ブラック・ジャック」を手掛ける。2000年代には美少女ゲームが原作の『AIR』、『CLANNAD』劇場版など、自らの新境地となる作品を監督した。2011年 逝去。
練馬にいた!アニメの巨人たち第5回第6回第7回第8回では、出﨑統監督をとりあげています。
■ 「あしたのジョー」
虫プロダクション(旧)が制作し、1970〜71年に全79話が放送されたTVアニメ。練馬区で執筆活動をしていた高森 朝雄氏(梶原一騎氏のこと。原作を担当)と、ちばてつや氏(作画)によるマンガが原作。ドヤ街に現れた不良少年・矢吹丈(ジョー)がボクシングに出会い、ライバル・力石徹との対決や死を乗り越え、ボクサーとして成長していく物語。本作では原作の中盤までが描かれている。
丸山氏のクレジットは「設定」。
原作:高森朝雄・ちばてつや、チーフ・ディレクター:出﨑統、作画監督:杉野昭夫、金山明博、荒木伸吾。
※当サイト内、練馬アニメトピックスでは、2014年に開催された「あしたのジョー、の時代展」記念・ちばてつや先生のインタビューや、トークイベントレポートなどを掲載しています。
■ 「あしたのジョー2」
東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント)が制作し、1980~81年まで全47話が放送されたTVアニメ。原作の力石戦の後からラストまでを描いた。 力石徹との試合で、彼を死なせてしまったことから、対戦相手のテンプル(こめかみ)を打てなくなったジョー。だがベネズエラのボクサー・カーロスとの出会いにより再起し、ついには世界チャンピオンのホセ・メンドーサに挑む。
原作:高森朝雄、ちばてつや、演出:出﨑統、作画監督:杉野昭夫。
■ ウルトラヴァイオレット
2008年に全12話が放送されたTVアニメ「ウルトラヴァイオレット:コード044」(ゼロ-フォーティー・フォー)のこと。アニメーション制作はマッドハウス。2006年にアメリカで制作されたSF映画『ウルトラヴァイオレット』の世界観をベースとしたオリジナルストーリーで、キャラクターもアニメオリジナルとなっている。
監督の出﨑統氏は、1980年に独立して以来のマッドハウス作品への参加となった。
丸山氏のクレジットは「企画」。
監督・脚本・絵コンテ:出崎統、キャラクターデザイン・作画監督:杉野昭夫。
■ ゲンジ
「源氏物語千年紀 Genji」のこと。トムス・エンタテインメントと手塚プロダクションが制作し、2009年に全11話が放送されたTVアニメ。平安時代中期に成立した紫式部による「源氏物語」を原案としたオリジナルストーリー。出﨑統監督が手がけ、完成を見届けた最後の作品でもある。
監督:出﨑統、キャラクターデザイン・総作画監督:杉野昭夫。
■ MAPPA
2011年にマッドハウスを退職した丸山氏が、70歳にして設立したアニメスタジオ。設立当初から『この世界の片隅に』の制作ルームが置かれ、アニメーション制作も担当した。TVアニメ「坂道のアポロン」(12)、「はじめの一歩 Rising」(13~14)、「残響のテロル」(14)、「DAYS」(16)、「ユーリ!!! on ICE」(16)、「BANANA FISH」(18)など、話題作も次々と発表している。
■ M2
「スタジオM2」のこと。丸山氏が2016年にMAPPA社長から会長に就任した時期に、新たに立ち上げたアニメスタジオ。当初は作品制作における準備(プリプロ)を行う企画会社の予定だったが、TVアニメ「鬼平」(17)ではアニメーション制作も行っている。
■ 『夢見る機械』
「子供も楽しめるアニメーション」として、今 敏氏が企画した作品。『パプリカ』(06)公開後から準備を進めていたが、2010年8月に今氏が永眠。制作は中断している。
■ 『パプリカ』
2006年に公開された、今 敏監督による劇場用アニメ映画4作目。アニメーション制作はマッドハウス。 原作は、現実と夢が交錯する幻想的な世界が広がる筒井康隆氏の同名SF小説。筒井作品のファンでもある今 敏監督が、緻密で豪華な映像美とトリッキーな場面転換で、難しいとされてきた本作の映像化を現実のものとした。ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門への正式出品や、東京国際映画祭animecs TIFF 2006 × digital TIFF 共同オープニング作品として上映されるなど国内外で話題となり、多数の映画賞を受賞。
丸山氏のクレジットは「企画」。
監督・脚本:今 敏、キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司
■ 「OPUS」(オーパス)
今 敏氏が1995~96年に発表したマンガ作品。掲載誌が休刊したため未完であった。当時は単行本化もされなかった。今氏の没後、発見された未完成原稿を収録し、単行本上下巻が刊行された。
■ 『メトロポリス』

「メトロポリス」
Blu-ray・DVD発売中
販売元:バンダイビジュアル

©⼿塚プロダクション/METROPOLIS製作委員会
http://www.bandaivisual.co.jp/

2001年に公開された劇場用長編アニメーション映画。原作は手塚治虫氏の同名マンガ。アニメーション制作はマッドハウス。
いつとも知れない未来。私立探偵のヒゲオヤジとケンイチ少年は、国際指名手配のロートン博士を探して、人間とロボットが共存する巨大都市国家・メトロポリスへやってきた。だが、ロートンの秘密研究所は放火され、現場近くにいたケンイチは、記憶を失った少女・ティマを救うのだが…
丸山氏のクレジットは「企画」及び「制作プロデューサー」。
原作:手塚治虫、監督:りんたろう、キャラクターデザイン・総作画監督:名倉靖博

■  大友克洋(おおとも かつひろ)
マンガ家、映画監督。1973年に漫画アクション掲載の短篇「銃声」で、マンガ家としてデビュー。代表作に「童夢」(80~81)、「AKIRA」(82~90)など。緻密な描き込みや複雑なパースを持つ画面構成などの作風は、世界中のクリエイターに大きな影響を与えた。1988年には自らが監督を務める劇場用アニメ映画『AKIRA』を制作。国内外で高い評価を得た。その後は、『MEMORIES』(総監督/95)、『スチームボーイ』(04) 、『蟲師』(実写映画/07)など、アニメや実写など映像作品で活躍している。
■ 手塚治虫(てづか おさむ)
「鉄腕アトム」、「ブラック・ジャック」、「火の鳥」など数多くの代表作を持ち、〈漫画の神さま〉と評された。1946年に「マアチャンの日記帳」(4コママンガ)でデビュー。1947年の描き下ろし単行本「新寶島」は大ヒットとなる。1950年からはマンガ雑誌において「ジャングル大帝」、「鉄腕アトム」、「リボンの騎士」などの作品を次々と発表する。アニメーションに興味を持っていたことから、東映動画(現・東映アニメーション)より 「ぼくの孫悟空」を原案とする長編アニメ映画『西遊記』(60)制作の企画打診がありこれに参加。1961年には自らアニメスタジオ「株式会社虫プロダクション」を立ち上げた。ここで、1963年から日本初の30分枠連続TVアニメ「鉄腕アトム」などの作品を制作。手塚氏はその後もマンガ家としても精力的に作品を発表し続けた。1989年逝去。
※当サイト練馬のアニメスタジオの遺伝子 虫プロダクション編では、手塚治虫氏についても詳しく紹介しています。
■ 「ジェッターマルス」
東映動画(現・東映ニメーション)が制作し、1977年に全27話が放送されたTVアニメ。手塚治虫氏によるTVアニメ「鉄腕アトム」の続編として企画されたが、要素と設定を取り入れつつ世界を異にする新しい作品として制作された。だが、「鉄腕アトム」のリメイクという側面もあり、東映動画の制作ながらも、「鉄腕アトム」制作に参加していた旧虫プロ出身者が設立したマッドハウスのメンバーがメインスタッフとして参加している。
丸山氏のクレジットは「シリーズ構成」。
原作:手塚治虫と手塚プロダクション、チーフディレクター:りんたろう、キャラクター設計・監修。作画監督:杉野昭夫
■ 『ユニコ』
1981年に公開された劇場用長編アニメ。手塚治虫氏が1976~79年にサンリオで発行していた雑誌「リリカ」で連載していた同名マンガが原作。アニメーション制作はマッドハウスが担当した。
人から愛されると、その人を幸せにする魔法が使えるユニコーンの子供、ユニコの冒険を描いたファンタジー。
丸山氏のクレジットは「設定」。
原作・監修:手塚治虫、監督:平田敏夫、作画監督:杉野昭夫
■ 「陽だまりの樹」
2000年に全25話が放送されたTVアニメ。原作は、手塚治虫氏の同名マンガ。アニメーション制作は、マッドハウス。
開国から西洋文明が流入し、倒幕、戊辰戦争へと続く幕末期の日本。正義感が強い下級武士・伊武谷万二郎と、ちゃらんぽらんな性格だが医師として優れた技術を持つ良庵の二人が時代の流れにさらされながらも成長してゆく様を描く。
丸山氏のクレジットは「プロデューサー」。
原作:手塚治虫、監督:杉井ギサブロー、キャラクターデザイン・総作画監督:江口摩吏介
■ 「W3」(ワンダー3)
手塚治虫の同名SFマンガを原作として、虫プロダクションが制作したTVアニメ。1965~66年に全56回(全52話+リピート放送4回)が放送された。丸山氏は演出助手として参加。
原作・総監督:手塚治虫、作画監督:中村和子
■ 「どろろ」
虫プロダクション(旧)が制作し、1969年に全26話が放送されたTVアニメ。原作は手塚治虫氏の同名マンガ。舞台は戦国時代。身体の各部を妖怪に奪われた少年〈百鬼丸〉は、子どもの泥棒〈どろろ〉とともに旅をしながら、妖怪と戦い自分の身体をとりもどしてゆく。
原作:手塚治虫、総監督:杉井ギサブロー、作画監督:北野英明、上口照人。
■ 『哀しみのベラドンナ』
虫プロダクション(旧)が制作した、1973年公開の劇場用アニメ映画。「大人のためのアニメーション」と銘打った〈アニメラマ〉シリーズの3作目。中世フランスの農村を舞台に、愛する夫のために悪魔と契約した女性・ジャンヌの哀しい物語。映像的には、挿絵画家の深井国氏をフィーチャーし、氏のイラストのイメージで全編を制作。セル画のテイストを極力排除。静止画、イラストのアニメート、グラスペイント、サイケなグラフィックアニメなど、タッチや画風の異なる複数の映像表現が、物語の流れのなかに唐突に混入するという実験的なスタイルが採られている。
原作:ジュール・ミシュレ、企画構成・監督:山本暎一、作画監督:杉井ギサブロー
■ 杉井ギサブロー(すぎい ぎさぶろう)
アニメーション監督。1958年に東映動画に入社。大塚康生氏の元で、アニメーターとして『白蛇伝』に参加。後に虫プロダクション(旧)に移籍し『鉄腕アトム』で演出も手掛ける。1969年にグループ・タックを設立した。総監督を務めたTVアニメ『タッチ』は大ヒットした。
■ 手塚プロ
手塚治虫作品の著作権管理とアニメーション制作を主な業務としている「手塚プロダクション」のこと。1968年に手塚治虫氏がマンガ制作・管理のための会社として1968年に設立したのが始まり。これにより虫プロ(旧)はアニメ制作、手塚プロはマンガ制作と、その仕事を切り分けた。1971年に手塚氏は虫プロ社長を退任、手塚プロ内にアニメ部門が作られた。虫プロ(旧)倒産後は、手塚作品のアニメ化の他、一般的なアニメスタジオとしての業務も行っている。マッドハウスやMAPPA、M2制作の作品では、制作協力や共同制作を行うなど、関係も深い。
丸山Pの作品作りとは、どういうものであるか?
  • 最高の触媒
  • マッド(松戸)なハウス(館)で軒を貸し、才能を120%引き出す料理長
■ 東映系
東映動画、東映アニメーションの制作したアニメーション作品群のこと。
■ 筒井さん
小説家・筒井康隆(つつい やすたか)氏のこと。SFやスラップスティック・コメディを得意とする。代表作に、「時をかける少女」(67)、「日本以外全部沈没」(73)、「夢の木坂分岐点」(87)、「わたしのグランパ」(99)など。星雲賞、泉鏡花文学賞、谷崎潤一郎賞、川端康成文学賞、日本SF大賞など、多数の受賞歴を持つ。2006年には、マッドハウスがアニメーション制作を担当した『時をかける少女』と『パプリカ』の2本の劇場用長編アニメ映画が公開された。『パプリカ』には声優として特別出演している。
■ 『時をかける少女』
2006年に公開された、細田守監督による劇場用長編アニメ。アニメーション制作はマッドハウス。筒井康隆氏の小説「時をかける少女」が原作であるが、原作の出来事から約20年後を舞台とした物語となっている。
丸山氏のクレジットは「企画」。
監督:細田守、キャラクターデザイン:貞本義行、作画監督:青山浩行、久保田誓、石浜真史
■ どれみ
東映アニメーションが制作した、オリジナル魔法少女アニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズのこと。TVシリーズとして「おジャ魔女どれみ」(第1期 99-00 全51話)、「おジャ魔女どれみ♯」(第2期)00-01 全49話)、「も〜っと!おジャ魔女どれみ」(第3期 01-02全50話)、「おジャ魔女どれみドッカ〜ン!」(第4期 02-03 全51話)が放送された。劇場版やOVAも制作されたほか、コミックや小説にもなった。
第4期の「おジャ魔女どれみドッカ〜ン!」終盤には、細田守氏が演出で参加している。
シリーズディレクター:五十嵐卓哉(第1期~第4期)、佐藤順一(第1期)、山内重保(第2期)、キャラクターコンセプトデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
■ 「宇宙戦艦ヤマト」
オフィス・アカデミーが制作し、1974~75年に全26話が放送されたTVアニメ。
西暦2199年、地球は謎の敵・ガミラス帝国の攻撃により滅亡の危機に瀕していた。だが、外宇宙のイスカンダルからもたらされた情報を受け、秘密裏に建造されていた〈宇宙戦艦ヤマト〉は人類最後の希望を託され、14万8000光年の航海に挑む。
企画・原案・プロデューサー:西﨑義展、監督・設定デザイン:松本零士。
■ 西崎さん
「宇宙戦艦ヤマト」のプロデューサーとして知られる、西﨑義展(にしざき よしのぶ)氏のこと。
■ アニメビジエンス
アニメーション産業の可能性を探る、業界唯一のアニメビジネス専門誌。2013年8月から年に4回出版されている。
主にアニメの企画・プロデュースを行っている株式会社ジェンコ社長・真木太郎氏が編集長を務める。
丸山氏がアニメ業界の歴史について語る「丸山正雄のアニメバカ一代記」を連載している。
■ 「SHIROBAKO」
2014~15年に全24話が放送されたTVアニメ。アニメーション制作はP.A.WORKS。 高校のアニメーション同好会のメンバーだった5人の若い女性たちが、制作進行・アニメーター・声優・3DCGクリエイター・脚本家志望としてアニメーション業界に入り、いつか再び同じメンバーでアニメを作ることを目指して奮闘する、アニメーション業界の日常を描いた作品。
丸山氏をモデルにしたとおぼしきキャラクターが登場する。
監督・音響監督:水島努、キャラクターデザイン・総作画監督:関口可奈味、森島範子、西畑あゆみ
■ くろみちゃん
2001年に発売されたOVA「アニメーション制作進行くろみちゃん」のこと。2004年には続編OVAも作られた。アニメーション制作はゆめ太カンパニー。
アニメ専門学校を卒業し、初めての職場「スタジオプチ」に出社した大黒みき子は、社長からいきなり制作デスクを任されてしまう。担当する作品は、まともに原画が上がっておらず、放送を落とす寸前。くろみはこの苦境を乗り切ることができるのか!?
「SHIROBAKO」と同じくアニメーション制作の現場を描いた作品で、こちらにも丸山氏をモデルにしたとおぼしきキャラクターが登場する。
監督・絵コンテ:大地丙太郎、キャラクターデザイン・作画監督:渡辺はじめ
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